中学生編
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卒業式がやって来た。
あっという間に、3年間が過ぎた。
1年の時には、サッカー部を復活させることからスタートして、2年になって部員が揃って、いろんなやつらに出会って、3年になって全国大会二連覇…本当に、すごい楽しかった。
辛かったことや、苦しかったことがなかったわけじゃない。
それぞれの心に残る傷は、きっと消えたりするわけじゃない。
だけど、俺はやっぱサッカー好きだから。
これからも、ずっとずっとサッカーを好きでいる。
『卒業、ですね』
礼生がしみじみと言った。
俺が怒られて、勉強して、高校に受かったのが1か月前。
しかも、体育会系の特待生の中で半分より上の成績だったから自分でも吃驚した。
それからは、一緒に部活に混じってたから、本当に礼生とはずっと一緒にいた。
今も、こうして鉄塔広場のベンチに一緒に腰かけている。
「早かったなあ…」
『そうですね』
礼生が困ったように笑う。
『あのゴールを、貴方なしで守っていかなければならないと…改めて思うと、少々心細いです』
「大丈夫だよ、お前なら」
『そうでしょうか…』
「大丈夫、絶対きっと大丈夫!」
そう言って笑えば、礼生も笑ってくれた。
「あーでも、俺も礼生のこと心配だなー」
『…何故ですか?』
「だって、お前すっげーファン多いし」
頬が赤くなって、目が泳いでる。
うわあ…めちゃくちゃ照れてる。
いや、多分これは…俺の所為、だよな。
「礼生ー?焦点合ってるかー?」
『あ、えと、大丈夫、です…』
「俺ちょっと安心」
『え、え?』
「だって、俺がヤキモチ妬いただけで、そんなに照れるんだったら、心配ないじゃん」
すっごく恥ずかしそうに、顔をそっぽ向けられた。
その反応可愛いんだけど顔見えないんだよな。
こんなん見れるの、俺だけって思ったら、もっともっと#礼生のこと好きになっていくんだ。
『は、恥ずかしいこと、言わないで…ください』
きっと睨まれたけど、そんな可愛い顔で言われてもって思う。
なんでこんなに可愛いんだか、わからない。
「あのさ、」
『何ですか?』
「毎日メールしてもいい?」
『ええ、もちろんですよ』
「電話も」
『はい』
「俺、多分、むちゃくちゃ言って、会いたいとか言うかもだけど…無理しなくていいから、」
『私、きっと行ってしまいます』
きゅん。
まただ、礼生の言葉に、笑顔に、胸がときめく。
心臓の音が速くなる。
『だって、私も会いたいです…守さんに』
ぐわーっとくる衝動に抑えが利かない。
ここが外だとか、学校の帰りだとか、そんなのどうでもよくなって、ただ抱きしめたいとか、キスしたいとか、頭ん中いっぱいになる。
ぎゅーっと抱きしめると、俺の耳に当たる吐息。
あ、と思った瞬間、かぷり、と噛まれた。
「礼生、だから…耳はっ、」
『ごめんなさい、私も抑えられなかった、』
少し身体を離して、顔を見合わせる。
熱っぽい瞳を向けられて、ああもうだめだって心のどこかが溶けた気がした。
『あ、あの…どうしても、耳、噛んじゃうんです』
「礼生」
『自分でも、なんでだか…わからない、んです』
ちょっとパニックになってる。
あ、そっか。
いつも沈着冷静で、機械みたいにテキパキしてて、あんま笑わなかったから、こんな風に気持ちが先に走っていっちゃうのがわかんないのかも。
「別に、怒ってるわけじゃないんだ」
『…本当、ですか』
「ホントだって。ただ、その、ちょっと、耳弱いっていうか、うーん…なんていうか、俺の抑えがホントにヤバい、感じだからさ」
こてん、と首を傾げる礼生。
うん、ホントに怒ってない。
怒ってないけど、気持ちよすぎて、おかしくなりそうだから…だから、勘弁してほしい。
『気を付けます』
なんとなく、何か察したようで、まあ…外だったらしなくなると思う。
礼生の頭を優しく撫でると気持ちよさそうに目を細めた。
「そろそろ、帰るか?」
『…まだ、一緒にいてもいいですか?』
「じゃあさ、今日泊まりに来いよ」
『え、いいんですか?』
「うん、明日土曜日だし、礼生も休みだろ?」
『はい!』
ものすごく嬉しそうに笑うから、もうホントに俺もいろいろヤバい。
高校入ってからも、毎日礼生に会いたくなっちゃうから、大変だなあ…。
「じゃ、ほら、行くぞ!」
『はいっ』
手を差し出せば、嬉しそうに君が手を重ねてくれる。
俺は何があっても、この手を絶対手放さない。
何があっても、この先ずっと守ってみせるから。
君に、隣にいてほしい、と願う。
愛しき君と、
この先もずっと
(母ちゃん、礼生泊まりに来た!)
(あんた無理言ったんじゃないだろーね)
(そんなことしねえよ!)
(お邪魔します、守さんのお母さま)
(あらあら、礼生くんいらっしゃい)
fin