男主/影山の息子
FFI本選編
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韓国戦を経て、本選に出られることになったイナズマジャパン。
しかし、出発に伴って選手の入れ替えが言い渡された。士郎とリュウジが竜吾と次郎と入れ替えになる。
ただ二人とも、ここで終わるなんて思ってない。
きっと、戻ってくる。
見送りには、たくさんの人が来てくれて。
雷門のみんなや夕香ちゃん、ののみさん、虎ちゃんのお母さんにアカリやスズメたち。
だけど、僕には気にかかっていることがあった。それは一通の手紙。差出人はイタリア代表のキャプテン。彼からの手紙にはイタリア代表へのスカウト状と、一言。
“闇の真実を知りたくはないか”
それが何なのか僕にはすぐにわかった。
父さん、つまり影山零治のことであるんだろう。
『…イタリア』
どうして、イタリアなんだろうと思いつつ、思い当たる言葉が一つ。
それは恐らく最強の必殺タクティクス。
行けば、わかるんだろうか。わからないだらけの中で、一つだけわかることがある。
ーー父さんは生きている。
そして、この大会のどこかに潜んでいる。
『生きている、絶対に』
犯した罪と共に、闇の中で。
僕は手紙を鞄にしまい、条介の怯える飛行機へと搭乗した。
ライオコット島、通称サッカーアイランド。
そこへ着いてからは、イナズマキャラバンでジャパンエリアまで移動する。セントラル、アメリカ、イギリス、イタリアと進んでいくキャラバン。不意にイタリア宿舎前で守がキャラバンを止めた。まさに今、イタリア代表が練習をしているところだった。
その中に光る一人の選手。まるで、フィールド全てが見えているようだ。
『白い流星…』
「何か言ったか、時雨」
『ううん、何でもないよ。有人』
もし、イタリアのスカウトを受けたなら、彼と一緒にサッカーすることになる。僕は無条件で日本代表を置いて受けるわけにはいかない。
本当に父さんの魔の手が迫っていない限りは。
白い流星こと、フィデオ・アルデナ。彼がキャプテンマークを預かるイタリア代表の格の選手。
『…試合、か』
どうしたら、いいんだろう。父さんに動きが無いうちはみんなに不安を与える。ならば動きを見せるまで、僕も待ってみよう。この安直な判断が、後の結果に影響することを僕はわかっていなかった。
翌日、イギリス代表から親善パーティがあり、招待を受けたらしい。正直言って行きたくない。なんだか、面倒くさそうな匂いがする。非情に胡散臭い。
僕は準備を始めるみんなをよそに、一人練習に向かう守を追いかけた。
『まーもる』
「ん、あぁ、時雨。どうした?」
『背中から煮詰まってるオーラ出てたから、気になって』
「…そっか」
一瞬、守の表情が翳った気がした。守も何かを抱えて、戦っている。なかなか、力になれないことが悔しい。
「やってるな」
声がして、振り返るとそこには。
「フィデオ」
『…守、白い流星と知り合いなの?』
「あぁ」
「マモル、彼は?」
「こっちは影山時雨、俺たちのチームの監督補助なんだ!」
『そんな対したものじゃないって』
「じゃあ、君もサッカーできるんだな?」
『うん』
「だったら、一緒にやらないか?」
「もちろん!な、時雨」
『うん』
こうして、フィデオと守と三人で特訓をしていた。
そこへ現れたアルゼンチン代表キャプテン。
「『テレス・トルーエ!?』」
「なんだ、知り合いか?」
「テレスを知らないのか?」
『うん、守だからね…』
溜め息を吐いて、フィデオにそう言うと彼は口をあんぐりと開けていた。予選では無失点、アンデスの不落の要塞。それが、テレス・トルーエのいるジ・エンパイアだ。ただ、日本人には興味が無いらしい。彼はフィデオを探して、ここまで来たようだ。
テレスがフィデオに勝負を申し込もうという時、そこに現れたアメリカ代表、マークとディラン。
『マーク・クルーガーにディラン・キース!?ちょっと、今日これどうなってるの?こんなところに…』
世界各地のスーパープレイヤーが集まっている。何、これ。まるで、夢のような。
「誰だ?」
「彼らのことも知らないのか?」
『守、一哉と飛鳥のチームメイトだよ。エースのディランとキャプテンのマーク』
「そうか、一之瀬たちの!」
「さすがに一之瀬のことは知ってるんだ…」
安心したように言うフィデオ。守はきょとんとしていた。まぁ、そんなこと知らないで一緒にサッカーしてたもんね。
『…一哉も有名人だしね』
「あぁ、サッカーやってるものなら誰だって知ってるさ」
そんな一哉が褒めたというので、ユニコーンの二人は守を見に来たらしい。それを聞いて、テレスの顔色も変わる。マークがふっと笑って、僕を見る。
「それにしても、随分変わってしまったな」
『え、』
「君だって知る人ぞ知るプレイヤーだろ、女王様」
「ミーたちドモンから聞いて、思い出したのさ」
「ジャパンジュニアリーグの絶対的支配者をね?」
それは明らかに、父さんのそばにいた頃の自分。
だったら、あの日、飛鳥が僕に声を掛けてくれたのも納得がいく。
『飛鳥、』
なんだか無性に飛鳥に会いたいな。
「時雨?」
『ううん、大丈夫』
「だったら、いいんだけど」
結局、テレス、フィデオ、マークにディランと僕、守で勝負をすることになった。みんなやっぱり上手い。世界レベルは違う…一哉や飛鳥はこんなところで小さい頃からサッカーしてきたんだ。
「くそっ…コイツ、」
『身体ちっちゃいからって舐めてもらっちゃ困るよ!』
だけど、そんな選手と渡り合っている自分がいる。
凄い、凄い、みんな凄い!取っても取られても、こんなに楽しいなんて。何より一つの試合じゃ戦えない、贅沢な勝負なんだ。日が暮れていることになんか全然気が付かなくて、もっとサッカーしてたくて…すっかり、
「忘れてた!」
秋ちゃんの声がして、気が付いたように守も慌てだした。あ、忘れてた。
「どうしたんだ?」
『イギリスの親善パーティだよ、監督が行けってさ』
きょとん、とした四人。僕がそう言うと、妙に納得したように頷いて。守は慌てて秋ちゃんの元に駆け寄った。
『みんな、ありがとう!楽しかった!』
僕もそう言って笑いかけ、守の後を追った。
イギリスエリアまで走って行く僕達。途中で秋ちゃんの靴が壊れてしまったけど、守がおぶって走り出す。
「行くぞー!超高速ダッシュー!」
『急げー!』
着いてから気が付いた。特訓したまま来たから、守はユニフォームで僕は普段の作業用のつなぎ姿。
そりゃあ、視線も痛いよね…
三人で立ち往生していると、冬花が傍に来てくれた。
「秋さん、守くん、時雨くん」
彼女の横にはイギリスのキャプテン。
『申し訳ありません、遅刻した上にこのような格好で…』
「構いませんよ。花は遅く咲くほど美しい…それが二輪ともなれば、また」
冬花が互いを紹介してくれる。エドガーは僕と守の格好を見て、着替えてくるように言ってくれた。
ちょっと、小バカにしたようにも見えたけど。
「ん??これ何だ?」
『あぁ、それ最後。先にシャツのボタン閉めて』
守は絶対にこんなの来たことないだろうから順番に教えてあげた。僕は実家の正装があるから、一緒のものを着るわけじゃない。水無月家の正装は紋付袴だ。この会場では目立つだろうけど、梅雨ちゃんが張り切って用意したこれを着ないのは申し訳ない。
「カッコイイな、それ。前髪も半分上げたのか」
『うん、これが家の正装だからね』
「なんか、いいなぁ」
守がようやく着替え終わって、一緒に会場に戻った。有人は安堵したのか、ふふっと笑っていた。
エドガーはまた守をバカにしたように笑った。明らかに、喧嘩を売られている。
『…紳士の国が聞いて呆れるよ』
「いいんだ。あとはグラウンドでその想いをぶつければ」
『うん…そうだね』
プライドが高いのは悪いことじゃない。だけど、こういうのはなんか違うんじゃないかな。
エドガーと守の一本勝負。
守はあっさり負けたのに、強い相手と戦えるそれが嬉しいようで。僕はそれを見て安心した。
『次のステップですね、久遠監督』
このパーティへ行かせた監督の意図がわかった。
まだまだ強くなれる。僕もみんなにやってあげられることをやってあげよう。
たとえ、フィールドに立てなくても。
