境界の庭
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お前、ほんまに誰?」
これは夢?
聞きたいのはこっちのほうだ。
四天宝寺中2年の、財前光。
『粉羽 ちよ…です』
「…」
昨日まで、私の後輩であり
彼氏だった光。
「やっぱ記憶遡ってもこんなJCの知り合いおらんわ…俺のこと何で知ってるん?」
それが今、大人の姿で目の前にいる。
…本当は今すぐに抱きつきたいくらいカッコいい。
初対面(?)で無礼な所は変わらないみたいだけど、私のことを思い出そうと熟考している姿はとても素敵だ。
『あの、何歳ですか?』
「はぁ?…27やけど」
『ひとまわり上か…』
「俺の質問スルーかいな…ってか中学生やったらもうそろそろ帰らなあかん時間とちゃう?」
ハッとして、お店の鳩時計に目をやると18時を過ぎていた。
『あっ、、そうだ。お母さんにおつかい頼まれてたんだ…』
午後4時前には学校を出たはずだったのに、そこからあの交差点で光に声をかけられるまでの記憶がない。
「…子供らしいな。付き合わせてもうたし送ったるわ」
お会計を済ませて、挨拶をして2人で喫茶店をあとにする。
「今日は散歩程度やったから車で来てへんけど、堪忍な」
『く、車乗れるの!?』
「おま…大人バカにしてるやろ」
同じ商店街にある八百屋で白菜を買って、たわいもない話をしながら歩いた。
「今日鍋?」
『はい!もう10月も後半で寒くなってきたし、私の大好きなキムチ鍋作ろって』
「手伝うんか、偉いな」
『あ、雨あがってますね。良かった』
本当にリアルな夢。
どうせ大人になった光の隣を歩くなら、私も大人が良かった。
「…今度会うことあったら、何で俺のこと知ってんのかちゃんと聞かせてもらうで」
『はい、もちろ…』
返事をしかけて、足が止まる。
「?どしたん、家この辺か?」
『…ここ、です…ね』
「ここって…」
家のあった場所には、跡形もなく平らになった更地が広がっていた。