中学生編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
帝国学園との決勝。
まさかの引き分けで、前代未聞の2校同時の本選出場となった。
こんなことがあるのかと思ったけど、あったんだから吃驚だ。
本選には、初戦から木戸川と当たったり、今年から参加の漫遊寺との一戦、メンバー揃えてきた白恋との準決勝。
そして、やっぱり最後には帝国との決戦。
残り時間の少ない中で、懸命に走って、ホイッスルの鳴った瞬間、虎丸と礼生の必殺シュートが決まって、決勝点となった。
俺たちの、最後ののフットボールフロンティアは二連覇という形で締めくくったんだ。
例によって俺たち三年はやっぱり引退しなくてはならず、夏未によって高校に合格しない限りフィールドへの立ち入りを禁止された。
かと言って、俺たちがサッカーをしていないわけじゃない。
試合には出られないけど、公園や河川敷のグラウンド、鉄塔広場でサッカーをしている。
『守さん!』
「げ、ヤバ…見つかった」
『見つかったじゃありません!貴方は本当に高校へ行く気があるんですか!?』
「いや、ほら、その気分転換ていうか…」
『鬼道先輩や松野先輩ならともかく、貴方は多少なりとも勉強をしなくちゃいけない部類の人でしょうに…』
はあ、と溜め息を吐く礼生。
本当に申し訳ないけど、俺は本当に勉強が苦手だ。
だからと言って、しないわけにもいかない。
いくら、スポーツ推薦の特待が決まっていても、常識と各科目の基礎くらいは持っていかないといけないわけだ。
『まったく…貴方はすぐにこうなんですから、』
困ったように眉をひそめて、俺をじっと見る。
「だって、ずっと座ってんの苦手だし」
『…そういう時は、リフティングをしながら覚えるんですよ』
「え、なに、それ」
俺が興味を持って聞くと、礼生は俺のボールを手にして、器用に足で操った。
そして、何かを唱えだした。
『ひとよ、ひとよに、ひとみごろ、』
(…ルートの語呂?)
『エックス、イコール、2a分のマイナスb、プラマイルートの、b二乗、マイナス4ac』
(あ、公式…)
『1:1:√2と、1:2:√3』
(えっと、三角形の、やつ…だっけ?)
そこで、礼生の足が止まった。
あれ、でもこれって、三年でやるヤツも混ざってるような…気がする。
「…それ、どこで覚えたんだ?」
『補習用プリントですが、』
「え、」
『貴方は持ち物をあっちこっち置くので、そういうモノも目に入りやすいところへ落としていることが多いです』
「え!?見たのか!?」
うっわ…俺のプリント見たのか。
すげえ恥ずかしいんだけど。
点数超悪いし…全然答え違うし。
『…わかっているのに、慌てるから問題をかき回すんです』
「わかって、る…って俺が?」
『ええ、貴方の場合なんとなくでも理解はしているはずなんです、ただ…』
「ただ?」
『問題を解く前から諦めている…ホイッスルの鳴る前から試合が終わってるんです』
「…あ、」
そっか、勉強嫌いって思って、最初っからやる気がないから…だから、頭の中がぐちゃぐちゃになるんだ。
『私には三年生の公式を暗記できても、貴方にちゃんと教えることはできません。ですから、木野先輩と半田先輩にお願いしておきました』
「…え、秋と半田?」
ええ、と少し微笑んで頷く。
『あの二人なら、平均点くらいは取れるように教えてくれるでしょうからね…さすがに、鬼道先輩だと貴方の脳みそがキャパオーバーしそうですから』
「あー…なんとなく、わかる」
俺、自分のことなのに最初から諦めてた。
そうだよな、サッカーと一緒だ。
シュートが決まんないから、ボールが止められないからって諦めたことなんかない。
要するに気合いの問題ってことだよな!
「俺、頑張る」
ぐっと拳を握ると、そっと伸びてくる手。
俺の手を両手で包んで微笑ってくれた。
「礼生」
『応援してますよ、私にできることがあったら何でも言ってください』
「ありがとな、礼生」
そう言うと、くすっと笑われた。
「な、なんだよ…」
『いえ、貴方のありがとうがなんだか嬉しくて、少しくすぐったいですね』
そんなこと言われたら、俺の方がくすぐったいだろ!
自分の顔に熱が集まるのがわかる。
なんか無性に恥ずかしい。
だけど、一緒になら頑張れる気がする。
苦手なことも、
頑張ろうと思える
(…やる気でるように、ご褒美用意しましょうか?)
(え!?マジで!?)
(成績が上がったら、貴方のお願い、何でも聞きますよ)
(うわ、うわあ…俺マジで頑張る)
(それでは、まず国語、数学、英語からですね)