男主/影山の息子
FFI本選編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
嵌められた、本気でイナズマジャパンを壊すつもりなのか。
『あの電話は!』
「お前の思っている通りだ、」
「影山、貴様…」
やっぱりもっと大きな闇が、この人の背後について回っているんだ。
一人で複数の工作をすることは難しい。そんなこと、中学生の僕だってわかる。
『…修也、』
気が付けば足は急いぎ始めていて、駆け出そうとしていた。フィデオに止められ、イタリアのバスで港まで急ぐ。心臓の音が速い。
修也に、みんなに何かあったら、僕は…
「いつまで震える気だ、お前は」
『あ、きお…』
「お前が信じないでどうすんだ、豪炎寺も、飛鷹も、立向居も」
『うん』
道路も事故で塞がってしまい、間に合いそうだった港にはギリギリだ。しかも、着いた時には出発してしまう始末。
みんな…大丈夫、だよね。約束のペンダントを握り締める。
港の待合室にあったテレビで試合中継を見る。すると、修也はピッチに入る前にペンダントを握り締めていた。同じこと、してる…そう思ったら、力が抜けて。
そのまま意識を失った。
覚えているのは、僕を呼ぶ声だけ。堕ちた意識は真っ暗だった。
でも、節々に照らされる光たち。
それはきっと、修也の、勇気の、征矢の、みんなの絆の光。
また一つ、光が増える…冬花と秋ちゃん、春菜。夕弥、塀吾郎、鉄平。そうだ、みんなで戦ってる。
『みんなで、戦ってるんだ』
目を開けたら、そこには新必殺技グランドファイアが画面に映っていた。
『修也、ヒロト、虎ちゃん…』
「起きたかよ、」
『うん…』
だけど、既に時間は残ってなくて。虚しくも終了のホイッスルがグラウンドに響いた。夕方、四人と一緒に一度宿舎へ戻った。
みんなに父さんのことを説明した。だから行けなかったんだって。僕はここで怒鳴られても、罵られてもしょうがなかったのに、みんな何も言わなかった。
『ごめん、また…父さんを、』
「お前の所為じゃない」
修也に優しく頭を撫でられた。温かい、手放したくない、守りたい。
守りたかった、のに。修也だけじゃない。みんなのことを守りたくて、僕はオルフェウスに会いに行ったのに。何て、無力なんだろう。
苦しい、でも、言わないと。
『みんなに…言わなきゃ、いけないことがある』
言い淀む自分が情けなかった。
『影山零治がミスターKとしてオルフェウスに居座る以上、そのまま放っておくことはできない。僕はオルフェウスのスカウト状を使って、傍であの人を見張る。もう、誰かが怪我をするのも、傷つくもの嫌だから。』
その言葉にみんな驚いていた。でも、ヒロトは目を伏せて頷いた。
「自分で決めたんだね」
『うん』
「…君が自分で決めたのなら、選んだ道を進めばいいと俺は思うよ」
『ヒロト』
「なんとなく気持ちがわかるんだ。俺は父さんの1番になりたくて必死になって、父さんの計画に加担した。でも、君は瞳子姉さんと同じように立ち向かおうとしている。俺は応援するし、協力もする。他のみんなはどうかな?」
優しく笑うヒロト。かつては世界を支配しようとした吉良財閥のハイソルジャー。だけど、原動力は家族の愛を欲しがったから。
「大丈夫ッスよ。俺たちもっと練習して強くなるッス!」
「壁山くんのいう通り!私たち1年生も成長してますから!」
塀吾郎も春奈もあったかい。勇気も鉄平も頷いてくれた。
『みんな…明日から、違うチームになるし、試合では戦うことになる。だけど、みんなを裏切ったわけじゃない…それだけはわかってほしいんだ』
両肩に頼もしい手が乗せられる。
「わかってるさ」
「これでお前とも戦えると思えば、気合いも入る」
『有人、次郎、」
守に背中をぽん、と叩かれる。
「違うチームに行っても、敵じゃない。佐久間の言う通りライバルとして競い合えるんだ。誰もお前のこと裏切ったなんて思ってないぜ、サッカー好きな仲間だろ」
「円堂の言う通りだ、お前と試合できるのを楽しみにしてる」
『守、修也…』
ありがとう。僕のわがままを聞いてくれて。
みんな、大事な僕の仲間だ。
翌朝、修也に見送られてイナズマジャパンの宿舎を経った。
ありがとう、みんな。
僕の想いを汲んでくれて。
今日から僕は、イタリア代表オルフェウスだ。
『おはよう』
「やぁ、時雨、おはよう」
『フィデオ、今日からよろしくね』
「あぁ、今日はイギリスとの試合だ。思いの外ジュゼッペの怪我がよくない」
『本当に、キャプテン以外の空きが出てしまった…ってこと?』
「そうだ。時雨はジョルジョと入れ替わりでスタメンに入ってくれ」
宿舎に着くなり、フィデオからは今日の試合のことを伝えられた。いきなり、スタメンか。そんなことを思っていると、渡されたオルフェウスのユニフォーム。
「君は15番、ジュゼッペが番号を使ってくれって」
『…いいの?背番号、』
「かまわないさ。それにもともと君の背番号が15なんだってマモルから聞いたんだ」
『…ありがとう』
「今日の試合、頑張ろう」
『うん』
イギリス代表、ナイツ・オブ・クイーンとの試合にいざ。
「時雨、俺はお前がミスターKの子供でも信じる」
『ブラージ…』
「奴とお前は別の人間だ。何より、代表決定戦…一緒に戦ってくれた」
「うん、だから信じるよ」
『ラファエレ、アンジェロ…』
「フィデオを支えてくれ」
『うん!』
あれ、フィデオ…
なんだか、様子がおかしい。
『父さんが気になるの?』
「時雨…俺にはミスターKがただの悪人には思えない」
『…フィデオ』
「様子を見たい、いいかな」
『みんなは、うんって言わないと思うけど』
「だろうな…」
フィデオにも何か感じるんだろうか。なんだろう、この不思議な感じ。
『信じていいのはサッカーセンス、それ以外の人格の部分はダメだよ』
「え、」
『あの人はサッカーを愛している…憎むことで愛しているんだ』
「憎む、ことで」
『だから、憎むという行為がサッカーを愛する行為だと気付いていない』
父さんを見る。復讐に囚われ、憎しむことでしか愛せない。不器用で可哀相な人だった。うわべの悪事に隠れて見えてこない部分。ずっと復讐だと思っている感情はサッカーを愛していることの裏返し。愛しているから、許せない。
『きっと、気になるのはそういうことだから…』
「そっか…」
「何話してるんだ、試合が始まるぞ」
ブラージに言われて、ポジションに戻る。フィデオは父さんの何が気になっているんだろう。
試合開始直後から、イギリスの猛攻撃。イタリアは防戦一方だ。
エドガーは無敵の槍の体勢に入っている。先制点を奪われたまま、前半が終了。このままでは、勝てない。
ハーフタイム、攻略の糸口が見えないオルフェウスは、みんなイライラしている。もし、この時点でディフェンダーを二人にして…
無敵の槍の、シュートを打つその瞬間を付けば攻略可能ではある。
フィデオも悩んでいる。
「フッ…」
「何がおかしい」
「君達との約束を、破ってもいいかな?あるいは…」
父さんが僕を見た。なんだ、この状況下で何を…
「時雨の考えでいってはどうかな。恐らく同じ結論だろう」
『…同じ?』
「当然だ、お前にサッカーを仕込んだのは私なのだからな」
嫌な笑み。苛立つブラージを牽制し、フィデオが僕を見た。フィデオ…いいのか、この作戦で。
「時雨、考えを聞かせてくれないか」
『……でも』
「いいんだ、聞かせてくれ」
真っ直ぐな目。逃れられないことを知る。
『…選手交代、DFを二人にする』
「そんなことできるわけ…」
『その空いたスペースへ誘い込む』
「何…」
『後は、シュートを打つその瞬間ブロックすれば…もしかしたら、いけるかも』
それを聞いた父さんはけたたましく笑い出す。本当に、同じ結論だったのか。いや、そうだ。僕のルーツはまごうことなき、影山零治そして影山東吾。
「さて、私の戦略と全く同じそれを、君達は使うのかね?」
『……っ、フィデオ』
「やってみよう」
『…ブラージ』
「フィデオが言うんだ、1回だけ付き合ってやる」
『うん』
後半、その通りやってペースをオルフェウスに戻した。監督としの能力はやはり高い。その素性さえしっかりしていれば、もっと色んな人と競い合って来れたんじゃないのか。
試合はドリブルではなく高低差のあるパスで繋ぎ、そこから逆転劇を見せた。
試合後、エドガーも驚いていた。前半と後半では同じチームとは思えない動きだと。
ミスターKと名乗ってまで、影山零治はなぜ戻ってきたのだろうか。単なる支援者の命令とは思えない。何がこの人をここまで動かしているのだろうか。
『どうして、グラウンドに戻って来たんだろう…』
ふと、一人残るグラウンドで呟いた。
ロッカールームで着替えを終えた僕を待っていたの思いもよらない人物。
「ごきげんよう、時雨君」
みんなには先に戻ってもらうように言ってある。だから、誰もいないと思ったのに。
『…な、つみ、ちゃん』
「今日の試合凄かったわね、驚いたわ」
『なんで、ここに?』
「貴方に用があったのよ」
『僕に?』
そう言って、スタジアムを夏未ちゃんと一緒に出た。夏未ちゃんに連れられてきたのは、ブラジルエリアのカフェテラス。あれ…なんだろう、ここ。すごく、嫌な感じ…何かが凄く嫌な感じ。
『それで、用って?』
「時雨君、冬花さんに違和感を感じたことは無い?」
『冬花に?』
「えぇ、彼女も貴方と因果関係にあることがわかったの」
『…冬花と僕が』
突然のことに事態がつかめない。どうして、冬花?
「冬花さんの本当の名前は小野冬花さん」
『…小野、』
「円堂君のおじいさん、大介さんのことは知ってるわね?彼は生きている、国外逃亡をさせた人たちによって…」
『どうして、それを僕に?』
「貴方に関係しているのはここからよ」
夏未ちゃんの目が鋭くなる。
「大介さんを救ったのは、影山の仲間でありながら悪行を阻止しようとした人たちがいたの」
『内側からってことか…』
「えぇ、その中心人物こそが冬花さんのお父様。小野正隆さん」
『小野正隆…』
「影山の裏の顔を知らずに、使われていたの」
『でも、本当のことを知って許せなくなった…』
「そうよ、当時影山に反抗することはできなかった。かろうじてできたのは、大介さんを逃がすことだった」
冬花のお父さんまで、父さんの駒だった。その事実がショックだ。
「でも、ご両親の死因は本当の事故。影山は関係ないわ」
『…そっか、冬花のお父さん』
「凹んでいる場合じゃないわよ、もう一つ重要な事実があるの」
『これ以上に?』
「もちろん」
これ以上に、重要なことって。
「影山について調べれていくうちに、驚くべきことにぶつかった」
『…もっと大きな存在が背後についている、とか』
「えぇ、知ってたの?」
『知っていたというよりは、なんとなくいるんじゃないかなって』
「そうだったの…」
『ありがとう、教えてくれて』
「確かなところに辿りつけていなくて申し訳ないわ」
『ううん、なんとなくわかってきた…ぼやけていたことが』
後は、父さん自身を見て僕の欲しい答えを見つける。どうしてサッカーに戻ってきたのか、サッカーをどう思っているのか。
『本当に、ありがとう』
「役に立てたのならよかった」
『鬼瓦さんや梅雨ちゃんに会ったらよろしくね』
「えぇ、伝えておくわ」
そう言って、夏未ちゃんは颯爽と帰っていった。僕もイタリアエリアに戻ろう。でも…その前に、寄り道して行こうかな。
『飛鳥、いるかな』
