大人編
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怪我をした、だから帰るよ。
そう言うと電話口で思いっきり涙声。
ごめんな、心配かけて。
「礼生、大したことないから泣くなよ」
『で、でもっ!』
「ごめん、俺の言い方が悪かった。ホント、捻っただけなんだ」
『だって、帰国…』
「それはさ、別の事情があるんだ。帰ったら、話すから…家で待っててくれよ」
うっ、と言葉を詰まらせる。
昔はもっと気丈っていうか、スパーンってなんでもぶった切るような言い方だったのに。
俺、そんなに甘やかしたかなあ。
ぐずぐずと鼻声になっているのも、可愛いなとか思って。
『待ってます、道中気を付けてくださいね』
「うん、わかった」
そんな会話から、1週間後。
俺は帰国して、一度久遠監督に会ってから、家に帰った。
家は一軒家。
俺がプロになった後、すぐくらいに買った家。
その時、まだ高校生だった礼生にプロポーズして一緒に住んでいる。
って、言っても、俺は海外にいて、一人ぼっちにさしちまってるけど。
「ただいまー、って、え、ちょ」
帰るなり、リビングから勢いよく音がして、思いっきり抱きつかれた。
『守さんっ、』
今にも泣きそうな顔がめちゃくちゃ可愛い。頭の中で何かが弾けた。
礼生の顎に手をかけて、口付ける。深く口付ければ、強請るように唇を舐められる。
ああもう…ホントにお前は。舌を入れれば、すぐに絡めてくれる。
歯列をなぞれば震える礼生の肩。
「甘っ、」
『ふぁっ、ん、まも、る、さ、』
腰に手を回して、身体を密着させる。
聞こえてくる鼓動は俺の?それとも、君の?
「あーもう、全然我慢できなかった」
鼻先が当たるくらい顔を近づけて言えば、真っ赤になって、見つめられる。
とろけた目がなんとも艶めかしい。
『…いきなり、すぎます』
「だって、可愛かったから」
『だ、だってじゃ、ありません…』
上目遣いで言われても、全然反省する気が起こらない。
もっと、イケナイことしたくなる。
「あのさ、」
『何ですか?』
「…もっとしたいんだけど」
『だ、ダメですっ…明日もまだ講義と実習が、』
「だよなあ…」
わかってはいるんだけど。二つ年下の礼生は成人こそしてるけど、まだ大学生。
今年で4回生、つまり最後の学年なわけで。まだまだ講義やら、卒業制作やらがある。麗しの美大生だ。
あんまりわがまま言って困らせたら、可哀想だよなあ。
『…ま、守さん、その、』
「ん?」
恥らいながら、俯く礼生は、いつもみたいにぽんぽん言葉が出てこない。
きゅ、と俺の服を掴んで、顔を埋める。これは恥ずかしい時の癖。
か細い声で、途切れ途切れに紡がれる言葉。
『…あの、お、お風呂、一緒に…入り、ません、か、』
え、今、なんて。恥らうその姿が可愛い、可愛すぎる。
顔が熱くなるのがわかる。そんな恥ずかしそうに言われたら、こっちまで恥ずかしいだろ。
『せ、せっかく、帰ってきた、わけですし、』
そこまで言った礼生の口を再び塞ぐ。
「ごめんな、寂しかった…よな」
『寂しかった、ですけど、でも…活躍してるの見ると、嬉しかったです』
「ホントにお前は、我儘言わないよなあ…」
頬に軽くキスをすると、嬉しそうに目を細めて笑うから。
昔っから、お前には適わないよ、ホント。
「そんじゃあ、」
『へ、え、えっ!?』
礼生をお姫様だっこする。相変わらず、細いし、軽いし。
ばたばたと暴れるのがおかしくて。
「風呂、入るんだろ?」
そう言うと、顔を真っ赤にして、こくんと頷いた。
「礼生、」
『はい?』
「ただいま」
すると、首に腕を回して、嬉しそうに応えてくれた。
『おかえりなさい』
君のその言葉ひとつで帰ってきてよかった、って思うんだ。
ただいま、
(なあ、今日晩飯なに?)
(今日はハンバーグ、ですけど)
(あとであーん、してくれよ)
(い、いいですけど…恥ずかしいです)
(いや…今の方がよっぽど恥ずかしいと思うけど)
(ひゃん!どど、どこ触ってるんですか!?)