中学生編
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「円堂さん、もう遭遇しちゃったんですか?アレに」
「…おう」
虎丸は目をぱちくりさせた後、「あーあ」とだけ呟いて、苦笑い。
やっぱ、知ってたんだ。
ま、まあ幼馴染だし、むしろ知っててくれないと困る。
めちゃくちゃドキドキして、その日は眠れなかったくらいだ。
「昔から、なんですよ。アレ、レオの癖というか、性質悪い…んですけど」
言いながら頭を抱える虎丸。
そうか、なんか…お前の苦労が見えた気がするよ。
「すぱっと、起きれれば問題ないんですけど…今回みたいにうたた寝とかしてると、寝ぼけてることがあって」
「寝ぼけてると、ああなるのか」
「はい。甘えん坊っていうか、小さな子供みたいになるんです」
あ、甘えるって…き、きききキスも?
聞きたかったけど、妙に恥ずかしくて。
「いつも、俺の腕を枕にして二度寝しちゃって…そのあとはいつも通り」
「そう、か」
あの時の礼生は本当に可愛くて。
俺のこと、下の名前で呼んでたし、にこにこ微笑んでたし、キス…されたし。
ああもう思い出したらドキドキしてきた。
「ところで、」
虎丸が悪戯っ子みたいな笑顔で、話を切り替える。
嫌な予感しか、しない。
「円堂さんって、レオのこと好きでしょう?」
「え、いや、その…」
「あー!赤くなった!やっぱりそうなんだあ」
あははと笑う虎丸は悪気なんてまるでなくて、ただただ楽しそうに笑ってた。
「だって、円堂さんって、いっつもレオのこと見てるじゃないですか」
「えっ…そんなことないって」
「あーりーまーすー」
「そうか?」
「ええ、絶対!」
困惑している俺に、虎丸は優しい目をして柔らかく微笑んだ。
「だから、レオのこと頼んでいいですか?」
「…え、」
頼むって、どういうことだ?
虎丸は少し困ったように笑いながら、続ける。
「あいつ、気難しいけど本当は繊細で、すごく脆いから。今思えば、言いたいこともっとたくさん隠しているような気がするんです」
「…言いたいこと黙ってるって、ことか?」
「だから、寝ぼけた時にあんなに甘えるんじゃないかなって」
「虎丸…」
そっか、お前ずっと心配してたんだな。
サッカーしなくなった時も、どんな時も、いつも虎丸のサポートに徹してた礼生が本当はどんな気持ちでいたのか。
「わかった、」
俺は礼生が好きだ。
だから、あいつの心がどこかで深く傷ついているのなら俺にできることをしてやりたい。
普段から、あんな風に君が笑ってくれるなら…そう思わずにはいられない。
『トラー!』
廊下の向こうから、礼生の声。
虎丸がはっと気づいたように、顔を引きつらせる。
「5時間目、移動教室だったっけ…」
「ははっ、じゃあまた放課後な」
「はい!またあとで」
虎丸が礼生に向かって走っていく。
俺はその背をただただ見ていた。
いつか、君が素直になってくれたなら、世界はどんな風に色づくんだろう。
なんて、らしくないこと考えるくらいに君が好きなんだ。
本音の裏返し
(円堂、先は長そうだな)
(…鬼道、って、何の話だ?)
(何ってなあ、豪炎寺)
(そうだな、お前の前途多難な恋路だろ)
(…今の、聞いてたな?)
(聞こえたんだよ、円堂)