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オレンジソースと2人の絆【城瀬と代理】
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転職して数日が経った。慣れないなりに任された業務を精一杯頑張っているのだが、心配なことがある。それが、人間関係。
「そろそろ休憩に入っていいですよ。疲れましたよね」
「あっ、はい。ありがとうございます」
びくっとして、軽く頭を下げる。微笑みながら見下ろす彼は城瀬さん。同じ部署の先輩社員だ。転職したばかりで右も左もわからない衣都 に丁寧に仕事を教えてくださる方だ。こんなに優しい先輩社員がいるだけでも、転職は成功と言える気がする。癖のある社員が多いと聞くが、城瀬さんがいるだけでなんとかやっていける気がした。
「ごめんなさい。集中してましたよね。急に声をかけてしまったからびっくりさせたかも」
「いえ、その。お気になさらないでください」
「よかった」
衣都 は時計を見た。時刻はもう12時10分。気づけば昼休憩開始から10分も過ぎていた。
「すごく集中しているようでしたから、ここでお声がけしないとずっと作業してそうで心配だったんですよ」
「そんな。お気遣いありがとうございます」
頑張って、微笑んでみる。うまく笑えているだろうか。正直、前職で不倫騒動に巻き込まれて退職してから、気分がいまいち盛り上がらない。それでも、うまく笑って毎日を送らないといけないのだけれど。
バックオフィスで、城瀬さんと2人きり。悪い人ではないとはいえ、少し気まずい。でも、今日は勇気を出してみようと思うのだ。
「あっ、あの」
席に戻りかけた城瀬さんがきょとんとした顔で衣都 を見つめる。大丈夫。落ち着いて。衣都 は口を開いた。
「これ、コンビニで買った新商品なんです。よかったら食べてみませんか」
お菓子のパッケージを掲げて見せる。パッケージには、みずみずしいオレンジにチョコがかかったデザインが描かれている。お好きだろうか。
「うわあ、それ、気になっていたんです。嬉しいな。いただきます」
ぱぁっと城瀬さんの顔が明るくなり、衣都 の心も温かくなる。食べることが好きな城瀬さんだから、きっと喜んでくれるだろうと思って選んだかいがあった。
パッケージの封を切って、城瀬さんの手のひらに一粒落とす。城瀬さんはぱくっと口にオレンジチョコを入れると、きゅっと目をつぶった。
「んっ、これ、すごい。チョコレートを噛むと、トロッと甘酸っぱいオレンジソースが溢れ出てくる……!」
「すごくおいしそうですね。実は、まだ食べたことがないんですよ」
「食べてみてください。これ、すっごくおいしいですよ。やばいな。人気商品になるかも……」
そこまで美味しいのだろうか。熱っぽく語る城瀬さんに押されて、衣都 もいただくことにする。
「! おいしい」
口に入れると、すぐにくすんでいた視界が明るくなった。久しぶりにやってきた糖分に脳が喜んでいる。オレンジソースは爽快で、尾を引く嫌な甘さがない。
「ですよね」
城瀬は大きくうなずいた。
「これ、どこのコンビニで売ってましたか。買いに行きます」
「このビルの下のコンビニで売っています。この前、一緒に買いに行きましたよね」
「そうなんですか。全然気がつきませんでした」
すかさずメモを取る城瀬さんにひそかに感心する。仕事に限らず、大事な情報はすかさずメモする派かもしれない。城瀬さんの目から美味しい食べ物は逃げられなさそうだ。
「楽しそうだな。なんだ、もう仲良くなったのか」
部屋に入ってきた逢さんが、真顔で衣都 たちを見やる。
「あはは。同じく食を楽しむ仲間ですから」
何気ないその言葉がなんだかうれしくなってしまって。
「はい」
衣都 は口元をほころばせて、目を細めた。これから、自分の運命がどのように転がっていくかわからない。それでも、城瀬さんと一緒なら、きっとなんとかなるんじゃないか。そんな淡い期待が、胸に湧き上がってきた。
「そろそろ休憩に入っていいですよ。疲れましたよね」
「あっ、はい。ありがとうございます」
びくっとして、軽く頭を下げる。微笑みながら見下ろす彼は城瀬さん。同じ部署の先輩社員だ。転職したばかりで右も左もわからない衣都 に丁寧に仕事を教えてくださる方だ。こんなに優しい先輩社員がいるだけでも、転職は成功と言える気がする。癖のある社員が多いと聞くが、城瀬さんがいるだけでなんとかやっていける気がした。
「ごめんなさい。集中してましたよね。急に声をかけてしまったからびっくりさせたかも」
「いえ、その。お気になさらないでください」
「よかった」
衣都 は時計を見た。時刻はもう12時10分。気づけば昼休憩開始から10分も過ぎていた。
「すごく集中しているようでしたから、ここでお声がけしないとずっと作業してそうで心配だったんですよ」
「そんな。お気遣いありがとうございます」
頑張って、微笑んでみる。うまく笑えているだろうか。正直、前職で不倫騒動に巻き込まれて退職してから、気分がいまいち盛り上がらない。それでも、うまく笑って毎日を送らないといけないのだけれど。
バックオフィスで、城瀬さんと2人きり。悪い人ではないとはいえ、少し気まずい。でも、今日は勇気を出してみようと思うのだ。
「あっ、あの」
席に戻りかけた城瀬さんがきょとんとした顔で衣都 を見つめる。大丈夫。落ち着いて。衣都 は口を開いた。
「これ、コンビニで買った新商品なんです。よかったら食べてみませんか」
お菓子のパッケージを掲げて見せる。パッケージには、みずみずしいオレンジにチョコがかかったデザインが描かれている。お好きだろうか。
「うわあ、それ、気になっていたんです。嬉しいな。いただきます」
ぱぁっと城瀬さんの顔が明るくなり、衣都 の心も温かくなる。食べることが好きな城瀬さんだから、きっと喜んでくれるだろうと思って選んだかいがあった。
パッケージの封を切って、城瀬さんの手のひらに一粒落とす。城瀬さんはぱくっと口にオレンジチョコを入れると、きゅっと目をつぶった。
「んっ、これ、すごい。チョコレートを噛むと、トロッと甘酸っぱいオレンジソースが溢れ出てくる……!」
「すごくおいしそうですね。実は、まだ食べたことがないんですよ」
「食べてみてください。これ、すっごくおいしいですよ。やばいな。人気商品になるかも……」
そこまで美味しいのだろうか。熱っぽく語る城瀬さんに押されて、衣都 もいただくことにする。
「! おいしい」
口に入れると、すぐにくすんでいた視界が明るくなった。久しぶりにやってきた糖分に脳が喜んでいる。オレンジソースは爽快で、尾を引く嫌な甘さがない。
「ですよね」
城瀬は大きくうなずいた。
「これ、どこのコンビニで売ってましたか。買いに行きます」
「このビルの下のコンビニで売っています。この前、一緒に買いに行きましたよね」
「そうなんですか。全然気がつきませんでした」
すかさずメモを取る城瀬さんにひそかに感心する。仕事に限らず、大事な情報はすかさずメモする派かもしれない。城瀬さんの目から美味しい食べ物は逃げられなさそうだ。
「楽しそうだな。なんだ、もう仲良くなったのか」
部屋に入ってきた逢さんが、真顔で衣都 たちを見やる。
「あはは。同じく食を楽しむ仲間ですから」
何気ないその言葉がなんだかうれしくなってしまって。
「はい」
衣都 は口元をほころばせて、目を細めた。これから、自分の運命がどのように転がっていくかわからない。それでも、城瀬さんと一緒なら、きっとなんとかなるんじゃないか。そんな淡い期待が、胸に湧き上がってきた。
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