君と愛でる桜【完結】
主任の名前を設定する
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ひょっとして、地雷を踏んだ? 明らかに潜は家庭環境という言葉に反応した気がする。
だとすれば、潜が千弥の悩みに気がついたのは……。主任は潜の目を見た。目は心を閉ざしたように闇に沈んでいた。
「……」
「どうしたんだい、チィツァ。熱い視線に胸が焦がれてしまうよ」
せがむような甘い声。恋人に向けるような言葉。だが主任は潜について殆ど何も知らないことを思い出した。
主任が家庭環境について言及し、潜に寄り添おうとしても、彼は軽く躱してしまうだろう。不機嫌になって、その場を立ち去ってしまうかもしれない。
ワンワンの化粧品のPR撮影の時みたいに。
……だとすれば。
「今日って、デートだったんですよね」
おずおずと確かめる。潜は挑発的な視線を返した。依然として、彼の目に光はない。
「そうだよ。情熱的な夕暮れ時を楽しもうじゃないか」
「じゃあ……こうしても良いですよね」
主任は潜をそっと抱きしめた。徐々に、深く深く潜の肌を柔らかく包む。
「ずいぶんと今日は積極的じゃないか。どうしたんだい」
潜の息が耳にかかる。分かってはいたが、動揺しないようだ。おそらく、ハグ以上のことを不特定多数の人とやっているから。
「潜さんを安心させたくて」
「はぁ?」
「あはは。急にすみません。なんだか潜さんが寂しそうに見えて」
「何を言ってるのかさっぱり分からないね……」
呆れたように潜は主任の肩に頭を乗せた。
「とにかく。潜さんが意図的にしていなくても、あなたは周りの人を支えてくださっています。それだけは忘れないでください」
主任はさらに深く抱きしめた。もうどこにも逃げないように。言葉で彼を慰められないなら、肌のぬくもりでせめて安心させたい。
「体が火照っているね。まさか興奮しているのかい?」
「さあ、どうでしょう」
クスリと笑うと、潜はそっと主任を抱き返した。想いが伝わったのか? それは潜にしか分からない。
太陽が溶けるような夕暮れの中、二人の抱擁に桜の花びらが降り注ぐ。
こんなにも近くにいるのに、なぜか遠く感じてしまう。主任は切なさに胸がキュッとなった。
潜を抱擁から解放するために腕を放そうとすると、
「だーめ」
と耳元で囁かれた。妙に熱っぽい? 気のせいだろうか。
「もっと抱きしめてくれないと、皆に言いふらしちゃうよ? チィツァはふしだらで可愛い子だって」
「ええ!? それは困ります」
「ふふ。もう少しだけ、ね?」
潜の瞳には、夕焼けの光が宿っていた。
だとすれば、潜が千弥の悩みに気がついたのは……。主任は潜の目を見た。目は心を閉ざしたように闇に沈んでいた。
「……」
「どうしたんだい、チィツァ。熱い視線に胸が焦がれてしまうよ」
せがむような甘い声。恋人に向けるような言葉。だが主任は潜について殆ど何も知らないことを思い出した。
主任が家庭環境について言及し、潜に寄り添おうとしても、彼は軽く躱してしまうだろう。不機嫌になって、その場を立ち去ってしまうかもしれない。
ワンワンの化粧品のPR撮影の時みたいに。
……だとすれば。
「今日って、デートだったんですよね」
おずおずと確かめる。潜は挑発的な視線を返した。依然として、彼の目に光はない。
「そうだよ。情熱的な夕暮れ時を楽しもうじゃないか」
「じゃあ……こうしても良いですよね」
主任は潜をそっと抱きしめた。徐々に、深く深く潜の肌を柔らかく包む。
「ずいぶんと今日は積極的じゃないか。どうしたんだい」
潜の息が耳にかかる。分かってはいたが、動揺しないようだ。おそらく、ハグ以上のことを不特定多数の人とやっているから。
「潜さんを安心させたくて」
「はぁ?」
「あはは。急にすみません。なんだか潜さんが寂しそうに見えて」
「何を言ってるのかさっぱり分からないね……」
呆れたように潜は主任の肩に頭を乗せた。
「とにかく。潜さんが意図的にしていなくても、あなたは周りの人を支えてくださっています。それだけは忘れないでください」
主任はさらに深く抱きしめた。もうどこにも逃げないように。言葉で彼を慰められないなら、肌のぬくもりでせめて安心させたい。
「体が火照っているね。まさか興奮しているのかい?」
「さあ、どうでしょう」
クスリと笑うと、潜はそっと主任を抱き返した。想いが伝わったのか? それは潜にしか分からない。
太陽が溶けるような夕暮れの中、二人の抱擁に桜の花びらが降り注ぐ。
こんなにも近くにいるのに、なぜか遠く感じてしまう。主任は切なさに胸がキュッとなった。
潜を抱擁から解放するために腕を放そうとすると、
「だーめ」
と耳元で囁かれた。妙に熱っぽい? 気のせいだろうか。
「もっと抱きしめてくれないと、皆に言いふらしちゃうよ? チィツァはふしだらで可愛い子だって」
「ええ!? それは困ります」
「ふふ。もう少しだけ、ね?」
潜の瞳には、夕焼けの光が宿っていた。
