HAPPY BIRTHDAY
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『財前くん見て!あの車のナンバー!』
「…はい?」
『あ、あそこのお店も見て!今日オープンだって!』
「…それがなんすか」
『えぇ…何って…財前くんの誕生日だね!』
「まぁ、そうっすね」
『え、それだけ!?』
「それだけって…何がっすか」
『だってほら!ナンバーもお店のオープン日も…今日も全部、財前くんの誕生日に繋がってるじゃん!!』
「まぁ…偶然でしょ」
『え、えぇー…そういうとこ、ほんとドライだよね…』
少ししょんぼりした声を出してみると、隣を歩く彼は馬鹿にしたように微笑む。
「ドライなんはちよさんとちゃいます?」
『え、私!?』
「こんなあっつい日曜にわざわざ呼び出しといて何もご褒美ないし」
『そっっれはほんとにごめん!!財前くんが好きそうな白玉ぜんざいのお店行列で…』
財前くんの誕生日ということでデートに誘ったが
日曜で人も多いせいか、ことごとく失敗に終わっていた。
『あ、でもこれは渡したくて…』
鞄から出したそれを、財前くんに手渡す。
「これ…」
『…一応お揃いなんだけど…嫌だったらごめん』
受け取った紙袋の中身をチラっと見て、少し微笑んで答える。
「ブレスレット…めっちゃいいっすね」
『もう付き合って半年経つし…こういうお揃い付けてみたいな、って…』
財前くんに、自分のつけてきたお揃いのブレスレットを見せる。
「…ちょぉ、こっち」
『え!?』
急に腕を引っ張られて、商店街から路地裏へ移動する
「…めっちゃ嬉しいっすわ」
ぱっと手を離すと、紙袋からブレスレットの入った箱を取り出して、丁寧に開けた。
『あ、そんなすぐ開けなくても…』
「ブレスレットあげる意味知ってます?」
『い、意味…?』
カチャっとブレスレットの金具を外し、自分の腕に回して器用に付ける。
「束縛したい、って意味」
『え!!そんなつもりで買ったんじゃ…!』
戸惑う間もなく、ぎゅっと抱きしめられる、
『ちょ、財前くん!ここ外…』
「ほんま嬉しいっすわ」
耳元で囁く声の熱。
触れ合った胸元から、わずかに早い心臓の音が伝わってくる。
「…大事にします」
『う、うん…』
抱き寄せた体をそっと離し、まっすぐな瞳で見つめられて
恥ずかしくなって顔を逸らしてしまう。
「ちよ、ちゃんと顔見て」
逸らした顔を引き戻すように、顎をクイっと持ち上げられる。
『っ…恥ずかしい…』
不意打ちの呼び捨てにドキっとしながら、視線を合わせる。
「ありがとうな、大好き」
唇に優しくキスをされて、続けて浮かんだ無邪気な笑顔。
初めて見るその表情に、心臓が飛び跳ねた。
『私も…大好き。生まれてきてくれてありがとう、財前くん』
手を繋いで、路地裏を後にした。
「まぁ…あとは」
『え?』
「そろそろ下の名前で呼ばれたいっすね」
『…っっ、また今度!』
お誕生日、おめでとう
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