薄明とか背徳とか

皇后崎side


「はぁ?! 皇后崎の恋バナ?!」


 煽り合いの末口を滑らせた結果だ。意外だったのか四季は口を開いた間抜けヅラで驚いた。知られただけでも気分が悪いのに、誰だなんだと最悪だ。

「うるせぇだまれ!」

「誰だよ!! 協力するから言えって!!」

 こいつは普段から恋バナや修学旅行と言った普通の高校生になりたがる。

「……なら俺は出る」

 追求に嫌気がさしてドアに手をかけた。今までならなぜ夜部屋にいないのか説明が面倒そうでできなかったことができる。これに関してだけは、俺にとっても好都合だ。

「見回りがきたら適当にいっとけ」

「まじ?」

 四季は目を丸くしたあと、うざいくらいキラキラと輝かせた。

「告白? いってら! がんばれよ!」

「…………」

 落ち着かない自室から出た後の廊下は、いつも以上に薄暗く感じられる。

 ……いつもなら言い返すところだが、返す言葉に詰まってやめた。顔では平常を取り繕っているが、内心は大荒れである。

 夜も深いこの時間、勝手な行動がバレて退学なんて言わないだろうな。
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