中学生編
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あいつに会ったのは、三回目だった。
一回目は虎丸が家に帰る理由を探ったとき。
二回目はののみさんが、虎の屋のお弁当を届けてくれたとき。
あいつはそこにいた。
虎丸の幼馴染、獅子宮礼生。
この春、その礼生と再会した。
「よっ!元気か?」
そう声を掛けたら、相変わらず表情を変えずに頷いた。
『ええ、問題ありません』
可愛げがない。
横にいた虎丸が俺のところに来て、なにやら弁解していたけど、別にいいよって笑ってやった。
虎丸が悪いわけじゃないから。
『トラを、呼びに来たのでしょう?』
冷たい視線を俺に向ける。
ああ、この視線が痛い。
ぐっさり心に突き刺さる。
「お、おう」
『ならば、さっさと連れて行ってください』
「ちょっと、レオ!」
『早くしないと、練習が始まりますよ』
虎丸も言い返せない、なんとも絶対的な言い分。
まあ、でも、なあ。
一人でも部員は多い方が楽しい。
何より、見てみたいんだよなあ…。
「俺、虎丸を呼びに来たんだけどさ…」
『?』
「…円堂さん?」
虎丸が首を傾げて、礼生は眉間に皺をぎゅっと寄せた。
綺麗な顔してるのにもったいない。
「お前をサッカー部に誘いに来た」
虎丸の顔がぱっと晴れるのと同時に、礼生は心底嫌そうな顔をした。
うわ、極端。
つーか、めっちゃくちゃわかりやすい。
そして即答。
『お断りします』
その一点張りだった。
なんで、サッカー辞めたのか。
そんなことは明白だったけど…
でも、虎丸の出場した世界大会を羨望の眼差しで見ていたことは知っているから。
だから、お前のサッカーも見てみたい。
「まあ、そう言うなよ。礼生、サッカーやろうぜ!」
「そうだよ!また一緒に…」
『お断りします』
俺をキッと睨みつける。
『今のサッカー部に私は要らない、違いますか?正ゴールキーパーが世界最強のサッカー部にキーパーは要らない、そうでしょう』
矢継ぎ早にそう言うと、くるりと踵を返す。
でも、このまま逃すのはもったいない。
いつか、いや、せめて俺が卒業する前に、こいつの本気のサッカー見てみたい。
「じゃあ、まず、マネージャーやってくれよ」
俺の言葉に、呆れたように溜め息を吐く。
『しつこいですね…しかし、やる、と言うまできっと食い下がるのでしょう?』
「あ、じゃあ…」
『ええ、マネージャーなら、引き受けましょう。トラの目付けだと思えば対して苦でもないでしょうから』
「どーいう意味だよっ」
『そのままですよ、君には、ね』
虎丸と礼生の言い争いを仲裁する。
そして、俺は二人と一緒に部室に戻ったんだ。
春が、来た。
(みんな、新入部員だ!)
(お久しぶりです、みなさん!)
(…はあ)