男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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ナニワランドについてから、各々別れてエイリア学園のアジトを探す。
僕もあちこちアジトを探していると、妙な場所から何人もの女の子が出てくるのを見た。
(…アトラクションの、裏?)
妙に少し悪意を感じた。
あの子達からじゃない、多分このアトラクションから。
彼女たちが出てきた場所から、中に入ってみる。
辺りを見回しても、何もない。
(だったら、遊園地らしくカラクリがあるのかもしれない)
ちょっと、あちこちいじってみると床ががたんと動く。
エレベーターだったらしい、それに乗って下の階へ向かう。
『何、これ…』
いくつものトレーニングマシーンが設備されているそこ。
妙に感じる、エイリア学園の雰囲気。
わずかながらに疼く歯型が推測を確信に変えてくれる。
『アジト…というよりは、特訓場かな』
嫌な感じはちょっとするものの、イナビカリ修練場を思い出す。
みんなにここの場所を教える前に少しだけ使ってみたくなった。
誰もいないし、少しくらい使ったって大丈夫かなと思ってスイッチを入れた。
ここのトレーニングマシーンは本当に強い。
難しい軌道で飛んでくるボール。
絶対にシュートを許さないキーパーロボット。
ベルコンベアも色んなものが飛んでくるは、向きは変わるわで上手く走れない。
なかなか厳しい特訓のできるこのマシーンにすっかり夢中になってしまった。
お陰でどれくらいここにいるのか、みんながどこにいるのかさっぱりわからなくなっていた。
『ヤバい…夢中になってた、』
真・帝国学園の後、まともにサッカーしてなかった所為もあってボールの誘惑に負けた。
『…やっぱ、サッカー好きだな』
やっぱり僕はサッカーが好きだ。そう、改めて思う。
修也は兄さんと一緒だし、夕香ちゃんも鬼瓦さんたちがなんとかしようとしてくれてる。
だったら、僕はこの場にいないみんなの分もサッカーするだけだ。
『今度こそ、みんなの力になる』
みんなを守る影、守護神・デーモン。
世宇子のみんなと、テルと完成させた必殺技がみんなの士気を上げる材料になればいい。
そんなことを考えていると、聞き覚えのある声。
「こんなとこにいたのか、時雨」
振り返ると、呆れたような顔をした有人と驚いた顔のみんながいた。
『…よく、ここわかったね』
そう言ってへらっと笑うと、有人に殴られた。
「このバカッ」
『…っ、痛ぁ…有人、乱暴だよ、』
随分と心配をかけてしまったらしく、有人は珍しく怒っていた。
飛鳥はちょっと吃驚しつつも、春菜と一緒に有人を宥めてくれた。
『…有人、ごめんってば…』
「まったく、お前と言う奴は」
ぶつくさと文句を言い続ける有人。
でも、僕のことをこんなにも怒ってくれるのは有人と飛鳥…だけかも。
さっき、有人に殴られたとこがヒリヒリする。
…結構な力で殴ったんだろうな。
『昔だったら、大喧嘩…かなー』
そう、昔だったら…帝国にいた頃なら二人で殴り合いの大喧嘩になったことは間違いない。
まだ中学に上がる前にも何度か喧嘩したのを覚えてる。
守によれば、一哉に一目惚れしたリカちゃんが所属する女子サッカーチームの特訓場らしい。
ただ、ここのもとの持ち主が誰かは彼女たちも知らないという。
だから、ここから少し悪意を感じたんだと思う。
イナズマキャラバンはイプシロン戦に向けて、ここで特訓することになった。
そこで気になったのは、「吹雪士郎」だった。
士郎の様子はどこかおかしい。
あまりにも強くなろうと気持ちばかりが先走っている。
無闇にシュートを打ったって、強くはならない。
もっと気になったのは、士郎はけして“一人”じゃない。
『ねぇ、君は誰なの?』
ふと、立ち止まった士郎の背中に聞いてみる。
返事返ってくるのかな、とか思ってるとくるりと士郎は振り返る。
「どういう意味?」
灰色の目の士郎が僕に聞き返した。
どこか、驚いているような目をしていた。
『ん?オレンジの目の子は誰なのかなって。 確かに吹雪だけど、士郎じゃないよね?』
「…嘘」
吃驚して声が出ない士郎。
何か、いけないことを聞いちゃったかな。
「初めてだ、気付いてくれたの」
『え?』
「僕の、僕の中のアツヤに気が付いてくれたの…初めてなんだ」
『…アツヤ?』
「うん、僕の双子の弟なんだ」
それから少しの間、士郎の話を聞いた。
事故で家族を失ったこと。
いつしか、自分の中に弟・アツヤの人格が形成されていたこと。
FWとDFでは士郎とアツヤが入れ替わってプレイしていたこと。
驚くことばかりだったけど、士郎の様子からして嘘じゃないと思う。
みんなが気付いてないことも、嘘じゃない。
…全部、「士郎」なんだとみんなは思ってるんだ。
今まで、士郎とアツヤはどれだけ協力してきたんだろうか。
ずっと…たった二人で、二人の世界で生きてきたんだろうなと思った。
『ねぇ、士郎』
「ん、何?えっと…」
『時雨でいいよ』
「うん、時雨。それで、何?」
『僕が影になる、士郎の影に』
「…影?」
そう言って、聞き返した士郎に僕はこくりと頷いた。
『士郎が守備のときは僕が攻撃に、アツヤが攻撃のときは僕が守備に』
「…そんなこと、」
『できるよ、いっぱい特訓すれば。それに』
「…それに?」
『士郎のやりたいサッカーに近づけるんじゃないかな』
士郎の求める「完璧」は、それが本当に最強かはわからない。
でも、今はそれにみんなが力を貰ってるから今ここで戦うエースを支えるのは僕の仕事だと思う。
『竜吾ほど、士郎と連携とれるかわかんないけど…
僕は、今ここで戦ってるエースに合わせてみるよ』
「時雨が僕の影…雷門の最強コンビになれるかな?」
『修也や竜吾が帰ってきたときに吃驚させるようなコンビになろうよ』
そう言うと、士郎はにこっと笑って頷いた。
士郎は僕にアツヤのことを相談してもいいかどうか聞いてきた。
もちろん、いいに決まってる。仲間なんだから。
それから、僕の相棒と士郎の相棒が戻ってくるまでに強くなると、約束した。
きゅっとペンダントを握り締める。
待ってるからね、修也。
士郎のことは任せて、竜吾。
その後、僕は士郎とシュート練習をした。
一度ディフェンス練習に参加したものの、焦っている士郎はすぐにシュート練習に戻ってしまった。
僕も士郎の後を追おうとすると、有人に引き止められる。
「吹雪、大丈夫だろうか」
『有人…士郎のことは僕に任せて、きっと大丈夫だから』
「あぁ、頼んだぞ。それと、」
背を向けた僕に有人は心配そうな声音で言った。
「さっきは殴ってすまなかった。お前も、無理はするなよ」
『ありがと、わかってる』
「そうか、なら構わない…」
有人に今一度、「ありがと」と言い残して士郎の後を追った。
士郎と一緒にいてわかったこと。
それは、士郎以上にアツヤが焦っているってことだ。
こんな時に修也が居たら、きっとシュートを士郎に食らわせるんだろうなって思う。
『士郎とアツヤ…バランスが崩れ始めてるのかも』
そうだったら、危ない。
士郎は優れた選手でありながら、爆弾を抱えている状態なんだ。
ずっと、士郎はシュートを打ち続けた。
僕も一緒にシュート練習を続けた。
それでもって、時々キーパー練習のマシンでブロック技の練習をした。
夜になっても、士郎(アツヤの方が)練習を続けていた。
さすがに、そろそろ休まないと疲れがたまるんじゃないかな。
『ねぇ…そろそろ、休もうよ』
「まだだっ!!」
ガシャーンとマシンにシュートがぶち当たる。
一体、何をそんなに焦ってるんだろう。
『アツヤの目はさ、何を見てるの?』
「何って、あいつだ」
『あいつ?』
「デザームだ、あいつを倒さねぇと点が入らねぇんだよ」
『ゴールしか…見えてないんだ、アツヤは』
だから、焦ってるのか。
前しか見えてないから、周りが見えなくて。
独りよがりなサッカーになっちゃうのはそういうことなんだ。
僕が士郎とみんなを繋ぐ。
それで雷門のサッカーをしてみせる。
いつか、士郎が周りを見てくれるように。
それまでは僕が士郎の足りないトコを補えばいい。
いつも、修也が僕にそうしてくれたように。
“俺がついてる。お前はお前のやりたいようにやれ…時雨”
個人的な問題には関与できない、でも支えてあげることはできるから。
もうすぐ、もうすぐ…イプシロンが来る。
僕とエイリア学園の初めての試合だ。
僕もあちこちアジトを探していると、妙な場所から何人もの女の子が出てくるのを見た。
(…アトラクションの、裏?)
妙に少し悪意を感じた。
あの子達からじゃない、多分このアトラクションから。
彼女たちが出てきた場所から、中に入ってみる。
辺りを見回しても、何もない。
(だったら、遊園地らしくカラクリがあるのかもしれない)
ちょっと、あちこちいじってみると床ががたんと動く。
エレベーターだったらしい、それに乗って下の階へ向かう。
『何、これ…』
いくつものトレーニングマシーンが設備されているそこ。
妙に感じる、エイリア学園の雰囲気。
わずかながらに疼く歯型が推測を確信に変えてくれる。
『アジト…というよりは、特訓場かな』
嫌な感じはちょっとするものの、イナビカリ修練場を思い出す。
みんなにここの場所を教える前に少しだけ使ってみたくなった。
誰もいないし、少しくらい使ったって大丈夫かなと思ってスイッチを入れた。
ここのトレーニングマシーンは本当に強い。
難しい軌道で飛んでくるボール。
絶対にシュートを許さないキーパーロボット。
ベルコンベアも色んなものが飛んでくるは、向きは変わるわで上手く走れない。
なかなか厳しい特訓のできるこのマシーンにすっかり夢中になってしまった。
お陰でどれくらいここにいるのか、みんながどこにいるのかさっぱりわからなくなっていた。
『ヤバい…夢中になってた、』
真・帝国学園の後、まともにサッカーしてなかった所為もあってボールの誘惑に負けた。
『…やっぱ、サッカー好きだな』
やっぱり僕はサッカーが好きだ。そう、改めて思う。
修也は兄さんと一緒だし、夕香ちゃんも鬼瓦さんたちがなんとかしようとしてくれてる。
だったら、僕はこの場にいないみんなの分もサッカーするだけだ。
『今度こそ、みんなの力になる』
みんなを守る影、守護神・デーモン。
世宇子のみんなと、テルと完成させた必殺技がみんなの士気を上げる材料になればいい。
そんなことを考えていると、聞き覚えのある声。
「こんなとこにいたのか、時雨」
振り返ると、呆れたような顔をした有人と驚いた顔のみんながいた。
『…よく、ここわかったね』
そう言ってへらっと笑うと、有人に殴られた。
「このバカッ」
『…っ、痛ぁ…有人、乱暴だよ、』
随分と心配をかけてしまったらしく、有人は珍しく怒っていた。
飛鳥はちょっと吃驚しつつも、春菜と一緒に有人を宥めてくれた。
『…有人、ごめんってば…』
「まったく、お前と言う奴は」
ぶつくさと文句を言い続ける有人。
でも、僕のことをこんなにも怒ってくれるのは有人と飛鳥…だけかも。
さっき、有人に殴られたとこがヒリヒリする。
…結構な力で殴ったんだろうな。
『昔だったら、大喧嘩…かなー』
そう、昔だったら…帝国にいた頃なら二人で殴り合いの大喧嘩になったことは間違いない。
まだ中学に上がる前にも何度か喧嘩したのを覚えてる。
守によれば、一哉に一目惚れしたリカちゃんが所属する女子サッカーチームの特訓場らしい。
ただ、ここのもとの持ち主が誰かは彼女たちも知らないという。
だから、ここから少し悪意を感じたんだと思う。
イナズマキャラバンはイプシロン戦に向けて、ここで特訓することになった。
そこで気になったのは、「吹雪士郎」だった。
士郎の様子はどこかおかしい。
あまりにも強くなろうと気持ちばかりが先走っている。
無闇にシュートを打ったって、強くはならない。
もっと気になったのは、士郎はけして“一人”じゃない。
『ねぇ、君は誰なの?』
ふと、立ち止まった士郎の背中に聞いてみる。
返事返ってくるのかな、とか思ってるとくるりと士郎は振り返る。
「どういう意味?」
灰色の目の士郎が僕に聞き返した。
どこか、驚いているような目をしていた。
『ん?オレンジの目の子は誰なのかなって。 確かに吹雪だけど、士郎じゃないよね?』
「…嘘」
吃驚して声が出ない士郎。
何か、いけないことを聞いちゃったかな。
「初めてだ、気付いてくれたの」
『え?』
「僕の、僕の中のアツヤに気が付いてくれたの…初めてなんだ」
『…アツヤ?』
「うん、僕の双子の弟なんだ」
それから少しの間、士郎の話を聞いた。
事故で家族を失ったこと。
いつしか、自分の中に弟・アツヤの人格が形成されていたこと。
FWとDFでは士郎とアツヤが入れ替わってプレイしていたこと。
驚くことばかりだったけど、士郎の様子からして嘘じゃないと思う。
みんなが気付いてないことも、嘘じゃない。
…全部、「士郎」なんだとみんなは思ってるんだ。
今まで、士郎とアツヤはどれだけ協力してきたんだろうか。
ずっと…たった二人で、二人の世界で生きてきたんだろうなと思った。
『ねぇ、士郎』
「ん、何?えっと…」
『時雨でいいよ』
「うん、時雨。それで、何?」
『僕が影になる、士郎の影に』
「…影?」
そう言って、聞き返した士郎に僕はこくりと頷いた。
『士郎が守備のときは僕が攻撃に、アツヤが攻撃のときは僕が守備に』
「…そんなこと、」
『できるよ、いっぱい特訓すれば。それに』
「…それに?」
『士郎のやりたいサッカーに近づけるんじゃないかな』
士郎の求める「完璧」は、それが本当に最強かはわからない。
でも、今はそれにみんなが力を貰ってるから今ここで戦うエースを支えるのは僕の仕事だと思う。
『竜吾ほど、士郎と連携とれるかわかんないけど…
僕は、今ここで戦ってるエースに合わせてみるよ』
「時雨が僕の影…雷門の最強コンビになれるかな?」
『修也や竜吾が帰ってきたときに吃驚させるようなコンビになろうよ』
そう言うと、士郎はにこっと笑って頷いた。
士郎は僕にアツヤのことを相談してもいいかどうか聞いてきた。
もちろん、いいに決まってる。仲間なんだから。
それから、僕の相棒と士郎の相棒が戻ってくるまでに強くなると、約束した。
きゅっとペンダントを握り締める。
待ってるからね、修也。
士郎のことは任せて、竜吾。
その後、僕は士郎とシュート練習をした。
一度ディフェンス練習に参加したものの、焦っている士郎はすぐにシュート練習に戻ってしまった。
僕も士郎の後を追おうとすると、有人に引き止められる。
「吹雪、大丈夫だろうか」
『有人…士郎のことは僕に任せて、きっと大丈夫だから』
「あぁ、頼んだぞ。それと、」
背を向けた僕に有人は心配そうな声音で言った。
「さっきは殴ってすまなかった。お前も、無理はするなよ」
『ありがと、わかってる』
「そうか、なら構わない…」
有人に今一度、「ありがと」と言い残して士郎の後を追った。
士郎と一緒にいてわかったこと。
それは、士郎以上にアツヤが焦っているってことだ。
こんな時に修也が居たら、きっとシュートを士郎に食らわせるんだろうなって思う。
『士郎とアツヤ…バランスが崩れ始めてるのかも』
そうだったら、危ない。
士郎は優れた選手でありながら、爆弾を抱えている状態なんだ。
ずっと、士郎はシュートを打ち続けた。
僕も一緒にシュート練習を続けた。
それでもって、時々キーパー練習のマシンでブロック技の練習をした。
夜になっても、士郎(アツヤの方が)練習を続けていた。
さすがに、そろそろ休まないと疲れがたまるんじゃないかな。
『ねぇ…そろそろ、休もうよ』
「まだだっ!!」
ガシャーンとマシンにシュートがぶち当たる。
一体、何をそんなに焦ってるんだろう。
『アツヤの目はさ、何を見てるの?』
「何って、あいつだ」
『あいつ?』
「デザームだ、あいつを倒さねぇと点が入らねぇんだよ」
『ゴールしか…見えてないんだ、アツヤは』
だから、焦ってるのか。
前しか見えてないから、周りが見えなくて。
独りよがりなサッカーになっちゃうのはそういうことなんだ。
僕が士郎とみんなを繋ぐ。
それで雷門のサッカーをしてみせる。
いつか、士郎が周りを見てくれるように。
それまでは僕が士郎の足りないトコを補えばいい。
いつも、修也が僕にそうしてくれたように。
“俺がついてる。お前はお前のやりたいようにやれ…時雨”
個人的な問題には関与できない、でも支えてあげることはできるから。
もうすぐ、もうすぐ…イプシロンが来る。
僕とエイリア学園の初めての試合だ。