大人編
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守さんは日本に帰って来てから、雷門の監督に就任した。
なんでも、久遠さんからのお願いだそうで、怪我が大したことなかったのにもかかわらず帰国することになったのはその所為らしい。
(…監督ですか、まあ向いてはいるでしょうね)
いつも誰かの前に立って、手を引っ張ってくれる貴方ならば、きっと大丈夫。
そんな守さんから、夕飯を一人分追加されたのはつい先程の話。
何でも、部活の子を連れて帰るから、だとか。
まったく相変わらずですね。
ご飯支度をしていると、玄関から鍵の開く音。
「ただいまー」
ぱたぱたと玄関まで出迎えれば、あの笑顔。
『おかえりなさい、守さん』
「おう、これ。買いだしのやつ」
『すみません、わざわざ』
「天馬が手伝ってくれたから」
『そうでしたか…天馬君、ありがとうございます』
そう言うと、顔を真っ赤にして首を横に振る天馬君。
なんだか、誰かさんを見ているみたいだ。
『夕飯できてますよ、どうぞ』
「お、お邪魔します」
リビングへ招き入れれば、二人して目を輝かせていた。
子供がふたりいるようでなんだか可笑しい。
「すげえな、礼生」
『中学生って意外と食べますからね』
「すごい!美味しそうです!」
『どうぞたくさん召し上がってください』
「はい!」
二人してバカみたいに食べるから、あっという間になくなってしまった。
さすがですね…本当によく食べるひとだ。
『本当に、たくさん食べましたね、貴方たちは…』
「だってすごい美味しかったです!円堂監督羨ましいです、こんな美味しいご飯食べられて」
「だろー?」
『大人げないですよ、守さん』
そうは言いながらも自慢してもらえるのは嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
「レオさん何してるひとなんですか?」
『私は美大の4回生です』
「え!?学生さんなんですか!?」
『ええ、でも成人はしてますよ?』
「円堂監督…」
「なんだよ、天馬」
天馬君が守さんをじっと見る。
まあ、言いたいことはわからなくもないけれど。
「でもまあ、二つ違いだしな…そこはしょうがない」
『それ、一緒に住みだす時にも言ってましたね』
「えー!そうなんですか?って、いつから一緒に住んでるんですか?」
『私まだ高校生だった気がします』
くすくす笑って言えば、驚いた顔で守さんをガン見する天馬君。
「円堂監督ぅー」
守さんの視線が泳いでいる。
そんなわかりやすいので誰が誤魔化されるんだろうか。
『高校二年でプロポーズ受けたのには吃驚しましたが、でも…嬉しかったんです、私は』
貴方に会って色んなことが変わって、でもそれは全部いい方向に変わっていった。
だから、このひととなら大丈夫…そう思ったのは、単に若いとかそういうことではなかったと思う。
「うわあ…すごい幸せそうです!」
『ええ、とても幸せです…あ、あの、守さん?』
「円堂監督すっごい照れてる、」
真っ赤になってるから驚いた。
「いいなあ、すごく幸せな気持ちになってきます」
無邪気に笑う天馬君に、守さんの面影が見えるのは…きっと似ているからなんでしょう。
誰かの心をそっと包んでくれる、そういう優しいひとなんだってことだと思う。
「俺、そろそろ帰りますね。秋姉にもあんまり遅くまでいたらダメって言われてるし」
『そうですか、またいつでも遊びに来てくださいね、天馬君』
「オレ天馬を送ってくる」
『わかりました、夜道気を付けてください』
「わかってる」
そっと頬に軽くキスをして、守さんは玄関へ行ってしまった。
まったく…貴方というひとは。
「本当に仲良しなんですね、円堂監督とレオさんは」
『そう見えてたら嬉しいです』
「あ!そうだ、今度練習見に来てください!」
『時間があったら、ぜひ』
「それじゃあ、今日は晩ごはんご馳走様でした」
天馬君もまた元気に駆けて行った。
確かに受け継がれている雷門らしさは、あの人が戻ってきたことでより色が濃くなっている。
きっと大丈夫って思うのは、貴方の教え子たちだからなんでしょうね。
円堂監督の恋人
(ねえ、信助!昨日ね、円堂監督の家でご飯食べたんだよ)
(えー!天馬いいなあ)
(監督の恋人すっごい綺麗なヒトだった!)