中学生編
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予選一回戦の相手は野生中。
あのジャングルの中にある野性味溢れる学校での試合。
でも、一年前の俺たちじゃない。
壁山だって、豪炎寺だって、もう大丈夫だ。
試合が展開される中、雷門中のゴールには一点だって入れられていなかった。
前半の時点でのスコアは1-0…
これも、礼生がシュートというシュートを全て止めた上で、有り得ない腕力でゴール前まで投げ込んでいたお蔭だ。
ボールを受けた染岡のドラゴンスレイヤーが華麗に決まって、俺たちは先制点を奪うことができた。
「やっぱり、すげえよ…」
口から言葉がほろりと零れる。
ああ、すごいなって…ただ素直にそう思った。
結局一回たりとも必殺技は使ってない。
“虎丸も、本気でサッカーやってんだ。お前も、もう好きにサッカーしていいんだよ”
俺、すげえ自分勝手かも…なんて、そんなの今更か。
相手の都合を無視して、俺のサッカーやりたい気持ちを押し付けてきたのはいつものこと。
それを受け止めてくれたみんなの優しさと、本気の想いが俺を支えてくれてた。
「礼生」
お前も、本気で応えてくれてるんだよな。
あんなに嫌がってたのに、それでも君はゴールを守ってくれる。
そんなにボロボロになってまで。
いつも、秋たちはこんな気持ちで俺たちのこと見守ってくれてたんだ…。
「レオ!」
風丸の声がした。
野生中のカウンター攻撃。渾身のシュートは今までの比じゃない。
必殺技なしじゃ、いくら礼生でも…いや、あいつなら大丈夫。
きっと、守り抜いてくれるって信じてる。
『…私を、舐めないでいただきたいですね』
礼生が微笑った。それも、かなりニヒルな表情で。
笑っているけど、目が笑ってない…まさにライオンみたいな肉食獣の瞳。
礼生が構えた。
初めて、構えた?
目を閉じる礼生。
ボールはもう寸前まで来ていたその時、カッと目を見開く。
すごい気力、そして現れたのは百獣の王。
『獅子奮迅!』
力強く、獲物を狩るかのごとく、止められたボールは礼生の腕に収まっていた。
そのまま礼生は駆け出して、ボールを蹴りだした。両手を広げ、剣が舞う。
あれって…もしかして、ロングシュート。
『グラディウスアーチ!』
まっすぐグラウンドを突っ切るそのシュートの先には虎丸。
『行けっ、トラ!』
「はああああ!!タイガーストーム!!!!」
グラディウスアーチからのタイガーストームは、思いっきり野生中へのゴールへと突き刺さる。
顎まで伝う汗を礼生が拭うと、虎丸は嬉しそうに飛びついた。
礼生は礼生で鬱陶しそうに、虎丸の頭を軽く叩いていたけど。
結局、そのあと豪炎寺と染岡の連携シュートで三点目を決めて、雷門が勝利を収めた。
「お前、本当にすげえな」
ベンチに帰ってきた礼生にそう言うと、むすっと表情を曇らせる。
『そんなこと、ありませんよ』
「うわ、レオ照れてるー!」
『あんまり喚くと出前手伝いませんから』
「あ、ごめんって!」
ああ、本当に雷門の選手になってくんねえかなあって思うのは俺だけなのかな。
「このまま選手になればいいのに」
壁山がぽつりと呟いて、栗松と風丸が賛同していた。
俺もそう思うよ。
俺たちのいなくなった後、ストライカーとキーパーが揃ってエースだったらって。
『…フィールドプレイヤーとしても、使っていただけるのだというのなら』
礼生がまっすぐ俺を見る。
今、何を言おうとしてるんだ?
『正式に、入部届を提出しましょう』
「…え、だって、今まであんなに…嫌がって、」
『ええ、そうですね。そんな嫌がる私をもう一度ピッチへ引きずりだしたのですから、きちんとキャプテンとして責任を取ってもらわなければいけません』
ふっと、君が微笑んだ。
『改めて、よろしくお願いします。“円堂”キャプテン』
君の笑顔が眩しくて
(ホントに!?)
(おや、必要ないと言うのでしたらすぐにでも撤回いたしますが)
(そんなことないって!サンキュ!)