男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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イプシロンがやってきた。
僕はエイリアと戦う初めての試合。
でも、できれば金輪際戦いたくはないかもしれない。
今日のポジションはトップ下で、FWはリカちゃん。
士郎はDFに専念することとなった。
試合開始直後、シュートを打たれる。
守がしっかりとシュートを止めた。
みんなの士気がどんどんあがっていく…
(あの、ゴールキーパー…変だ)
エイリアとの攻防は実力差が縮まり、いい勝負になっている。
どこか、気になる…あのゴールキーパー。
わざわざ猶予を与えた意図が、わからない。
それは士郎の中のアツヤにスイッチを入れてしまうこととなった。
『士郎!?』
痺れを切らしたアツヤが士郎の身体を支配し、一人で攻めあがる。
僕は士郎…いや、アツヤの背を急いで追いかけた。
(ここで…ここで、またプレッシャーを与えるわけにはいかないのにっ)
ここで止められれば、またアツヤが焦って二人のバランスが崩れてしまう。
アツヤは渾身のエターナルブリザードを打った。
「エターナルブリザードオォォォ!!!!」
『士郎、ダメだって…』
そう、まだ…まだダメだ。
エターナルブリザードはデザームのワームホールに敗れてしまった。
何度もアツヤはエターナルブリザードを打つ。
イプシロンも何度もシュートを打つ。
だけど、両者1点も決められず時間だけが進んでいく。
前半、両チーム無得点で終了する。
(アツヤ、士郎…それからデザーム、気になることが多すぎる)
「吹雪をFWにあげてください」
有人がそう申し出るも、監督は首を横に振った。
それもそうだ。士郎が抜ければ、その分穴は多くなる。
「ねぇ、時雨じゃダメなの?」
不意に士郎がそう言った。
僕自身、士郎に言われると思ってなかったから吃驚した。
「僕と、僕とずっと一緒にシュート練習をしてきた時雨なら…攻撃に加われる」
『…士郎』
士郎の目はどこかアツヤに怯えているような目をしていた。
僕が、攻撃に加わることで士郎に負荷がかからないなら…僕はそうする。
『僕、攻撃に入ります』
僕がそう言うと、士郎は少しだけ安心したような表情を浮かべた。
「そう、だったら…頼むわよ、時雨君」
『はい』
士郎は敵と戦いながら、アツヤという自分とも戦っている。
その姿は…少し前まで自分がわからなくなった自分に似ていたから、放っておけないんだ。
「お前、その癖復活したのか?」
『有人』
色んなことを考えていると、お菓子を食べる手が止まらない。
これは帝国に居た時の癖だった。
試合をどう運ぶか、考えるときに自分を落ち着かせる方法だった。
「よく吹雪の代わりにFWに上がるなんていったな…お前は」
有人は溜め息を吐きながら言った。
僕はぱきっと音を立てて、歯でチョコレートを砕く。
『なんとなく、こういう局面は僕の出番でしょ』
「まあな…それに吹雪にも負荷がかかりすぎないしな」
『うん、僕もそう思った』
「そうか」
有人は「頼んだぞ」と言って、ピッチに戻っていく。
あぁ、もうすぐ…後半が始まる。
ペンダントを握り締め、切に願う。
『修也…僕に、力を貸して』
後半は両チーム一進一退。
ただ、やっぱりアツヤが暴走を始める。
いつの間にか、アツヤのせいで僕と士郎の役目は入れ替わってしまった。
士郎とアツヤが葛藤をしているばっかりに、イプシロンに先取点を持っていかれた。
『…士郎、アツヤ』
今は、今は士郎とアツヤがまともに集中できない。
だったら、僕が…やるしかないんだ。
守の掛け声でみんな気合を入れなおす。
そこから再び、熱戦が続いた。
この試合で才能の開花をしたのはDF陣。
飛鳥の新必殺技、夕弥の旋風陣が炸裂する。
ただ、気になるのは…
『焦らないで、よく狙って!!』
アツヤのエターナルブリザード。
ついに、デザームのワームホールを破った。
あれ…喜ばしいはずなのに、なんだろう…この嫌な感じ。
思ったとおり、まだ強力なキーパー技を隠していたデザーム。
スコア、1-1のまま彼らは消え去った。
フィールドには士郎の、アツヤの悲痛な叫びが響いている。
“勝てなかった”、でも…“負けなかった”
これは大きな進歩でちゃんと成長してるってわかる。
『ごめんね、シュートできなかった』
みんなにそう言うと、いつも通り「気にするな」って声が返ってきた。
ねぇ、士郎、アツヤ…この声を君たちはどう受け止めてるのかな。
少し時間をあけてから、士郎と少しを話をした。
『大丈夫?』
「あ、うん…もう大丈夫。なんか、ごめんね」
『ううん、アツヤの方はどう?』
「…焦ってる、のかな」
『そっか』
大丈夫といいながらも、無理をしている。
自分もこんな風に無理してることが多かった所為か、なんとなくわかる。
『完璧、か…』
「完璧が、どうかした?」
『…きっと、僕の大切な人ならこう言うんじゃないかなって』
「……?」
『“俺は完璧じゃなくてもサッカーは楽しいぜ”って』
「……でも、僕には」
『わかってる』
ぎゅっと目を瞑った士郎の手を取る。
『士郎の影でいるから、ずっと君の味方だからね』
やっと士郎の表情が和らいだ。
「ありがとう、時雨」
キャラバンは福岡、陽花戸中に向かっていた。
理由は簡単で「大介のノート」がそこにあるという。
そこで出会ったのは陽花戸中サッカー部。
みんな雷門中のファンで、特に立向居勇気くんは凄かった。手と足一緒に出てたしね。
『溢れ出る才能、寛大な光…』
彼を見て、素直にそう思った。開花はしていないものの他人とは違う感じ。
その予感は当たった。
彼は…立向居勇気は青い「ゴッドハンド」を使えるキーパーだったんだ。
『守と同格のゴッドハンドを持つ少年か』
なんだろう…この沸き立つ感じ。
凄く才能に惹かれる、凄い、凄いとしか言えなくて。
修也や士郎のような完成に近い才能じゃないけど、惹かれるものがあった。
昔、才能が開花する前の源田に会った時もこうだった気がする。
あの面白みのない日々の中で源田の成長と飛鳥との友好だけが帝国で生きる楽しみだった。
『立向居…勇気』
合同練習を経て、翌日練習試合をすることになった。
驚きの隠せない陽花戸中との試合はあっという間に後半戦。
次から次へと、立向居は雷門シュートを止めてしまう。
士郎からのパスに飛鳥が困惑している。
珍しく背の高さが仇となっていた。
『飛鳥、パスちょーだいっ』
「行くぞ、時雨!!」
飛鳥からボールを受け一気に上がるものの、足止めを喰う。
なんかこういうことされると、久々に無茶したくなっちゃうよ。
「って、何する気だ!?」
『見ててよ、何するかを』
そう言ってボールを高く蹴り上げ、自身も高く飛び上がる。
背に生える黒い翼、まるで悪魔のようなその翼。
ボールにはエネルギーが溜まっていく。
『ガーディアン・デーモンッ!!』
僕の新必殺技、世宇子中のみんなと完成させたシュート技。
ただ、それを受ける立向居の技はさっき見たばかりのあの技。
『行け、デーモンっ』
「マジン・ザ・ハンド!!!!」
僕と立向居の一騎打ちだった。
試合は4-0で雷門の勝利。
シュートを受ければ受ける程強くなる立向居から目が離せない。
それと同時に士郎の不調が気になる。
アツヤのことを考えれば考えるほどに動けなくなってしまう。
みんなの求めるストライカーと士郎のもとめる完璧、そして真実…
全てが食い違って、上手く進まなくなってしまっている現実。
『心の時間は止まったまま…あの時の僕みたいに』
「…何か、言った?」
士郎が不思議そうな顔でこっちを見ている。
僕は首を横に振ってみせた。
『…君は吹雪士郎でいてほしい、それだけ』
「…?」
士郎は意味がわからないみたいだった。
それでも、僕は士郎は士郎であってほしいと思う。
ねぇ、修也。
修也だったら、士郎に何て言うのかな。
きゅっとペンダントを握り締めて、空を見上げる。
本当に、どこにいるのかな…修也。
僕はエイリアと戦う初めての試合。
でも、できれば金輪際戦いたくはないかもしれない。
今日のポジションはトップ下で、FWはリカちゃん。
士郎はDFに専念することとなった。
試合開始直後、シュートを打たれる。
守がしっかりとシュートを止めた。
みんなの士気がどんどんあがっていく…
(あの、ゴールキーパー…変だ)
エイリアとの攻防は実力差が縮まり、いい勝負になっている。
どこか、気になる…あのゴールキーパー。
わざわざ猶予を与えた意図が、わからない。
それは士郎の中のアツヤにスイッチを入れてしまうこととなった。
『士郎!?』
痺れを切らしたアツヤが士郎の身体を支配し、一人で攻めあがる。
僕は士郎…いや、アツヤの背を急いで追いかけた。
(ここで…ここで、またプレッシャーを与えるわけにはいかないのにっ)
ここで止められれば、またアツヤが焦って二人のバランスが崩れてしまう。
アツヤは渾身のエターナルブリザードを打った。
「エターナルブリザードオォォォ!!!!」
『士郎、ダメだって…』
そう、まだ…まだダメだ。
エターナルブリザードはデザームのワームホールに敗れてしまった。
何度もアツヤはエターナルブリザードを打つ。
イプシロンも何度もシュートを打つ。
だけど、両者1点も決められず時間だけが進んでいく。
前半、両チーム無得点で終了する。
(アツヤ、士郎…それからデザーム、気になることが多すぎる)
「吹雪をFWにあげてください」
有人がそう申し出るも、監督は首を横に振った。
それもそうだ。士郎が抜ければ、その分穴は多くなる。
「ねぇ、時雨じゃダメなの?」
不意に士郎がそう言った。
僕自身、士郎に言われると思ってなかったから吃驚した。
「僕と、僕とずっと一緒にシュート練習をしてきた時雨なら…攻撃に加われる」
『…士郎』
士郎の目はどこかアツヤに怯えているような目をしていた。
僕が、攻撃に加わることで士郎に負荷がかからないなら…僕はそうする。
『僕、攻撃に入ります』
僕がそう言うと、士郎は少しだけ安心したような表情を浮かべた。
「そう、だったら…頼むわよ、時雨君」
『はい』
士郎は敵と戦いながら、アツヤという自分とも戦っている。
その姿は…少し前まで自分がわからなくなった自分に似ていたから、放っておけないんだ。
「お前、その癖復活したのか?」
『有人』
色んなことを考えていると、お菓子を食べる手が止まらない。
これは帝国に居た時の癖だった。
試合をどう運ぶか、考えるときに自分を落ち着かせる方法だった。
「よく吹雪の代わりにFWに上がるなんていったな…お前は」
有人は溜め息を吐きながら言った。
僕はぱきっと音を立てて、歯でチョコレートを砕く。
『なんとなく、こういう局面は僕の出番でしょ』
「まあな…それに吹雪にも負荷がかかりすぎないしな」
『うん、僕もそう思った』
「そうか」
有人は「頼んだぞ」と言って、ピッチに戻っていく。
あぁ、もうすぐ…後半が始まる。
ペンダントを握り締め、切に願う。
『修也…僕に、力を貸して』
後半は両チーム一進一退。
ただ、やっぱりアツヤが暴走を始める。
いつの間にか、アツヤのせいで僕と士郎の役目は入れ替わってしまった。
士郎とアツヤが葛藤をしているばっかりに、イプシロンに先取点を持っていかれた。
『…士郎、アツヤ』
今は、今は士郎とアツヤがまともに集中できない。
だったら、僕が…やるしかないんだ。
守の掛け声でみんな気合を入れなおす。
そこから再び、熱戦が続いた。
この試合で才能の開花をしたのはDF陣。
飛鳥の新必殺技、夕弥の旋風陣が炸裂する。
ただ、気になるのは…
『焦らないで、よく狙って!!』
アツヤのエターナルブリザード。
ついに、デザームのワームホールを破った。
あれ…喜ばしいはずなのに、なんだろう…この嫌な感じ。
思ったとおり、まだ強力なキーパー技を隠していたデザーム。
スコア、1-1のまま彼らは消え去った。
フィールドには士郎の、アツヤの悲痛な叫びが響いている。
“勝てなかった”、でも…“負けなかった”
これは大きな進歩でちゃんと成長してるってわかる。
『ごめんね、シュートできなかった』
みんなにそう言うと、いつも通り「気にするな」って声が返ってきた。
ねぇ、士郎、アツヤ…この声を君たちはどう受け止めてるのかな。
少し時間をあけてから、士郎と少しを話をした。
『大丈夫?』
「あ、うん…もう大丈夫。なんか、ごめんね」
『ううん、アツヤの方はどう?』
「…焦ってる、のかな」
『そっか』
大丈夫といいながらも、無理をしている。
自分もこんな風に無理してることが多かった所為か、なんとなくわかる。
『完璧、か…』
「完璧が、どうかした?」
『…きっと、僕の大切な人ならこう言うんじゃないかなって』
「……?」
『“俺は完璧じゃなくてもサッカーは楽しいぜ”って』
「……でも、僕には」
『わかってる』
ぎゅっと目を瞑った士郎の手を取る。
『士郎の影でいるから、ずっと君の味方だからね』
やっと士郎の表情が和らいだ。
「ありがとう、時雨」
キャラバンは福岡、陽花戸中に向かっていた。
理由は簡単で「大介のノート」がそこにあるという。
そこで出会ったのは陽花戸中サッカー部。
みんな雷門中のファンで、特に立向居勇気くんは凄かった。手と足一緒に出てたしね。
『溢れ出る才能、寛大な光…』
彼を見て、素直にそう思った。開花はしていないものの他人とは違う感じ。
その予感は当たった。
彼は…立向居勇気は青い「ゴッドハンド」を使えるキーパーだったんだ。
『守と同格のゴッドハンドを持つ少年か』
なんだろう…この沸き立つ感じ。
凄く才能に惹かれる、凄い、凄いとしか言えなくて。
修也や士郎のような完成に近い才能じゃないけど、惹かれるものがあった。
昔、才能が開花する前の源田に会った時もこうだった気がする。
あの面白みのない日々の中で源田の成長と飛鳥との友好だけが帝国で生きる楽しみだった。
『立向居…勇気』
合同練習を経て、翌日練習試合をすることになった。
驚きの隠せない陽花戸中との試合はあっという間に後半戦。
次から次へと、立向居は雷門シュートを止めてしまう。
士郎からのパスに飛鳥が困惑している。
珍しく背の高さが仇となっていた。
『飛鳥、パスちょーだいっ』
「行くぞ、時雨!!」
飛鳥からボールを受け一気に上がるものの、足止めを喰う。
なんかこういうことされると、久々に無茶したくなっちゃうよ。
「って、何する気だ!?」
『見ててよ、何するかを』
そう言ってボールを高く蹴り上げ、自身も高く飛び上がる。
背に生える黒い翼、まるで悪魔のようなその翼。
ボールにはエネルギーが溜まっていく。
『ガーディアン・デーモンッ!!』
僕の新必殺技、世宇子中のみんなと完成させたシュート技。
ただ、それを受ける立向居の技はさっき見たばかりのあの技。
『行け、デーモンっ』
「マジン・ザ・ハンド!!!!」
僕と立向居の一騎打ちだった。
試合は4-0で雷門の勝利。
シュートを受ければ受ける程強くなる立向居から目が離せない。
それと同時に士郎の不調が気になる。
アツヤのことを考えれば考えるほどに動けなくなってしまう。
みんなの求めるストライカーと士郎のもとめる完璧、そして真実…
全てが食い違って、上手く進まなくなってしまっている現実。
『心の時間は止まったまま…あの時の僕みたいに』
「…何か、言った?」
士郎が不思議そうな顔でこっちを見ている。
僕は首を横に振ってみせた。
『…君は吹雪士郎でいてほしい、それだけ』
「…?」
士郎は意味がわからないみたいだった。
それでも、僕は士郎は士郎であってほしいと思う。
ねぇ、修也。
修也だったら、士郎に何て言うのかな。
きゅっとペンダントを握り締めて、空を見上げる。
本当に、どこにいるのかな…修也。