男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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『士郎、これ以上アツヤの言葉に耳を傾けるなーっ!!』
アツヤ、これ以上…これ以上を士郎を責めないで。
***
陽花戸中との練習試合の次の日。
守の友達がサッカーの練習試合を申し込んできた。
――それはエイリア学園だった。
基山ヒロト…グランがどうして守に近づいたのかわからない。
でも、僕たちは戦わなくちゃいけない。
それがエイリア学園である限り。
でも、試合の中で士郎の中のアツヤはどんどん支配を広げていく。
士郎はもう一人ぼっちで、心の闇を彷徨っている。
一人じゃない、僕はここにいる…気付いてよ、士郎。
そして物語は冒頭に戻るわけで…
心の狭間に囚われた士郎は守に襲い来る流星ブレードに向かって走る。
ダメだ、一人じゃ…一人じゃダメだ!!
僕は士郎と一緒に流星ブレードをもろに受けてしまった。
自分の治療を受け、慌てて士郎の病室へ駆け込む。
入ってすぐ、監督が病室を出て行った。
病室にいるみんなを見渡して、わかった。
士郎とアツヤの真実を知ってしまったことを。
『…士郎は?』
「今は、眠っている」
『身体は…大丈夫、なんだね』
僕がそう問えば有人はこくりと頷いた。
みんなはここで決意した。
士郎の為に、戦い方を見直して、必ず勝つ為に。
病院を出て僕は監督を追いかけた。
一人で立ち尽くす姿は、何かを抱え込んでいるように思えて…放っておけなかった。
『監督』
「…時雨君?」
『僕は貴女を信じてます』
「え…」
少し驚いたように目を見開いた監督に僕は続けた。
『貴女と僕はきっと同じです、だからこそ僕は貴女がどんな指令を下しても信じます』
「同じ?」
『…貴女は家族を止めたい、違いますか?』
「!?」
『僕は父さんを止められなかった。でも、監督の家族は止めて見せます。
必ずエイリア学園に勝って、これ以上父さんのような人を作らない為に』
「…いつから、気付いていたの?」
『僕がキャラバンに参加した、あの日…監督にあった時からです』
もう一度、「信じます、監督」とそう告げてみんなの許に戻った。
「本当に、あなたの弟なの?…梅雨」
監督のそんな呟きなど知らないまま、僕は前に進もうとしていた。
“練習できない”
守の言葉に驚きと不安を隠せないみんな。
昨日の今日で、しかも一郎太がキャラバンを降りた。
それに対しての監督の言葉でさらにチームに亀裂が走る。
今、守はキャプテンとして大きな壁にぶつかっている。
「時雨…俺たちはあいつが戻るのを待とう」
『わかってる。こういう時こそ、しっかりみんなを引っ張らなくちゃ』
そう言うと、有人はふっと笑った。
「お前は随分と逞しくなったな。帝国のことを思い出すだけで倒れていたとは思えない」
『みんなのお陰だよ。だから、みんなの力になりたい。僕の今できる精一杯の力で』
「あぁ、そうだな。今の俺たちは円堂と、仲間のお陰でここにいるんだからな」
『うん』
有人と二人で守が戻ってくるまで、チームを引っ張ることにした。
そして、僕は彼の練習を手伝うことにした。
立向居勇気
僕は彼以外に守を立ち上がらせることはできない、そう思った。
「マジン・ザ・ハンドオォォォ」
『立向居勇気君』
校舎裏の木にタイヤを吊り下げて、ひたすら特訓をしている彼に歩み寄る。
まるで、福岡の優しい夕焼けみたいな彼はにこっと笑っていた。
「影山時雨さん、この間のシュートは痺れました!!
あれ、新しい必殺技ですよね!?あんなの初めて見ました」
練習試合で僕のガーディアン・デーモンを受けた。
あの時の熱く滾る想いは今でも忘れられない。
『君も凄かったよ。見ていて、熱く滾る想いが沸き立ってきた…
あんなのは久しぶりだったんだ、一年前の三月…佐久間と源田に会った以来だ』
「え…お、俺が、ですか?」
照れたように指をもじもじといじくる姿はなんとも愛らしく思える。
ゴールに立った時とは全然違う。
『一緒に特訓しようよ』
「い、いいい、いいんですか!?」
『そう思ってここに来たんだよ、だって…君はきっと誰よりも強いキーパーになる』
「…そ、そんなこと」
『あるよ、絶対に』
そういい切った僕に驚いたように目を見開いた彼。
僕はにっと笑ってみせれば、顔を真っ赤にして頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!!俺、時雨さんにそんな風に言ってもらえて物凄く光栄です」
『僕なんか大したことないよ、君の方がずっと凄い選手になるんだから』
そう言えば、もう一度「ありがとうございます」と彼は言った。
その日から、僕と彼の特訓が始まった。
僕の蹴ったタイヤの反動から来たタイヤを止める。
自分で投げるよりもずっと威力のあるそれは何度も彼の身体を何度も吹き飛ばした。
『勇気もっと腰入れて!!』
「はいっ!!」
この目で見てきた「円堂守」を勇気に伝えることが僕にできること。
次の世代を育てることが次の勝利に繋がる。
何より、勇気の才能が開花するのをこの目で見てみたい。
『しっかりで足で踏ん張って!!』
「はいっ!!マジン・ザ・ハンドオォ!!」
『まだ甘いっ』
「うわあぁっ」
何度も吹っ飛ばされて、ボロボロになっている。
あぁ、そうだった。守も修也も、みんな…みんなこうして強くなってきた。
思い出す、フットボールフロンティアまでの道のり。
「もう一度、お願いしますっ」
『行くよ、勇気っ』
思いっきり蹴り上げたタイヤ。
初めて、勇気は吹っ飛ばされずに止めた。
「止まった…」
『うん、勇気が止めたんだよ』
頬を紅潮させて、興奮したように勇気は拳を空に突き上げた。
「止まった、止めました!!俺、止めましたよ」
『わかってるよ、勇気。ずっとここで見てたんだから』
「本当にありがとうございます!!」
そう言った勇気の頭めがけて、タイヤが衝突した。
あれ…これどっかで見たな、このパターン。
そうか、守もいつもそうだったね。
頭をぶつけた勇気を介抱しながら、休憩にした。
『勇気と特訓していると、凄く楽しい』
「ありがとう、ございます…」
キャラバンに参加してからは初めて感じるこの感じ。
なんだろう、不思議な子だ。
『ねぇ、明日は出発前日なんだけどさ…僕のシュートで練習してみようか』
「ぜひお願いします!!ネロ・エンプレスも受けてみたいんです」
『じゃあ、明日はグラウンドだよ』
「はいっ」と元気よく返事をして、がばっと起きた勇気。
『…修也に会わせてあげたいよ』
「そ、それって、豪炎寺さんのことですか!?」
『うん、豪炎寺修也…僕の大切な人』
「…時雨さん」
『肝心なところはいつもバシッと決めて、カッコよくて、僕を傍で支えてくれる』
「現在進行形で、ですか?」
『このペンダントは修也との約束の証。修也との約束がいつだって僕を支えてくれる』
そう言って、空を見上げる。
君は今もこの空の下にいるんだよね。
「俺も、会ってみたいな…」
『きっと会えるよ、勇気も僕も』
「はいっ」
そして、約束通り勇気とグラウンドで練習することになった。
有人と一哉、それから僕とで交互にシュートを打つ。
一つも止められずに、全部もろに受けている。
『勇気、へそに力入れて!!』
「はいっ、もう一回お願いします!!」
何度も何度も立ち上がる。
絶対に諦めない想いが、信じる気持ちが強くする。
『諦めるな、勇気!!ネロ・エンプレスッ』
「絶対に止めて見せます!!」
僕の渾身の一撃、ネロ・エンプレス。
きた、不意にそう思った。
勇気のマジン・ザ・ハンドがついに完成した瞬間だった。
はしゃいで、屋上の守にぶんぶんと手を振る。
『ホント、バカ』
安堵の笑みが零れる。
ついに完成した、青いマジン・ザ・ハンド。
夕方、ついに円堂守はチームに戻って来た。
これこそ、僕らのキャプテンだ。
『それからさ、守』
「どうした?時雨」
きょとんとした顔で守が首を傾げる。
『勇気を連れて行くことにした』
「みなさん、よろしくお願いします!!」
勢いよくお辞儀をした勇気。
僕はふっと笑って、彼の頭をくしゃくしゃと撫でた。
去ってしまった仲間もいるけど、帰ってくると信じてる。
新たな仲間を加えて、僕たちは突き進む。
翌朝、士郎がチームに戻って来た。
僕は知ってしまった。
一瞬だけ、一瞬だけ士郎の目にアツヤが宿ったことを。
その直後、監督の携帯に響木監督から連絡があった。
“炎のストライカー”と呼ばれる人を見つけたらしい。
「炎」と聞いて、思い浮かぶのはただ一人。
『修也…』
きっと、修也だよね。
行くから…きっと、会いに行くから。
***
「…っ!?」
今、確かに…あいつの声が聞こえた気がした。
「どうした、修也?」
「梅雨さん、今時雨の声が聞こえた気がして…」
「時雨の、か」
(時雨、早く傍にいきたい…)
(弟を頼んだ…瞳子)
アツヤ、これ以上…これ以上を士郎を責めないで。
***
陽花戸中との練習試合の次の日。
守の友達がサッカーの練習試合を申し込んできた。
――それはエイリア学園だった。
基山ヒロト…グランがどうして守に近づいたのかわからない。
でも、僕たちは戦わなくちゃいけない。
それがエイリア学園である限り。
でも、試合の中で士郎の中のアツヤはどんどん支配を広げていく。
士郎はもう一人ぼっちで、心の闇を彷徨っている。
一人じゃない、僕はここにいる…気付いてよ、士郎。
そして物語は冒頭に戻るわけで…
心の狭間に囚われた士郎は守に襲い来る流星ブレードに向かって走る。
ダメだ、一人じゃ…一人じゃダメだ!!
僕は士郎と一緒に流星ブレードをもろに受けてしまった。
自分の治療を受け、慌てて士郎の病室へ駆け込む。
入ってすぐ、監督が病室を出て行った。
病室にいるみんなを見渡して、わかった。
士郎とアツヤの真実を知ってしまったことを。
『…士郎は?』
「今は、眠っている」
『身体は…大丈夫、なんだね』
僕がそう問えば有人はこくりと頷いた。
みんなはここで決意した。
士郎の為に、戦い方を見直して、必ず勝つ為に。
病院を出て僕は監督を追いかけた。
一人で立ち尽くす姿は、何かを抱え込んでいるように思えて…放っておけなかった。
『監督』
「…時雨君?」
『僕は貴女を信じてます』
「え…」
少し驚いたように目を見開いた監督に僕は続けた。
『貴女と僕はきっと同じです、だからこそ僕は貴女がどんな指令を下しても信じます』
「同じ?」
『…貴女は家族を止めたい、違いますか?』
「!?」
『僕は父さんを止められなかった。でも、監督の家族は止めて見せます。
必ずエイリア学園に勝って、これ以上父さんのような人を作らない為に』
「…いつから、気付いていたの?」
『僕がキャラバンに参加した、あの日…監督にあった時からです』
もう一度、「信じます、監督」とそう告げてみんなの許に戻った。
「本当に、あなたの弟なの?…梅雨」
監督のそんな呟きなど知らないまま、僕は前に進もうとしていた。
“練習できない”
守の言葉に驚きと不安を隠せないみんな。
昨日の今日で、しかも一郎太がキャラバンを降りた。
それに対しての監督の言葉でさらにチームに亀裂が走る。
今、守はキャプテンとして大きな壁にぶつかっている。
「時雨…俺たちはあいつが戻るのを待とう」
『わかってる。こういう時こそ、しっかりみんなを引っ張らなくちゃ』
そう言うと、有人はふっと笑った。
「お前は随分と逞しくなったな。帝国のことを思い出すだけで倒れていたとは思えない」
『みんなのお陰だよ。だから、みんなの力になりたい。僕の今できる精一杯の力で』
「あぁ、そうだな。今の俺たちは円堂と、仲間のお陰でここにいるんだからな」
『うん』
有人と二人で守が戻ってくるまで、チームを引っ張ることにした。
そして、僕は彼の練習を手伝うことにした。
立向居勇気
僕は彼以外に守を立ち上がらせることはできない、そう思った。
「マジン・ザ・ハンドオォォォ」
『立向居勇気君』
校舎裏の木にタイヤを吊り下げて、ひたすら特訓をしている彼に歩み寄る。
まるで、福岡の優しい夕焼けみたいな彼はにこっと笑っていた。
「影山時雨さん、この間のシュートは痺れました!!
あれ、新しい必殺技ですよね!?あんなの初めて見ました」
練習試合で僕のガーディアン・デーモンを受けた。
あの時の熱く滾る想いは今でも忘れられない。
『君も凄かったよ。見ていて、熱く滾る想いが沸き立ってきた…
あんなのは久しぶりだったんだ、一年前の三月…佐久間と源田に会った以来だ』
「え…お、俺が、ですか?」
照れたように指をもじもじといじくる姿はなんとも愛らしく思える。
ゴールに立った時とは全然違う。
『一緒に特訓しようよ』
「い、いいい、いいんですか!?」
『そう思ってここに来たんだよ、だって…君はきっと誰よりも強いキーパーになる』
「…そ、そんなこと」
『あるよ、絶対に』
そういい切った僕に驚いたように目を見開いた彼。
僕はにっと笑ってみせれば、顔を真っ赤にして頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!!俺、時雨さんにそんな風に言ってもらえて物凄く光栄です」
『僕なんか大したことないよ、君の方がずっと凄い選手になるんだから』
そう言えば、もう一度「ありがとうございます」と彼は言った。
その日から、僕と彼の特訓が始まった。
僕の蹴ったタイヤの反動から来たタイヤを止める。
自分で投げるよりもずっと威力のあるそれは何度も彼の身体を何度も吹き飛ばした。
『勇気もっと腰入れて!!』
「はいっ!!」
この目で見てきた「円堂守」を勇気に伝えることが僕にできること。
次の世代を育てることが次の勝利に繋がる。
何より、勇気の才能が開花するのをこの目で見てみたい。
『しっかりで足で踏ん張って!!』
「はいっ!!マジン・ザ・ハンドオォ!!」
『まだ甘いっ』
「うわあぁっ」
何度も吹っ飛ばされて、ボロボロになっている。
あぁ、そうだった。守も修也も、みんな…みんなこうして強くなってきた。
思い出す、フットボールフロンティアまでの道のり。
「もう一度、お願いしますっ」
『行くよ、勇気っ』
思いっきり蹴り上げたタイヤ。
初めて、勇気は吹っ飛ばされずに止めた。
「止まった…」
『うん、勇気が止めたんだよ』
頬を紅潮させて、興奮したように勇気は拳を空に突き上げた。
「止まった、止めました!!俺、止めましたよ」
『わかってるよ、勇気。ずっとここで見てたんだから』
「本当にありがとうございます!!」
そう言った勇気の頭めがけて、タイヤが衝突した。
あれ…これどっかで見たな、このパターン。
そうか、守もいつもそうだったね。
頭をぶつけた勇気を介抱しながら、休憩にした。
『勇気と特訓していると、凄く楽しい』
「ありがとう、ございます…」
キャラバンに参加してからは初めて感じるこの感じ。
なんだろう、不思議な子だ。
『ねぇ、明日は出発前日なんだけどさ…僕のシュートで練習してみようか』
「ぜひお願いします!!ネロ・エンプレスも受けてみたいんです」
『じゃあ、明日はグラウンドだよ』
「はいっ」と元気よく返事をして、がばっと起きた勇気。
『…修也に会わせてあげたいよ』
「そ、それって、豪炎寺さんのことですか!?」
『うん、豪炎寺修也…僕の大切な人』
「…時雨さん」
『肝心なところはいつもバシッと決めて、カッコよくて、僕を傍で支えてくれる』
「現在進行形で、ですか?」
『このペンダントは修也との約束の証。修也との約束がいつだって僕を支えてくれる』
そう言って、空を見上げる。
君は今もこの空の下にいるんだよね。
「俺も、会ってみたいな…」
『きっと会えるよ、勇気も僕も』
「はいっ」
そして、約束通り勇気とグラウンドで練習することになった。
有人と一哉、それから僕とで交互にシュートを打つ。
一つも止められずに、全部もろに受けている。
『勇気、へそに力入れて!!』
「はいっ、もう一回お願いします!!」
何度も何度も立ち上がる。
絶対に諦めない想いが、信じる気持ちが強くする。
『諦めるな、勇気!!ネロ・エンプレスッ』
「絶対に止めて見せます!!」
僕の渾身の一撃、ネロ・エンプレス。
きた、不意にそう思った。
勇気のマジン・ザ・ハンドがついに完成した瞬間だった。
はしゃいで、屋上の守にぶんぶんと手を振る。
『ホント、バカ』
安堵の笑みが零れる。
ついに完成した、青いマジン・ザ・ハンド。
夕方、ついに円堂守はチームに戻って来た。
これこそ、僕らのキャプテンだ。
『それからさ、守』
「どうした?時雨」
きょとんとした顔で守が首を傾げる。
『勇気を連れて行くことにした』
「みなさん、よろしくお願いします!!」
勢いよくお辞儀をした勇気。
僕はふっと笑って、彼の頭をくしゃくしゃと撫でた。
去ってしまった仲間もいるけど、帰ってくると信じてる。
新たな仲間を加えて、僕たちは突き進む。
翌朝、士郎がチームに戻って来た。
僕は知ってしまった。
一瞬だけ、一瞬だけ士郎の目にアツヤが宿ったことを。
その直後、監督の携帯に響木監督から連絡があった。
“炎のストライカー”と呼ばれる人を見つけたらしい。
「炎」と聞いて、思い浮かぶのはただ一人。
『修也…』
きっと、修也だよね。
行くから…きっと、会いに行くから。
***
「…っ!?」
今、確かに…あいつの声が聞こえた気がした。
「どうした、修也?」
「梅雨さん、今時雨の声が聞こえた気がして…」
「時雨の、か」
(時雨、早く傍にいきたい…)
(弟を頼んだ…瞳子)