男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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沖縄上陸。僕は一足先に瞳子監督と沖縄で情報収集に来ていた。
僕だけが先に付いて来たのはもう一つ理由があった。
監督から僕に話があるという。
「時期が来たら、貴方に話して欲しいといわれたわ」
『…?』
「貴方のお兄さん…水無月梅雨のことよ」
『兄、さん…のこと?』
不意に目を閉じて、監督は語りだす。
兄さんは監督の先輩だったらしく、仲もよかったらしい。
だからこそ、監督がキャラバンに参加したと知って頼まれたのだという。
「梅雨は貴方を影山から救い、逮捕する為に刑事になった」
『…僕の、ために?』
「えぇ。でも、その必要はあまりなかった」
『僕が、仲間と…乗り越えてきたから』
「…自分は力になれなかった、と悔やんでいた。
あの時は全く…だから、今はエイリア学園の方へ首を突っ込んでいる」
『…あ』
もしかして、僕の、僕らの為に修也を預かっているんじゃ…
サッカーの経験者であり、実力者だからこそ、力を貸せる。
「そして、これは私から貴方にお願い」
『…監督から?』
「えぇ…梅雨に会ったら、笑顔を見せてあげてくれるかしら。
ずっと、笑ってくれなかったらって…悩んでいたから」
『はい、もちろんです』
監督はきっと、僕と有人のような関係なんじゃないかって不意に思った。
『話してくれて、ありがとうございました』
僕たちは夏未ちゃんと合流し、みんな聞き込みから帰ってきた。
そこには見慣れない顔が一人。“土方雷電”という6人兄弟の長男。
何故か、気軽に話しかけられて吃驚した。
『水無月のじーちゃんの知り合い?』
「おう、俺の親父とお前のじーさんがな。だから、お前の兄貴には結構世話になってる」
『…兄さんに』
「お前のことは梅雨の方から聞いたんだ。ずっと歳の離れた弟がいるってな」
『そう、だったんだ』
思わぬ出会いに吃驚した。
なんだか、沖縄に来てから兄さんの話ばっかりだ。
「おーい、炎のストライカー見つけたぜ」
そこへ駆け込んで来た飛鳥と士郎。
その瞬間、ぞくっと嫌な感じがした。
この嫌な感じ…あいつと、ヒロトと一緒だ。
「におう、やな感じってにおい…」
『奇遇だね、夕弥』
「…アンタそういうの敏感そうだもんな」
『残念なことに得意分野だから、これ』
夕弥にも感じるこの嫌な感じ。
飛鳥も士郎も信用しているみたいだけど、雷電は見たことないって言ってる。
監督は少し疑っているみたいだ。
“南雲晴矢”の入団テストは11対1で行われた。
空中戦を得意とし、凄まじいパワーのシュートはまさに炎のパワー。
だけど、さっきから感じる悪意に僕は納得ができなかった。
そこへ再びヒロトが現れ、バーンを連れ去ってしまう。
仲が悪い…でも、同格のチーム・プロミネンス。
エイリア学園には一体、何が起こっているんだろう。
『…炎のストライカーは、修也だよね』
誰も居ない夜の海に問いかける。
沖縄の海は優しくて、温かい感じがした。
まるで、修也が隣にいるような錯覚を感じる。
翌日、練習しているフィールドに現れた波乗り野郎。
彼は沖縄に来る前にみんなが出会った、超運動神経の優れた少年で3年生らしい。
「お、お前この間いなかったな」
『初めまして、影山時雨です』
「俺は綱海条介。つい最近、サッカー部に入った」
その発言に一同騒然で、僕はみんなの声に驚いた。
そして、成り行きで彼のチームと練習試合をすることになった。
沖縄…なんてマイペースなところなんだろう。
大海原中、海の上にある橋で繋がった学校。
こんな学校初めて見た…吃驚だよ、ホントに。
しかも、歓迎が盛大で夏未ちゃんが怒るのもすっごくわかる。
この練習試合、一難ありそうだな。
戦略には何の意味もないパフォーマンスには吃驚した(しかも身内だけで盛り上がる)
だけど、確かに実力はある。
突拍子もない動き、必殺技に大苦戦。
(動きが読まれている…)
有人の動きが止まってる、何かを…見ている。
大海原の7番、音村楽也。
有人が見破ったリズムの戦略。タイミングを計っていくしかない。
「こういうのは昔得意だったな、時雨」
『そうだね…確かに昔は得意だった』
くつくつと笑う有人に僕は苦笑した。
まだ、本当に出会って間もない頃の僕らのサッカーはそうだった。
僕が相手を惑わし、有人が戦略を練る。
「できるか?」
『やってみなきゃわかんない、でしょ』
「そうだな」
にやっと笑った有人に笑いかける。
試合はまだまだこれからだ。
試合再開、有人から一哉へ、一哉から僕へパスがつながる。
襲い来る大海原ディフェンス陣をかわす。
(ペースをずらして…1、2、)
そこから搭子とリカちゃんにパス。
バタフライドリームが先取点を奪ったところで前半終了。
「時雨さーん、本日の糖分はマンゴープリンです」
『春奈、ありがとー』
再び、ハーフタイムにお菓子を食べるようになってから春奈が用意してくれるようになった。
いつも美味しいし、用意してくれること自体ありがたい。
糖分を取ると頭の回転が冴えてくる。
(あれ…何か違和感?)
その違和感をあまりに気に止めずに、僕は後半戦に臨んだ。
『勇気っ』
違和感の正体は勇気だった。
久しぶりのMFに身体が追いついていかない状態だ。
その所為か、大海原からは集中的に狙われている。
シュートの嵐を守が全部セーブしたお陰で点差は守られている。
何かに気付いた有人に手招きをされ、近づく。
『…何か見つけた?』
「あぁ、向こうの綻びをな」
そう言った有人はゴーグルのレンズがきらりと光っていた。
「フォーメーションを攻撃型にし、一之瀬をFWにあげる」
『3TOPにして、流れの読みを変える』
「そういうことだ。リカと一之瀬を上手く使ってくれ」
『りょーかいっ』
フォーメーションを変えてから、パスが繋がりだした。
さすがは天才ゲームメーカー、鬼道有人だ。
『…あれ、ヤバい』
突然、綱海がチームに馴染み始めた。
それがまたリズムを変えてしまい、互角の攻防が続いた。
綱海の必殺ロングシュートは辛くも守によって弾かれ試合終了。
逃げ切った雷門は正義の鉄拳に繋がる「コツ」を得た貴重な試合だったと思う。
みんなが練習している間、少しでも情報を集めたい、そう思って僕は市街地に向かう。
何より、早く修也に会いたかった。
それが一番の本音で、一番の願いで…
「…時雨」
聞き覚えのない、でもどこか懐かしい声に呼び止められる。
振り返れば、紫の短髪、右目が前髪で隠れた青い目の男の人。
「…本当に、時雨だ」
本当に?本当にってことは…
『兄さん?』
「おう、水無月梅雨だ…8年ぶりだな、時雨。
小さい頃みたいに呼んでほしい。兄弟だしな」
ふっと優しく笑う表情は母方の祖父にそっくりだった。
(あぁ、この笑顔を僕は知っている)
「鬼瓦刑事やあいつらから色々聞いてる。
仲間と一緒に自分自身のしがらみや壁を乗り越えてきたって」
『…梅雨ちゃん』
優しく頭を撫でられて、母さんを思い出した。
こんな風に優しく撫でてもらったっけ。
「ごめんな、まだ…会わせてやれない」
『え…』
名前は出さないけど、でもそれって…
「まだ自由に動けないんだ、爆炎は。だから、もう少し待っててくれ」
ポケットから見慣れた銀色のペンダントを手渡される。
これは修也の、夕香ちゃんから貰ったもの。
「戻るまでお前に持っててほしいって」
『いいの、かな…』
「お前だからいいんだよ」と言いながら、僕の手にそれを握らせた。
「それから」
『…ん?』
人差し指を口元に当てて、ぼそりと呟く。
「この事、まだ仲間に言うなよ」
そうだ、いつ戻れるかはわからない。
みんなにも周りにも、それから修也にも危害が及ぶかもしれない。
こくりと頷けば、「よしっ」と言って笑った。
「このエイリアの一件が終わったら、どっか遊びに行こうな。
今までの思い出がなかった分、少しでも取り戻したいから…」
8年ぶりに会ったとは思えないほどの安心感。
見た目も、声も、全てが変わっても、兄弟である事実だけは変わらない。
『絶対だよ、梅雨ちゃん』
「当たり前だって」
その後、少し梅雨ちゃんとサッカーをした。
知らなかった。
我が兄は桜咲木中というところでサッカー部に入っていた。
そして、ポジションはキーパーだという。
ねぇ、修也。修也もこんな風に梅雨ちゃんとサッカーしたんだよね。
待ってる、待ってるから…無理だけはしないで。
梅雨ちゃんに大海原付近まで送ってもらって、そのままみんなと合流した。
翌日、守が正義の鉄拳の完成を披露すべくみんながグラウンドに集まっていた。
見事に完成した、正義の鉄拳。
それでも、ただ一人…勇気だけは首を傾げていた。
『…勇気?』
「あ、あの…時雨さん」
勇気がそう言いかけた時、何か音がした。
舞い降りてきた黒いサッカーボール、そしてイプシロンだ。
イプシロン改として、雷門と再戦を望んできた。
キャラバンに綱海条介を向かえた雷門。
士郎はイプシロンを睨みつけている。
『…士郎、アツヤ』
士郎が僕を振り返り、こくりと頷いた。
「僕は大丈夫だよ。それより、その銀のペンダント…どうしたの?」
『預かってるんだ、大事なものだから』
「そう、なんだ」
どこか納得したようにじっと見つめて、また頷いた。
『修也、見てて…僕は待ってる』
いざ、イプシロン改との戦いが始まる。
僕だけが先に付いて来たのはもう一つ理由があった。
監督から僕に話があるという。
「時期が来たら、貴方に話して欲しいといわれたわ」
『…?』
「貴方のお兄さん…水無月梅雨のことよ」
『兄、さん…のこと?』
不意に目を閉じて、監督は語りだす。
兄さんは監督の先輩だったらしく、仲もよかったらしい。
だからこそ、監督がキャラバンに参加したと知って頼まれたのだという。
「梅雨は貴方を影山から救い、逮捕する為に刑事になった」
『…僕の、ために?』
「えぇ。でも、その必要はあまりなかった」
『僕が、仲間と…乗り越えてきたから』
「…自分は力になれなかった、と悔やんでいた。
あの時は全く…だから、今はエイリア学園の方へ首を突っ込んでいる」
『…あ』
もしかして、僕の、僕らの為に修也を預かっているんじゃ…
サッカーの経験者であり、実力者だからこそ、力を貸せる。
「そして、これは私から貴方にお願い」
『…監督から?』
「えぇ…梅雨に会ったら、笑顔を見せてあげてくれるかしら。
ずっと、笑ってくれなかったらって…悩んでいたから」
『はい、もちろんです』
監督はきっと、僕と有人のような関係なんじゃないかって不意に思った。
『話してくれて、ありがとうございました』
僕たちは夏未ちゃんと合流し、みんな聞き込みから帰ってきた。
そこには見慣れない顔が一人。“土方雷電”という6人兄弟の長男。
何故か、気軽に話しかけられて吃驚した。
『水無月のじーちゃんの知り合い?』
「おう、俺の親父とお前のじーさんがな。だから、お前の兄貴には結構世話になってる」
『…兄さんに』
「お前のことは梅雨の方から聞いたんだ。ずっと歳の離れた弟がいるってな」
『そう、だったんだ』
思わぬ出会いに吃驚した。
なんだか、沖縄に来てから兄さんの話ばっかりだ。
「おーい、炎のストライカー見つけたぜ」
そこへ駆け込んで来た飛鳥と士郎。
その瞬間、ぞくっと嫌な感じがした。
この嫌な感じ…あいつと、ヒロトと一緒だ。
「におう、やな感じってにおい…」
『奇遇だね、夕弥』
「…アンタそういうの敏感そうだもんな」
『残念なことに得意分野だから、これ』
夕弥にも感じるこの嫌な感じ。
飛鳥も士郎も信用しているみたいだけど、雷電は見たことないって言ってる。
監督は少し疑っているみたいだ。
“南雲晴矢”の入団テストは11対1で行われた。
空中戦を得意とし、凄まじいパワーのシュートはまさに炎のパワー。
だけど、さっきから感じる悪意に僕は納得ができなかった。
そこへ再びヒロトが現れ、バーンを連れ去ってしまう。
仲が悪い…でも、同格のチーム・プロミネンス。
エイリア学園には一体、何が起こっているんだろう。
『…炎のストライカーは、修也だよね』
誰も居ない夜の海に問いかける。
沖縄の海は優しくて、温かい感じがした。
まるで、修也が隣にいるような錯覚を感じる。
翌日、練習しているフィールドに現れた波乗り野郎。
彼は沖縄に来る前にみんなが出会った、超運動神経の優れた少年で3年生らしい。
「お、お前この間いなかったな」
『初めまして、影山時雨です』
「俺は綱海条介。つい最近、サッカー部に入った」
その発言に一同騒然で、僕はみんなの声に驚いた。
そして、成り行きで彼のチームと練習試合をすることになった。
沖縄…なんてマイペースなところなんだろう。
大海原中、海の上にある橋で繋がった学校。
こんな学校初めて見た…吃驚だよ、ホントに。
しかも、歓迎が盛大で夏未ちゃんが怒るのもすっごくわかる。
この練習試合、一難ありそうだな。
戦略には何の意味もないパフォーマンスには吃驚した(しかも身内だけで盛り上がる)
だけど、確かに実力はある。
突拍子もない動き、必殺技に大苦戦。
(動きが読まれている…)
有人の動きが止まってる、何かを…見ている。
大海原の7番、音村楽也。
有人が見破ったリズムの戦略。タイミングを計っていくしかない。
「こういうのは昔得意だったな、時雨」
『そうだね…確かに昔は得意だった』
くつくつと笑う有人に僕は苦笑した。
まだ、本当に出会って間もない頃の僕らのサッカーはそうだった。
僕が相手を惑わし、有人が戦略を練る。
「できるか?」
『やってみなきゃわかんない、でしょ』
「そうだな」
にやっと笑った有人に笑いかける。
試合はまだまだこれからだ。
試合再開、有人から一哉へ、一哉から僕へパスがつながる。
襲い来る大海原ディフェンス陣をかわす。
(ペースをずらして…1、2、)
そこから搭子とリカちゃんにパス。
バタフライドリームが先取点を奪ったところで前半終了。
「時雨さーん、本日の糖分はマンゴープリンです」
『春奈、ありがとー』
再び、ハーフタイムにお菓子を食べるようになってから春奈が用意してくれるようになった。
いつも美味しいし、用意してくれること自体ありがたい。
糖分を取ると頭の回転が冴えてくる。
(あれ…何か違和感?)
その違和感をあまりに気に止めずに、僕は後半戦に臨んだ。
『勇気っ』
違和感の正体は勇気だった。
久しぶりのMFに身体が追いついていかない状態だ。
その所為か、大海原からは集中的に狙われている。
シュートの嵐を守が全部セーブしたお陰で点差は守られている。
何かに気付いた有人に手招きをされ、近づく。
『…何か見つけた?』
「あぁ、向こうの綻びをな」
そう言った有人はゴーグルのレンズがきらりと光っていた。
「フォーメーションを攻撃型にし、一之瀬をFWにあげる」
『3TOPにして、流れの読みを変える』
「そういうことだ。リカと一之瀬を上手く使ってくれ」
『りょーかいっ』
フォーメーションを変えてから、パスが繋がりだした。
さすがは天才ゲームメーカー、鬼道有人だ。
『…あれ、ヤバい』
突然、綱海がチームに馴染み始めた。
それがまたリズムを変えてしまい、互角の攻防が続いた。
綱海の必殺ロングシュートは辛くも守によって弾かれ試合終了。
逃げ切った雷門は正義の鉄拳に繋がる「コツ」を得た貴重な試合だったと思う。
みんなが練習している間、少しでも情報を集めたい、そう思って僕は市街地に向かう。
何より、早く修也に会いたかった。
それが一番の本音で、一番の願いで…
「…時雨」
聞き覚えのない、でもどこか懐かしい声に呼び止められる。
振り返れば、紫の短髪、右目が前髪で隠れた青い目の男の人。
「…本当に、時雨だ」
本当に?本当にってことは…
『兄さん?』
「おう、水無月梅雨だ…8年ぶりだな、時雨。
小さい頃みたいに呼んでほしい。兄弟だしな」
ふっと優しく笑う表情は母方の祖父にそっくりだった。
(あぁ、この笑顔を僕は知っている)
「鬼瓦刑事やあいつらから色々聞いてる。
仲間と一緒に自分自身のしがらみや壁を乗り越えてきたって」
『…梅雨ちゃん』
優しく頭を撫でられて、母さんを思い出した。
こんな風に優しく撫でてもらったっけ。
「ごめんな、まだ…会わせてやれない」
『え…』
名前は出さないけど、でもそれって…
「まだ自由に動けないんだ、爆炎は。だから、もう少し待っててくれ」
ポケットから見慣れた銀色のペンダントを手渡される。
これは修也の、夕香ちゃんから貰ったもの。
「戻るまでお前に持っててほしいって」
『いいの、かな…』
「お前だからいいんだよ」と言いながら、僕の手にそれを握らせた。
「それから」
『…ん?』
人差し指を口元に当てて、ぼそりと呟く。
「この事、まだ仲間に言うなよ」
そうだ、いつ戻れるかはわからない。
みんなにも周りにも、それから修也にも危害が及ぶかもしれない。
こくりと頷けば、「よしっ」と言って笑った。
「このエイリアの一件が終わったら、どっか遊びに行こうな。
今までの思い出がなかった分、少しでも取り戻したいから…」
8年ぶりに会ったとは思えないほどの安心感。
見た目も、声も、全てが変わっても、兄弟である事実だけは変わらない。
『絶対だよ、梅雨ちゃん』
「当たり前だって」
その後、少し梅雨ちゃんとサッカーをした。
知らなかった。
我が兄は桜咲木中というところでサッカー部に入っていた。
そして、ポジションはキーパーだという。
ねぇ、修也。修也もこんな風に梅雨ちゃんとサッカーしたんだよね。
待ってる、待ってるから…無理だけはしないで。
梅雨ちゃんに大海原付近まで送ってもらって、そのままみんなと合流した。
翌日、守が正義の鉄拳の完成を披露すべくみんながグラウンドに集まっていた。
見事に完成した、正義の鉄拳。
それでも、ただ一人…勇気だけは首を傾げていた。
『…勇気?』
「あ、あの…時雨さん」
勇気がそう言いかけた時、何か音がした。
舞い降りてきた黒いサッカーボール、そしてイプシロンだ。
イプシロン改として、雷門と再戦を望んできた。
キャラバンに綱海条介を向かえた雷門。
士郎はイプシロンを睨みつけている。
『…士郎、アツヤ』
士郎が僕を振り返り、こくりと頷いた。
「僕は大丈夫だよ。それより、その銀のペンダント…どうしたの?」
『預かってるんだ、大事なものだから』
「そう、なんだ」
どこか納得したようにじっと見つめて、また頷いた。
『修也、見てて…僕は待ってる』
いざ、イプシロン改との戦いが始まる。