夏祭りの贈り物【完結】
主任の名前を設定する
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「潜さん! 頼まれていた林檎飴です」
主任は艶をまとった真紅の林檎飴を差し出した。潜はそれを受け取り、にっこりと笑う。悪意の混じらない、純粋な幼い笑顔。
花火がよく見える特等席で坐って待っていた彼の横顔を、花火の光がパァッと照らした。
「ありがとう。良い子だ。僕の言うことが聞けて偉いね」
林檎飴の包装を外し、舌を伸ばす。暗闇の中で舌のピアスがチラリと光った。彼は林檎飴を舌で遊ばせながら、誘惑の視線を投げかけた。暗闇の中、その顔を知るのは主任のみだった。
「あはは! やらされた訳じゃないですよ。前から思っていたんです。潜さんに何かプレゼントしたいなって。最近、お仕事頑張ってるじゃないですか。ウエディングビデオとか」
「ただの気まぐれだよ」
主任は潜の隣に腰掛けた。大輪の花が夜に咲く。花を構成していた星々は大地へと還ろうと、流星になってまっすぐに墜ち、消えていった。
「墜落する星の行方は誰にも分からない。儚いね」
暗闇の中の消え入りそうな声。パッと彼の横顔を見る。憂いをたたえた笑みを浮べた一人の人間がそこに居た。
ただの独り言なのか。それとも聞き違いなのか。主任は見えない境界線の上に立っていた。
「それでも誰かの記憶には残りますよ。完全に忘れられるなんてことないですから」
「さあ、どうかな。そんなの不確かじゃないか。でも……」
主任に寄りかかり、ふふと耳元でしっとりと囁くように笑う。
「今だけは、信じてあげるよ」
また、夜空に大輪が咲く。心臓に響く大きな破裂音を鳴らして。主任たちはそれをじっと目に焼き付けて、消えゆく星々に胸を馳せた。
主任は艶をまとった真紅の林檎飴を差し出した。潜はそれを受け取り、にっこりと笑う。悪意の混じらない、純粋な幼い笑顔。
花火がよく見える特等席で坐って待っていた彼の横顔を、花火の光がパァッと照らした。
「ありがとう。良い子だ。僕の言うことが聞けて偉いね」
林檎飴の包装を外し、舌を伸ばす。暗闇の中で舌のピアスがチラリと光った。彼は林檎飴を舌で遊ばせながら、誘惑の視線を投げかけた。暗闇の中、その顔を知るのは主任のみだった。
「あはは! やらされた訳じゃないですよ。前から思っていたんです。潜さんに何かプレゼントしたいなって。最近、お仕事頑張ってるじゃないですか。ウエディングビデオとか」
「ただの気まぐれだよ」
主任は潜の隣に腰掛けた。大輪の花が夜に咲く。花を構成していた星々は大地へと還ろうと、流星になってまっすぐに墜ち、消えていった。
「墜落する星の行方は誰にも分からない。儚いね」
暗闇の中の消え入りそうな声。パッと彼の横顔を見る。憂いをたたえた笑みを浮べた一人の人間がそこに居た。
ただの独り言なのか。それとも聞き違いなのか。主任は見えない境界線の上に立っていた。
「それでも誰かの記憶には残りますよ。完全に忘れられるなんてことないですから」
「さあ、どうかな。そんなの不確かじゃないか。でも……」
主任に寄りかかり、ふふと耳元でしっとりと囁くように笑う。
「今だけは、信じてあげるよ」
また、夜空に大輪が咲く。心臓に響く大きな破裂音を鳴らして。主任たちはそれをじっと目に焼き付けて、消えゆく星々に胸を馳せた。
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