大人編
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今日の講義は2限目から。
私自身の授業というわけではなく、単に画材等の用意など教授の手伝いに行くだけのもの。
授業開始は10時半。自宅からだと、自転車ならば対して遠くもないため朝はゆっくりできる。
バタバタせずに、朝食の準備をしてテーブルに並べる。
守さんのお昼ご飯も作って、電子レンジの上にラップをかけて置いておいた。
『なかなか起きてきませんね…あの人』
まあ、寝坊助なのは昔から。
よく守さんの家に行くと、中からお母さんに怒られる声と、バタバタと慌ただしい足音。そして、勢いよく玄関から飛び出してくる守さんの口には食パン。
『変わりませんね、本当に』
変わらないのはあの人だけではなく、あの人の気持ちも、あの人への気持ちも、この9年間何一つ変わることはなかった。
海外で活躍する守さんのその勇姿を見られると嬉しくなるのは、やっぱり私の中にあの人への憧れが少なからず残っているから。
がたん、とん、とん、とん…
『おはようございます、よく眠っていたようですね』
「ん、ああ、おはよ」
寝ぼけ眼を擦りながら、席へ着く。
「礼生、今日学校何時から?」
『10時半なので、10時過ぎにはもう家出ますよ』
「…わかった」
本当にわかっているのだろうかと苦笑して、守さんに珈琲を淹れたカップを渡した。
「美味しい…」
『今日はカフェオレにしたんですが、大丈夫でしたか?』
「ああ、たまに違うの飲むと味違うからなんか新しい感じ」
『そうですか』
にこっと微笑む、その笑顔が愛おしい。何より、安心する。
やっぱり、私は、貴方が好きで仕方がないらしい。
それを毎日再認識するのは、貴方が戻ってきて、傍にいられる時間が増えたからだと思う。
『お昼ご飯、電子レンジの上です。温め直して食べてください』
「うん、ありがとう、礼生」
『いいえ、あ、でも、食器は水に付けておいてくださいね?』
「わ、わかってるって」
『ふふっ、はい、信じてますよ』
少し赤くなって、視線を逸らす守さん。
ああ、幸せな時間。
「あ、そうだ」
『?』
「今日、何時に帰ってくる?」
『今日は…14時半過ぎには、講義は終わるので、稲妻町には15時過ぎには戻って来れるかと思います』
「今日さ、練習見に来ないか?」
『練習…ですか?』
にっと笑って守さんが言う。
ああ、やっぱり、“キャプテン”だ。
「いや、なんか全体見てると、三国の練習時間かけて見てやれなくてさ、礼生にちょっと見てやってほしいんだ」
『三国くんがGKでしたね』
「あと、倉間。あいつ俺の話聞きやしねえんだもん。警戒されるっつーか、なんていうか」
『わかりました、学校終わったら雷門に寄ります』
「おう、ごめんな、忙しいのに」
『いいんです、久々の雷門…すごく楽しみです』
「そっか…俺も楽しみ、礼生とサッカーできんの久しぶりだし」
『あ、言っておきますが、容赦はしませんので』
「…ん、まあ、なんとかなるって」
そう言って珈琲を口に含む。
さて、私も朝食を食べたら学校に向かいましょうか。
お昼ご飯はここですよ
(ちゃんと、水に付けてくださいね)
(わかったってば!)
(それではいってきます)
(おう、気を付けてな)