中学生編
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あれからというもの、俺は珍しく勉強を続けていた。
やっぱり、国語とか答えが必ず一個になんないのはちょっと苦手だったりするけど(相変わらず、字も下手だし)、でも…少しずつわかるようになってきた気がする。
「やったじゃない、円堂くん!」
「ホント、ちゃんと点数上がってるじゃん」
返された俺の小テストを見て、秋も半田も褒めてくれた、というか一緒に喜んでくれた。
「サンキュな、ふたりとも!でも、最近勉強わかってきた気がするんだ、もう少し勉強教えてくれないか?」
「もちろんよ、ね、半田くん」
「おう!」
三人ではしゃいでたら、豪炎寺がこっちをじっと見て、口パクで「おめでとう」と言ってくれた。
嬉しいし、楽しい。
わかるっていうだけで、まるでやる気が違う。
できるなら、もっといい点数取って、礼生を吃驚させてやりたい。
時々、息が詰まって、みんなとボールを蹴って、身体の重しを取っ払足りしてるけど。
「なあ、なあ、これ…見てくれよ!」
そう言って、俺の部屋でテストを広げると、礼生は驚いて目を丸くしていた。
けっして、すごくいい点数っばかりじゃない。
だけど、赤点どころか0点ばっかだった俺が、ちゃんと平均点に届いてるのは、秋と半田、何よりちゃんと怒ってくれた礼生のお陰だ。
『…すごい、』
「国語と現社がちょっと低いけど、平均点は超えてんだぜ!ていうか、全部平均点以上でさ、先生も母ちゃんも吃驚してた!」
『そうですね、吃驚…したでしょうね』
まだ驚いているのか、妙に歯切れが悪い。
だけど、ちゃんとテストを見て、目を細めて優しく微笑ってくれてるのが嬉しい。
『すごいです、本当に』
「もっと褒めて、礼生」
『吃驚しすぎて言葉が上手く出てこないんです』
そう言った笑顔が可愛くて、胸がきゅんとなる。
久々のときめきにドキドキが加速する。
このテスト期間の一週間は俺が会わないって、決めたから本当に廊下ですれ違うくらいしか姿すらも見かけてなかった(毎日メールはしてたけどな)。
『えっと、そう…ですね』
うーん、と唸っているのも珍しい。
というよりも、めちゃくちゃ可愛いんだけど。
あ、と小さく声を出して、にっこりと満面の笑みを向けられた。
『よくできました!ご褒美は何がいいですか?』
やばい、可愛い。
何なんだよ、この可愛い生き物。
ああもう、あのクールさとのギャップに悶え死にそう。
「うーん、どうしようかなあ」
『…決めてなかったんですね、守さん』
「うん、とりあえず勉強しなきゃって思ってたし」
くすっと笑みを零す礼生。
紫の目がキラキラしてる気がしてきた。
俺が考えてる間に、礼生はテストを集めて、綺麗に揃えてファイルへしまってくれた。
後ろを向いた瞬間、揺れる後ろ髪に目を奪われて、気がついたら後ろから抱きしめていた。
『守さん?』
首だけこっちを向いて、目を合わせる。
めちゃくちゃ近い。もう、鼻先当たりそうだ。
「ごめん、会うの我慢してたから…つい」
優しく微笑んで、ちゅ、と口付けられた。
「え、あの…礼生、さん?」
『すみません、私も結構寂しくて…こんなに近くにいるから我慢できませんでした』
仕掛けたのは俺なのに、まんまとしてやられた気がする。
「あのさ、」
『なんですか?』
「ご褒美、決めたんだけど」
『あ、私にできることなら、何でも言ってください』
「えっと、甘えて、くんない?」
きょとんと目を丸くして、ぱちぱちとまばたきをした礼生。
『いいんですか?』
「うん、俺がそうしたいから」
『…何だか、私がご褒美をもらったような気分です』
口を尖らせて言うのが、珍しくて、ついついほっぺにキスをした。
少しだけ頬を赤らめて身体を反転させて、俺の首筋に頭をぐりぐり押し付けて埋めた。
「ほんっとうに、可愛くてしょうがないよ」
ぎゅう、と力を込めて抱きしめれば、首に腕を回された。
顔を覗き込んだら、なんだかいつもより表情が幼く見えた。
「好きだよ、礼生」
そう言えば、強請るようにキスされて、あろうことか俺の耳を噛んだ(甘噛みだけど)。
「え、ひっ、礼生!?」
悪戯っ子みたいな少し悪そうな笑みを浮かべて、君は言った。
『…ライオンの飼育は痛いですよ?』
どうやら、この大きな猫は、甘えると噛みつく癖があるらしい。
肉食動物、ですよ?
(ひぃっ、も、噛むなって!)
(下手なキスマークより性質悪いですね)
(お前なあ…んっ、ちゅ、)
(噛んだの、許して…くれますか?)
(…ゆ、許す)
(守さん!)
((あーもう、くそ、遊ばれてる…))