男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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ちくりと痛む首筋の痛みに気付いたのは雷門中に着く少し前。
稲妻町の様子がおかしい。
雷門中には誰もいないし、天気も暗い。
嫌な感じが立ち込めている。
そこへ現れたのは、
『剣崎…』
そして、キャラバンを降りていったり、参加できなかったものたち。
恐らくキャラバンのバックアップチームだったメンバーだ。
最後の脅威が僕達、雷門を襲う。
剣崎の企みの為に作られた最後のチーム、ダークエンペラーズ。
強くなりたかった彼らはそれに手を出してしまったんだ。
エイリア石の力で…強くなった。
それと同時に記憶が脳裏を駆け巡る。
過去の父さんとの戦い、エイリア学園との戦い。
卑劣な手段の帝国、神のアクアを使った世宇子中…
エイリア石を使ったエイリア学園、そしてその中にあった真・帝国…
最後に現れたダークエンペラーズ。
『どうして…どうして、そんな風にしかできないんだよっ!!』
「時雨…」
『なんで、そんな風にしか考えられないんだっ』
剣崎は僕の前に歩み寄って、ふっと笑う。
嫌な笑みだった。
「貴方のお父さんにも協力していただいて、感謝してますよ。
まぁ…潜水艦と共に海の藻屑となってしまったのは大変残念ですがね」
『…うるさい』
「君にもああいう才能ってあるんでしょう?」
『…黙って、うるさい』
「なんだったら、我々と来ませんか?影山時雨君」
『……うるせーって言ってんだろうがっ』
そう言って、殴りかかりそうになった僕を3本の腕が止めた。
『離せよ、修也…飛鳥、有人』
そう言って振り返ってギロリと睨む。
だけど、三人とも動じないでしっかり視線を合わせてくれていた。
「駄目だ、自分を見失うな」
ゴーグルの奥の紅い瞳と目があった。
「親友なんだろ?だったらボコられても、止めなきゃなんねーだろ」
いつもと同じような調子で言う声にもしっかりした芯がある。
「…俺がいる、仲間がいる、一人で苦しむな」
優しく笑うその笑顔は今まで僕を支えてくれたその笑顔だった。
力が抜ける。あぁ、そうか…
道具じゃないのは僕らだけじゃない、父さんだって道具じゃない。
そうやって、軽々しく扱われたのが嫌だったんだ。
「ほら、みんなで行こうよ」
「ダーリンがそう言ってんねんで?あんたしっかりしいって」
『一哉、リカちゃん』
「しゃきっとしろって」
『痛いよ、搭子』
ばしっと搭子に背を叩かれる。
キャラバンの女の子は強い、敵わないな。
『そっか、みんな一緒なんだ』
今まで僕を助けてくれた、一緒に戦ってくれた仲間を今度が僕たちが助ける。
有人も、修也も、士郎も、みんなその想いで胸がいっぱいだった。
試合が始まる、本当の仲間を取り戻す戦いが。
やっぱり、仲間同士で戦うのは難しいみたいで戸惑って必殺技が決まらなかったりした。
格段に強くなっている一郎太たちに、必殺技が通用しない。
竜吾はボールを受け、守と塀吾郎を破りシュートしようとしている。
そこへ、士郎と共に僕は止めに行く。僕達が止めなきゃいけないんだから。
「アイスグランドッ!!」『デーモン・ハンド!!』
弾かれたボールは静かにタッチラインを越える。
舌打ちをして戻ろうとする竜吾に、士郎は想いをぶつける。
「染岡君、僕は忘れてないよ。君がどんな想いでチームを離れたか、僕に後を託したのか!!」
『行けない自分の代わりに士郎を頼むって、キャラバンへ戻ってくれって言ったこともね』
ただそんなことを言っても相手にさえされない。
もう何を言っても無駄なんだろう。
「勝つしかない、俺たちのサッカーで」
守の言葉通りだと思う。
それしかない、それ以外の方法じゃ納得しないから。
先に1点を取られたまま、ダークエンペラーズの攻撃は止まらない。
ボールは再び、一郎太から竜吾に。
『士郎っ』
「行くよ、時雨っ」
二人がかりでワイバーンクラッシュを止めにかかる。
でも、それは僕達にも勇気にも止められない。
追加点を許してしまうことになる。
なんとか追加点を与えずに持ちこたえているものの、激しい攻撃は続く一方。
2点を許したまま、前半が終わってしまった。
響木監督は僕らが動けば相手も動く、それを逆手に取ることと、条介を切り札にした。
それは今までのキャラバンの旅の様子から見ても間違いない。
波のようなリズムを作り出す、それが後半の作戦だった。
「ほら、いるやろ?」
『ありがとう、リカちゃん』
ぽん、と肩にあてられたのはマカロンの袋。
ハーフタイムに食べる分を寄越してくれたらしい。
マカロンを手に取り、口に放り込む。
すると、リカちゃんが不思議なことを言い出した。
「うち、時雨のこと…カラスみたいやなって思った」
『…鴉?』
「せや、カラス。黒い翼で羽ばたくんも、頭がキレんのもカラスやろ?
だから、うちは時雨っていうと雨ん中飛び回る賢いカラスやって思うねん」
『雨の中を飛び回る鴉…』
何か思い浮かんだような気がする。
それに、鴉っていうのも悪くない…
『悪くないね、鴉』
「怒らへんの?自分言っといてなんやけど、カラスって不吉やろ?」
『そんなことない。中国では鴉は太陽の黒点に棲む、神聖なものだよ』
リカちゃんは驚いていた。
『ありがとう、何か浮かんできたかも』
持っていたマカロンの袋をリカちゃんに返して、ピッチに戻る。
デーモンにしろ、鴉にしろ、やっぱり守護するものなんだなって思う。
この土壇場で、僕に何かができるだろうか。
後半、一郎太と守が競り合い、守が吹っ飛ばされる。
そのことに条介が怒った。
想いをぶつける。そう、雷門に入って、守と出会えたからこそわかること。
サッカーが好きで、雷門が好きで、守が、仲間が好きなんだ。
『波が引いたっ』「行け、綱海ー!!!!」
搭子からパスを受け、ツナミブーストが炸裂する。
防がれたボールを拾った士郎のウルフレジェンドが1点を返す。
そして、修也と士郎のクロスファイアで同点まで追いついた。
ずきん、と痛みが走る。
ダーク・フェニックスが勇気を襲う。
同点に追いついたはずの点差をまたあけられてしまう。
再び、猛攻が雷門を襲う。次々と倒れていく仲間達。
わかってる、もう…みんなボロボロだってことは。
勇気の手も腫れきっていることだって。
守りたい、みんなを…守るんだっ!!
一羽の鴉が勇気の前に舞い降りる。
ダーク・フェニックスは鴉の後光で力を失う。
「時雨、さん…」
自分でも、勇気の声がするまではそれが自分だって気付かなかった。
「…今の、鴉って…時雨さん?」
『なんだろう…今の』
鴉がみんなを守ってくれた。
力を中和したみたいに、無力にした。
そうか、これがきっと母さんの最後の力なんだ。
『勇気、ベンチ戻って』
「俺まだっ…」
『駄目だよ、それ以上したら手使えなくなる』
「…っ、時雨さん」
勇気はしぶしぶ納得してくれたのか、守とキーパーを交代した。
もう、ほとんどみんな倒れてる。
一郎太はボロボロになったみんなを見て、嘲笑った。
今まで戦ってきた敵と同じように。
守がゴール前に立つ。
「なぁ、時雨」
『どうかしたの、守』
守の目には強い意志が宿っている。
揺らぐことのない、信じる心が宿っている。
「立ってるのが俺たち二人でも、お前は一緒に戦ってくれるよな?」
『当たり前だよ、本当のみんなを取り戻すまで一緒に戦う』
「おう、来るぞ…時雨」
『任せて、キャプテン』
倒れている仲間の分も、僕達が戦う。
ひたすら二人でゴールを守る。
何度も、何度でも、立ち上がるのが守るだから。
そして一郎太から告げられたエイリア石を手にした理由。
僕らが、追い詰めていたんだ。
前に進むことばかり考えて、悩む者の心の闇を見落としていた。
「時雨、手を貸してくれないか」
『手?』
「お前のデーモン・ハンドと俺のゴッドハンドであいつらの想いを受け止める」
『…うん、もちろんだよ』
一郎太のシュートを受け止める。
これは彼らの叫び、強い想い。それを受け止めるのが仲間だ。
「ゴッド…」『デーモン…』「『ハンドッ!!』」
何度も、何度も受け止める。
でも、それにだって限界がある。
ついに守も僕も、地に膝をついてしまう。
「らーいもん、らーいもん」
秋ちゃんの声がする。
その声がどんどん増えて、大きな声になる。
大きな声がみんなを立ち上がらせる。
そうだ、まだだ…終わってない。
「思い出せー、みんなーっ」
『帰ってきてー!!』
守の想いがみんなに届きますように。
途端に雲が晴れ、光が差し込む。
そこで、一旦僕達の意識は途切れたらしい。
「円堂、時雨」
目を開けると、僕は守と一緒に倒れていた。
そこにはいつもの調子に戻った一郎太と竜吾、みんながいた。
「思い出してくれたんだな、みんな」
守は目に涙を溜めて、喜んだ。
僕の手を取って、ぶんぶんと振り回す。
「やった、やったぞ、時雨っ」
『うん、よかった…』
「本当に、本当によかった!!」
いつものみんながそこにいる。
こんな当たり前なことがこんなにも嬉しい。
試合はそのまま続けられた。
でも、さっきまでとは全然違う。
いつもの雷門のサッカーをみんなでした。
結局、試合は引き分けだったけど…勝敗なんてどうでもよかった。
そこに仲間がいることが、一緒に楽しくサッカーできることが嬉しかった。
胴上げされる守。
みんなを変えてくれた、引っ張ってきてくれた守。
修也と有人を胴上げしている横で笑いながら見ていた。
「これでこそ、円堂…これでこそ、雷門だな」
「あぁ、そうだな」
『こうやって、みんなでいられるのを幸せっていうんだね』
二人ともふっと笑った。
「俺たちはこのサッカーバカに出会えて、」
「仲間になれた、一緒にサッカーできることが、」
『何よりの幸せか』
いつだって、ここにいれば聞こえてくる。
“サッカーやろうぜっ”
あの、いつもの声が。
こうして、僕達の宇宙人との戦いは幕を閉じたんだ。
稲妻町の様子がおかしい。
雷門中には誰もいないし、天気も暗い。
嫌な感じが立ち込めている。
そこへ現れたのは、
『剣崎…』
そして、キャラバンを降りていったり、参加できなかったものたち。
恐らくキャラバンのバックアップチームだったメンバーだ。
最後の脅威が僕達、雷門を襲う。
剣崎の企みの為に作られた最後のチーム、ダークエンペラーズ。
強くなりたかった彼らはそれに手を出してしまったんだ。
エイリア石の力で…強くなった。
それと同時に記憶が脳裏を駆け巡る。
過去の父さんとの戦い、エイリア学園との戦い。
卑劣な手段の帝国、神のアクアを使った世宇子中…
エイリア石を使ったエイリア学園、そしてその中にあった真・帝国…
最後に現れたダークエンペラーズ。
『どうして…どうして、そんな風にしかできないんだよっ!!』
「時雨…」
『なんで、そんな風にしか考えられないんだっ』
剣崎は僕の前に歩み寄って、ふっと笑う。
嫌な笑みだった。
「貴方のお父さんにも協力していただいて、感謝してますよ。
まぁ…潜水艦と共に海の藻屑となってしまったのは大変残念ですがね」
『…うるさい』
「君にもああいう才能ってあるんでしょう?」
『…黙って、うるさい』
「なんだったら、我々と来ませんか?影山時雨君」
『……うるせーって言ってんだろうがっ』
そう言って、殴りかかりそうになった僕を3本の腕が止めた。
『離せよ、修也…飛鳥、有人』
そう言って振り返ってギロリと睨む。
だけど、三人とも動じないでしっかり視線を合わせてくれていた。
「駄目だ、自分を見失うな」
ゴーグルの奥の紅い瞳と目があった。
「親友なんだろ?だったらボコられても、止めなきゃなんねーだろ」
いつもと同じような調子で言う声にもしっかりした芯がある。
「…俺がいる、仲間がいる、一人で苦しむな」
優しく笑うその笑顔は今まで僕を支えてくれたその笑顔だった。
力が抜ける。あぁ、そうか…
道具じゃないのは僕らだけじゃない、父さんだって道具じゃない。
そうやって、軽々しく扱われたのが嫌だったんだ。
「ほら、みんなで行こうよ」
「ダーリンがそう言ってんねんで?あんたしっかりしいって」
『一哉、リカちゃん』
「しゃきっとしろって」
『痛いよ、搭子』
ばしっと搭子に背を叩かれる。
キャラバンの女の子は強い、敵わないな。
『そっか、みんな一緒なんだ』
今まで僕を助けてくれた、一緒に戦ってくれた仲間を今度が僕たちが助ける。
有人も、修也も、士郎も、みんなその想いで胸がいっぱいだった。
試合が始まる、本当の仲間を取り戻す戦いが。
やっぱり、仲間同士で戦うのは難しいみたいで戸惑って必殺技が決まらなかったりした。
格段に強くなっている一郎太たちに、必殺技が通用しない。
竜吾はボールを受け、守と塀吾郎を破りシュートしようとしている。
そこへ、士郎と共に僕は止めに行く。僕達が止めなきゃいけないんだから。
「アイスグランドッ!!」『デーモン・ハンド!!』
弾かれたボールは静かにタッチラインを越える。
舌打ちをして戻ろうとする竜吾に、士郎は想いをぶつける。
「染岡君、僕は忘れてないよ。君がどんな想いでチームを離れたか、僕に後を託したのか!!」
『行けない自分の代わりに士郎を頼むって、キャラバンへ戻ってくれって言ったこともね』
ただそんなことを言っても相手にさえされない。
もう何を言っても無駄なんだろう。
「勝つしかない、俺たちのサッカーで」
守の言葉通りだと思う。
それしかない、それ以外の方法じゃ納得しないから。
先に1点を取られたまま、ダークエンペラーズの攻撃は止まらない。
ボールは再び、一郎太から竜吾に。
『士郎っ』
「行くよ、時雨っ」
二人がかりでワイバーンクラッシュを止めにかかる。
でも、それは僕達にも勇気にも止められない。
追加点を許してしまうことになる。
なんとか追加点を与えずに持ちこたえているものの、激しい攻撃は続く一方。
2点を許したまま、前半が終わってしまった。
響木監督は僕らが動けば相手も動く、それを逆手に取ることと、条介を切り札にした。
それは今までのキャラバンの旅の様子から見ても間違いない。
波のようなリズムを作り出す、それが後半の作戦だった。
「ほら、いるやろ?」
『ありがとう、リカちゃん』
ぽん、と肩にあてられたのはマカロンの袋。
ハーフタイムに食べる分を寄越してくれたらしい。
マカロンを手に取り、口に放り込む。
すると、リカちゃんが不思議なことを言い出した。
「うち、時雨のこと…カラスみたいやなって思った」
『…鴉?』
「せや、カラス。黒い翼で羽ばたくんも、頭がキレんのもカラスやろ?
だから、うちは時雨っていうと雨ん中飛び回る賢いカラスやって思うねん」
『雨の中を飛び回る鴉…』
何か思い浮かんだような気がする。
それに、鴉っていうのも悪くない…
『悪くないね、鴉』
「怒らへんの?自分言っといてなんやけど、カラスって不吉やろ?」
『そんなことない。中国では鴉は太陽の黒点に棲む、神聖なものだよ』
リカちゃんは驚いていた。
『ありがとう、何か浮かんできたかも』
持っていたマカロンの袋をリカちゃんに返して、ピッチに戻る。
デーモンにしろ、鴉にしろ、やっぱり守護するものなんだなって思う。
この土壇場で、僕に何かができるだろうか。
後半、一郎太と守が競り合い、守が吹っ飛ばされる。
そのことに条介が怒った。
想いをぶつける。そう、雷門に入って、守と出会えたからこそわかること。
サッカーが好きで、雷門が好きで、守が、仲間が好きなんだ。
『波が引いたっ』「行け、綱海ー!!!!」
搭子からパスを受け、ツナミブーストが炸裂する。
防がれたボールを拾った士郎のウルフレジェンドが1点を返す。
そして、修也と士郎のクロスファイアで同点まで追いついた。
ずきん、と痛みが走る。
ダーク・フェニックスが勇気を襲う。
同点に追いついたはずの点差をまたあけられてしまう。
再び、猛攻が雷門を襲う。次々と倒れていく仲間達。
わかってる、もう…みんなボロボロだってことは。
勇気の手も腫れきっていることだって。
守りたい、みんなを…守るんだっ!!
一羽の鴉が勇気の前に舞い降りる。
ダーク・フェニックスは鴉の後光で力を失う。
「時雨、さん…」
自分でも、勇気の声がするまではそれが自分だって気付かなかった。
「…今の、鴉って…時雨さん?」
『なんだろう…今の』
鴉がみんなを守ってくれた。
力を中和したみたいに、無力にした。
そうか、これがきっと母さんの最後の力なんだ。
『勇気、ベンチ戻って』
「俺まだっ…」
『駄目だよ、それ以上したら手使えなくなる』
「…っ、時雨さん」
勇気はしぶしぶ納得してくれたのか、守とキーパーを交代した。
もう、ほとんどみんな倒れてる。
一郎太はボロボロになったみんなを見て、嘲笑った。
今まで戦ってきた敵と同じように。
守がゴール前に立つ。
「なぁ、時雨」
『どうかしたの、守』
守の目には強い意志が宿っている。
揺らぐことのない、信じる心が宿っている。
「立ってるのが俺たち二人でも、お前は一緒に戦ってくれるよな?」
『当たり前だよ、本当のみんなを取り戻すまで一緒に戦う』
「おう、来るぞ…時雨」
『任せて、キャプテン』
倒れている仲間の分も、僕達が戦う。
ひたすら二人でゴールを守る。
何度も、何度でも、立ち上がるのが守るだから。
そして一郎太から告げられたエイリア石を手にした理由。
僕らが、追い詰めていたんだ。
前に進むことばかり考えて、悩む者の心の闇を見落としていた。
「時雨、手を貸してくれないか」
『手?』
「お前のデーモン・ハンドと俺のゴッドハンドであいつらの想いを受け止める」
『…うん、もちろんだよ』
一郎太のシュートを受け止める。
これは彼らの叫び、強い想い。それを受け止めるのが仲間だ。
「ゴッド…」『デーモン…』「『ハンドッ!!』」
何度も、何度も受け止める。
でも、それにだって限界がある。
ついに守も僕も、地に膝をついてしまう。
「らーいもん、らーいもん」
秋ちゃんの声がする。
その声がどんどん増えて、大きな声になる。
大きな声がみんなを立ち上がらせる。
そうだ、まだだ…終わってない。
「思い出せー、みんなーっ」
『帰ってきてー!!』
守の想いがみんなに届きますように。
途端に雲が晴れ、光が差し込む。
そこで、一旦僕達の意識は途切れたらしい。
「円堂、時雨」
目を開けると、僕は守と一緒に倒れていた。
そこにはいつもの調子に戻った一郎太と竜吾、みんながいた。
「思い出してくれたんだな、みんな」
守は目に涙を溜めて、喜んだ。
僕の手を取って、ぶんぶんと振り回す。
「やった、やったぞ、時雨っ」
『うん、よかった…』
「本当に、本当によかった!!」
いつものみんながそこにいる。
こんな当たり前なことがこんなにも嬉しい。
試合はそのまま続けられた。
でも、さっきまでとは全然違う。
いつもの雷門のサッカーをみんなでした。
結局、試合は引き分けだったけど…勝敗なんてどうでもよかった。
そこに仲間がいることが、一緒に楽しくサッカーできることが嬉しかった。
胴上げされる守。
みんなを変えてくれた、引っ張ってきてくれた守。
修也と有人を胴上げしている横で笑いながら見ていた。
「これでこそ、円堂…これでこそ、雷門だな」
「あぁ、そうだな」
『こうやって、みんなでいられるのを幸せっていうんだね』
二人ともふっと笑った。
「俺たちはこのサッカーバカに出会えて、」
「仲間になれた、一緒にサッカーできることが、」
『何よりの幸せか』
いつだって、ここにいれば聞こえてくる。
“サッカーやろうぜっ”
あの、いつもの声が。
こうして、僕達の宇宙人との戦いは幕を閉じたんだ。
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