男主/影山の息子
FF編
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次の練習試合は尾刈斗中。
勝てば、フットボールフロンティアへ出場。
負ければ、廃部という厳しい条件を突きつけられた。
ただ、尾刈斗中の不穏な噂を聞いて戦意を喪失する部員達。
そして、たった一度だけ助けてくれた豪炎寺にすがろうとする一年たち。
染岡君は気を悪くして、いや…焦っていた。
誰もいない河川敷で染岡君は一人で練習していた。
そして、いつも遠くから練習を見ている豪炎寺君。
見ているとどこか心苦しかった。
なんだか、二人とも大切なものを見落としている気がして。
とりあえず、染岡君は付き合いの長い円堂君に任せることにした。
僕の向かう先は、橋の上の豪炎寺君。
『豪炎寺君』
「…お前」
『ちょっと、時間いいかな?』
「あぁ…」
少し冷たい口調で豪炎寺君が「何か用か」と言った。
『あの時、嬉しかったんだ…僕』
「…何がだ?」
不思議そうな目を僕に向けている。
にこっと笑ってみせれば、ますます眉間に皺が寄った。
『半年振りに出た試合だったから…すごく嬉しかった』
「…半年振り?」
『実は僕も、一年の時に編入して来たんだ…雷門に』
「そうか」
『編入してきた時、もうサッカーしないって思ってた』
「どうしてだ?」
豪炎寺君は相変わらず眉間に皺が寄っていた。
『サッカー…嫌いになりそうだったから』
「…なりそうだった?」
『うん、なりそうだったから距離を置いたんだ。
悪く言えば、逃げちゃったんだけどね…サッカーから』
僕は豪炎寺君を見た。
視線がぶつかる。まっすぐな瞳。
『前の学校のサッカーが合わなくて。
サッカーも、仲間も裏切って…ここへ逃げたのかもしれないね』
へらへら笑いながら言ってみる。
でも、瞳までは笑いきれていないのは自分でもわかってる。
「じゃあ、何故あの時…」
豪炎寺君が言い終わらないうちに僕は言った。
『行かなきゃって、思ったんだ。
豪炎寺君を見て…不思議とそう思った』
「俺を、見て…?」
『うん…だから、僕のパスをちゃんと取ってくれて嬉しかった』
「…そうか」
少し俯いた豪炎寺君。
何か、思うことがあるのかな。
そんなことを思っていたら、豪炎寺君から突拍子もない言葉が飛んできた。
「お前、去年のフットボールフロンティア…覚えてるか?」
『…え』
その言葉を聞いた途端、身体が硬直するのがわかった。
「お前の前いた学校って…帝国だろ」
豪炎寺君ははっきりと言った。
僕が、帝国出身だと言うことを。
表情がどんどん強張る。なんだか、不安になる。
『…そう、だよ。どうして…わかったの?』
「去年のフットボールフロンティアの決勝だ」
記憶を辿る、確かその試合は…
『木戸川対帝国…』
「あぁ、だからか…お前のこと見たことがあったんだ」
『そ、か…』
伏せ目がちな豪炎寺君。
僕もどんどん顔色は青ざめていた。
帝国のことを思い出すと、身体が震える。
『…っ』
「お、おいっ」
倒れそうになる僕を豪炎寺君が支えてくれた。
『ご、ごめん…』
そう言った声も弱く、か細い。
自分でもなんだか情けなかった。
豪炎寺君に支えられて、昏倒することは免れた僕。
心配そうな顔で僕を見た豪炎寺君。
「大丈夫か?」
『ごめん…帝国のこと思い出すと、なぜだか倒れちゃうんだ。
自分でも、すごく情けないって思うけど…こればっかりは』
そんな僕に豪炎寺君はすまなそうな顔をしていた。
…そんな顔してほしくないよ、豪炎寺君。
「知らなかったとはいえ、悪かった」
『そんな顔しないで…豪炎寺君』
「だが…」
『みんなには黙っててね』
「…っ」
どうしてかな、君には笑ってほしいよ。
『それでも、悪いって思ってる?』
「あぁ、本当にすまない…」
『だったら、』
「…?」
『豪炎寺君の話、聞かせて』
「え…」
『それで、チャラにするよ』
僕は豪炎寺君の貸してくれた肩を離れ、自分の足で立った。
どうやら、血の気は戻ってきたみたい。
豪炎寺君は僕を見て、河川敷のグラウンドに目を移した。
「あの決勝の日、妹が事故にあったんだ」
『…事故?』
豪炎寺君はこくりと頷いた。
「事故のことを聞いたのは試合の直前だった」
『…そっか、いなかったよね』
「あぁ、病院に向かったからな」
そう言った豪炎寺君は何かを迷っているようだった。
『妹さんのために、サッカーを辞めたの?』
「そうだ」
『…豪炎寺君、僕は円堂君たちとサッカーやった方がいいと思うよ』
「いや、俺は…夕香が目覚めるまでは」
僕は首を横に振った。
『妹さん、サッカーしてる豪炎寺君が好きだと思うよ』
「…お前」
にっと笑ってみせると、初めて豪炎寺君が笑ってくれた。
『あの決勝をきっかけに辞めた二人。
今度は同じチームになるなんて、運命感じない?』
「…ただの偶然だ」
素っ気無く言ったものの、口元は笑っていた。
『つれないよー、豪炎寺君』
「…お前、変な奴だな」
くすくすと笑う豪炎寺君に、僕は少し膨れて見せた。
「本当に表情がくるくる回って、夕香みたいだな」
『そ、そう?』
「あぁ」
豪炎寺君はなんだか迷いが晴れたみたいに笑ってくれる。
なんだか、それが嬉しかった。
「お前…確か、影山」
『時雨!!影山時雨だよ、豪炎寺君』
「時雨」
豪炎寺君に名前を呼ばれると、なんだか緊張する。
「その…なんだ。“豪炎寺君”っていうの、辞めないか?」
『…嫌だった?』
「そうじゃない。ただ、俺だけ下の名前で呼ぶのもアレだろ」
『じゃ、じゃあ…修也!!』
勢いでそう言うと、豪炎寺君もとい修也は目を丸くした。
その後、すぐ照れたように頬が赤くなる。
『照れてる?』
「べ、別に…照れてない」
照れる修也はなんだか可愛かった。
クールなのかと思ってたけど、意外な一面だ。
この後、みんなのところに一緒に戻った修也はサッカーをやる、と告げた。
(ちょっと運命的だなー)
(本当に、変な奴…///)
勝てば、フットボールフロンティアへ出場。
負ければ、廃部という厳しい条件を突きつけられた。
ただ、尾刈斗中の不穏な噂を聞いて戦意を喪失する部員達。
そして、たった一度だけ助けてくれた豪炎寺にすがろうとする一年たち。
染岡君は気を悪くして、いや…焦っていた。
誰もいない河川敷で染岡君は一人で練習していた。
そして、いつも遠くから練習を見ている豪炎寺君。
見ているとどこか心苦しかった。
なんだか、二人とも大切なものを見落としている気がして。
とりあえず、染岡君は付き合いの長い円堂君に任せることにした。
僕の向かう先は、橋の上の豪炎寺君。
『豪炎寺君』
「…お前」
『ちょっと、時間いいかな?』
「あぁ…」
少し冷たい口調で豪炎寺君が「何か用か」と言った。
『あの時、嬉しかったんだ…僕』
「…何がだ?」
不思議そうな目を僕に向けている。
にこっと笑ってみせれば、ますます眉間に皺が寄った。
『半年振りに出た試合だったから…すごく嬉しかった』
「…半年振り?」
『実は僕も、一年の時に編入して来たんだ…雷門に』
「そうか」
『編入してきた時、もうサッカーしないって思ってた』
「どうしてだ?」
豪炎寺君は相変わらず眉間に皺が寄っていた。
『サッカー…嫌いになりそうだったから』
「…なりそうだった?」
『うん、なりそうだったから距離を置いたんだ。
悪く言えば、逃げちゃったんだけどね…サッカーから』
僕は豪炎寺君を見た。
視線がぶつかる。まっすぐな瞳。
『前の学校のサッカーが合わなくて。
サッカーも、仲間も裏切って…ここへ逃げたのかもしれないね』
へらへら笑いながら言ってみる。
でも、瞳までは笑いきれていないのは自分でもわかってる。
「じゃあ、何故あの時…」
豪炎寺君が言い終わらないうちに僕は言った。
『行かなきゃって、思ったんだ。
豪炎寺君を見て…不思議とそう思った』
「俺を、見て…?」
『うん…だから、僕のパスをちゃんと取ってくれて嬉しかった』
「…そうか」
少し俯いた豪炎寺君。
何か、思うことがあるのかな。
そんなことを思っていたら、豪炎寺君から突拍子もない言葉が飛んできた。
「お前、去年のフットボールフロンティア…覚えてるか?」
『…え』
その言葉を聞いた途端、身体が硬直するのがわかった。
「お前の前いた学校って…帝国だろ」
豪炎寺君ははっきりと言った。
僕が、帝国出身だと言うことを。
表情がどんどん強張る。なんだか、不安になる。
『…そう、だよ。どうして…わかったの?』
「去年のフットボールフロンティアの決勝だ」
記憶を辿る、確かその試合は…
『木戸川対帝国…』
「あぁ、だからか…お前のこと見たことがあったんだ」
『そ、か…』
伏せ目がちな豪炎寺君。
僕もどんどん顔色は青ざめていた。
帝国のことを思い出すと、身体が震える。
『…っ』
「お、おいっ」
倒れそうになる僕を豪炎寺君が支えてくれた。
『ご、ごめん…』
そう言った声も弱く、か細い。
自分でもなんだか情けなかった。
豪炎寺君に支えられて、昏倒することは免れた僕。
心配そうな顔で僕を見た豪炎寺君。
「大丈夫か?」
『ごめん…帝国のこと思い出すと、なぜだか倒れちゃうんだ。
自分でも、すごく情けないって思うけど…こればっかりは』
そんな僕に豪炎寺君はすまなそうな顔をしていた。
…そんな顔してほしくないよ、豪炎寺君。
「知らなかったとはいえ、悪かった」
『そんな顔しないで…豪炎寺君』
「だが…」
『みんなには黙っててね』
「…っ」
どうしてかな、君には笑ってほしいよ。
『それでも、悪いって思ってる?』
「あぁ、本当にすまない…」
『だったら、』
「…?」
『豪炎寺君の話、聞かせて』
「え…」
『それで、チャラにするよ』
僕は豪炎寺君の貸してくれた肩を離れ、自分の足で立った。
どうやら、血の気は戻ってきたみたい。
豪炎寺君は僕を見て、河川敷のグラウンドに目を移した。
「あの決勝の日、妹が事故にあったんだ」
『…事故?』
豪炎寺君はこくりと頷いた。
「事故のことを聞いたのは試合の直前だった」
『…そっか、いなかったよね』
「あぁ、病院に向かったからな」
そう言った豪炎寺君は何かを迷っているようだった。
『妹さんのために、サッカーを辞めたの?』
「そうだ」
『…豪炎寺君、僕は円堂君たちとサッカーやった方がいいと思うよ』
「いや、俺は…夕香が目覚めるまでは」
僕は首を横に振った。
『妹さん、サッカーしてる豪炎寺君が好きだと思うよ』
「…お前」
にっと笑ってみせると、初めて豪炎寺君が笑ってくれた。
『あの決勝をきっかけに辞めた二人。
今度は同じチームになるなんて、運命感じない?』
「…ただの偶然だ」
素っ気無く言ったものの、口元は笑っていた。
『つれないよー、豪炎寺君』
「…お前、変な奴だな」
くすくすと笑う豪炎寺君に、僕は少し膨れて見せた。
「本当に表情がくるくる回って、夕香みたいだな」
『そ、そう?』
「あぁ」
豪炎寺君はなんだか迷いが晴れたみたいに笑ってくれる。
なんだか、それが嬉しかった。
「お前…確か、影山」
『時雨!!影山時雨だよ、豪炎寺君』
「時雨」
豪炎寺君に名前を呼ばれると、なんだか緊張する。
「その…なんだ。“豪炎寺君”っていうの、辞めないか?」
『…嫌だった?』
「そうじゃない。ただ、俺だけ下の名前で呼ぶのもアレだろ」
『じゃ、じゃあ…修也!!』
勢いでそう言うと、豪炎寺君もとい修也は目を丸くした。
その後、すぐ照れたように頬が赤くなる。
『照れてる?』
「べ、別に…照れてない」
照れる修也はなんだか可愛かった。
クールなのかと思ってたけど、意外な一面だ。
この後、みんなのところに一緒に戻った修也はサッカーをやる、と告げた。
(ちょっと運命的だなー)
(本当に、変な奴…///)