あなたからのカセットテープ(椛と友人)
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「はい! これ、いつものカセットテープね」
「ありがとう。椛ちゃん……何これ、一気にカセットテープを6つもくれるの」
「あはは! ずっと忙しくて会えなかったから、いっぱい溜まっちゃった」
椛ちゃんは、照れくさそうに笑った。久しぶりにカフェで待ち合わせた彼女は、前よりも大人に見えた。
「仕方ないよ。退職してすぐにベンチャーの立ち上げに携わったんだから。しかも、国内から注目を集める会社でしょ? 大変だよね」
「大変だけど、やりがいはあるよ」
椛ちゃんは、コーヒーを啜った。
「個性的なメンバーだけど、みんなそれぞれの形でおもてなしをしてくれるの。時には、度肝を抜く企画を作ってくれるんだよ」
「いいね。今度、私もHAMAツアーズのイベントに行ってみようかな。地元民でも大丈夫?」
口から、思ってもいない言葉が出てきて自分で驚いた。でも、撤回なんて出来ない。流れで、つい言ってしまった。
「もちろん! 来てくれると嬉しい!」
私はその眩しい笑顔に気後れを感じた。彼女は私を置いていくようにどこまでも前に進んでいく。
彼女のことは好きだが、非の打ち所がなくて、自分と比較すると胸に穴が空いた思いがする。だから、HAMAツアーズ主催のイベントがあっても、私は忙しいからと自分に言い訳して、参加することはなかった。
でも、彼女のことはどうも嫌いになれなくて。たまに、私は無意識に彼女のことを喜ばせる言葉を選んで発してしまう。
「うん。楽しみにしてるね」
私は頑張って笑顔を作ってみる。うまく笑えただろうか。