中学生編
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翌日から、礼生は俺のユニフォームを着て練習に参加し始めた。
まずは身体を慣らすとか言って、豪炎寺や染岡のシュート練習に付き合っていた。
虎丸以外は唖然としていた。
いくら、必殺技を使ってないシュートだって言っても、豪炎寺、染岡のパワーは相当だ。
それを…涼しそうな顔で、必殺技も使わずに全部止めていた。
めちゃくちゃ強いじゃん…。
なんで、あんなに嫌がっていたんだろう。
『染岡先輩、今の爪先が当たったでしょう?シュートのコースがぶれています』
「え、ああ…よくわかったな」
『普段散々あれの練習に付き合っていますからね、多少はわかりますよ。ああ、それで、もう一歩手前で加速できますか?その方がきっと威力が増すはずです』
「おう、ちょっとやってみる」
染岡の打ったシュートを、あの瞬間に正確に分析して、より威力のあるシュートを打たせようとしている。
横で見ていた豪炎寺も、少し遠くにいた鬼道も、ベンチにいた夏未もすごく感心していた。
練習が終わっても、礼生はまだ虎丸と一緒にグラウンドに残っていた。
でも、絶対に必殺技は使わなかった。
「レオ、やっぱ強いじゃん」
『やるからには、半端は嫌なだけですよ。何事も任された以上、全力でやらなければ』
「その辺は相変わらずだね」
『自分だってすぐに調子に乗るくせに』
二人は兄弟みたいで、でも、信頼し合っている親友なんだなってわかった。
見ていて、俺と豪炎寺の面影が重なる。
「あれ、円堂さん。残ってたんですか?」
不意に虎丸の声が俺に向いた。
二人が、グラウンドから俺を見ている。
俺もグラウンドに歩み寄った。
「まだ、練習してんだなあって思ってさ。ちょっと見てたんだ」
「そうなんですか。あ、そうだ、円堂さんから見て、レオはどうですか?」
その言葉に、礼生の肩が少しだけ跳ねた気がした。
「…お前ら二人なら、俺達が卒業しても雷門を任せられるって思った」
「え、」
『……質問の答えとしては、ずれていますよ』
「あ、ああ、そっか。でも素直にそう思ったんだ」
一瞬だけ目を伏せてから、礼生は沈みかかった夕陽を見ていた。
「やっぱりさ、雷門のキーパーになれよ…礼生」
『…この試合だけ、ではなかったんですか』
「だって、もったいねえじゃん」
「円堂さん…」
礼生はぎゅっと拳を握った。
「虎丸も、本気でサッカーやってんだ。お前も、もう好きにサッカーしていいんだよ」
それはきっと虎丸が言えなかった言葉。
この言葉を外側の奴が言っていいのかなんてわからない。
だけど、言わずには居られなかった。
俺はお前のプレーを見てたかったから。
「レオ…」
心配そうな虎丸の呼びかけに、礼生はゆっくりと息を吐いた。
『…考えて、おきます』
きっと、礼生にとっては大きな一歩。
俺はその言葉が嬉しかった。
「ああ、ゆっくりでいい、考えておいてくれ」
それだけ言うと、礼生はこくりと頷いた。
決めかねる決断
(君のサッカーを見ていたい。君にならゴールを任せられる…そう思うんだ)