大人編
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講義を終えて、時計を見れば14時半。
部活まで少し時間があったため、図書館で時間を潰して、現在15時を回ったところ。
今から向かえば、部活が始まるくらいには着けそうだ。
自転車置き場から、自慢のマウンテンバイクを出して、キャンパスを出た。
雷門に行くのはいつ振りだろうか。
あいつが姿を消してからは一度も行ってない。
どこで、何をしているかは知らないにしても、かつての仲間がバラバラになった以上、足を運ぶには気分がのらない。
もう、私たちの場所ではないのだと、そう思ってしまうのが寂しいのかもしれないけれど。
『…着いた』
時計は15時半を少し過ぎた程。まだ部員の姿はない。
恐らく、あの大きなサッカー部棟で、ミーティングをしているのだろう。
サッカーボールが転がっているのを見て、身体が疼いた。
ボールを蹴りたい。
サッカーがしたい。
私がゴールを守りたい。
サークルにも、随分顔を出してない所為もあり、サッカーがやりたくてたまらない。
無意識のうちに鞄をベンチに投げて、ボールを蹴っていた。
ひとりだけど、サッカーが楽しい。
いつかまた、あの人たちとサッカーができるだろうか。
世界をまたに掛けるあの人たちと。
『…グラディウスアーチッ!!』
久々のロングシュートも衰えてはいなかったことに安堵する。
ボールがゴールネットを揺らす。
やっぱりサッカーが好きだ。
あの人が、連れ戻してくれた、このフィールドが大好きだ。
「おーい、礼生ー」
「あ、もう来てたんですね!」
ぱっと顔を上げれば、守さんに天馬君。
そして、テレビ中継でしかみたことのない、今の雷門イレブン。
『思っていたよりも、早く着いてしまって…つい、』
そう言いかけた時、すでに天馬君が傍まで駆け寄ってきていた。
「すっごいです!!さっきのシュート!俺にも教えてください!!」
目のキラキラした感じがますます守さんに似てきている。
すると、守さんが三国君と倉間君を呼びつけた。
二人の驚いた表情からすると、今この場で説明をしたようだ。
…相変わらずですね。
『…あの人は、相変わらずですね』
そう言うと天馬君がにこっと笑った。
「はい!円堂監督とサッカーしてると、すっごく楽しいです!」
『でしょうね…目の輝きが、あの人と同じです』
「え、」
『そっくりです…昔のあの人に』
ふふっと微笑んで見せれば、天馬君は嬉しそうに満面の笑みを見せてくれた。
サッカーが好きで好きでたまらない、サッカーバカの笑顔。
ここは、そんなサッカーバカの集まり。
反発しようがしまいが、結局サッカーが好きっていう根本の気持ちは変わらないはず。
「礼生、」
『ああ、なんですか、守さん』
「一応自己紹介して!」
『…自己紹介、ですか』
にっと笑うあの人に釣られて、笑みがこぼれる。
そうだ、ここはもう私たちの場所じゃない。
でも、私たちもここにいたんだ。
息を吸い込み、「今」の彼らに向けて、言葉を紡ぐ。
『獅子宮礼生、雷門中二代目GK兼三代目キャプテンです』
にっと笑って見せれば、驚いた表情。
『本日の指導にあたり、手加減皆無でいきますので、よろしくお願いいたします。文句は聞きますが、その要求を飲みはしませんので』
付いて来れない、雑草根性のない子は、ここではきっとやってはいけないのだろうし。
手厳しくても構わないと、久遠監督も仰っていたし。
『私と、あなた方の勝負です。逃げるなんて、情けない方はいらっしゃいませんよね』
あの時、貴方がしてくれたように、私もそうしようと思います。
手厳しく参ります。
(少々横暴なくらいがちょうどいい)