男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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夏未ちゃんから携帯に連絡があった。
北海道で吹雪士郎君を仲間にしたという。
でも、竜吾が納得してないみたいで衝突しているらしい。
確かに修也の時もそんなことがあったな。
「このままで大丈夫かしら」
『最初は修也ともそんな感じだったから…
きっと、竜吾と吹雪君はいいコンビになるよ』
「…そうね。もう少し様子を見てみるわ」
『みんなをお願い、夏未ちゃん』
「えぇ、任せておいて」
そう言って、通話が切れた。
竜吾は努力家だから、簡単に天才肌を受け入れられない。
でも、打ち解ければ心強い仲間だ。
そんなことを思っていると、コンピューターが音を立てて僕を呼ぶ。
『…エイリア学園!?』
エイリア学園の次の襲撃地を予測しておいたプログラムが反応している。
僕が予測しておいた、3ヶ所のうちの一つがピカピカと光っていた。
悪夢が現実となってしまった。
『北海道、か…』
響木監督にメールを入れる。
僕が監督に頼まれていた、エイリア予測プログラムの結果を送った。
このままだと、本当に父さんが…
『…どうしたら、いいんだよ』
修也に貰ったペンダントを握りしめる。
傍にいなくても、心はここにあるって信じてるよ。
今一度、携帯が鳴る。
ディスプレイを見て、僕は驚き急いで通話ボタンを押した。
『修也っ!!』
「…時雨、俺…」
言葉を上手く紡げない様子の修也。
『話は守から聞いてるよ。今、どこにいるの?』
「っ…、すまない…」
監視が厳しいのか、場所を教えてくれない。
夕香ちゃんが気になって、下手なことができないんだ。
『…無理だけは、しないでね』
「あぁ…お前も気をつけろ、何があるかわからない」
『うん、大丈夫。傍にいなくても、修也もみんなもいつも一緒だから』
「…そうか、そうだな」
一瞬、いつもの修也に戻ったような気がした。
『また、一緒にサッカーしようね』
「約束するよ、時雨」
修也が先に電話を切った。
どこにいるかはわからないけど、でも…どこかでサッカーしてるんだね。
修也、もう倒れたりしないから大丈夫だよ。
――行こう、愛媛に
世宇子スタジアムに来てからの数日、僕は自分を理解できた。
だから、もう倒れたりなんてしない。
練習の最中、テルに伝えた。
明後日、愛媛に向って旅立つと。
驚く様子もなくテルは優しく微笑んでいた。
「そうか、やっぱり…行くんだね」
『うん、色々とありがとう』
「僕達こそ礼を言わなくちゃいけない、ありがとう」
タダシ(こと、ヘラ)が優しく頭を撫でてくれた。
先輩らしいことをしてもらったのは初めてだ。
テルは微笑んだまま、僕に言う。
「時雨君、君には仲間がついている。
それから、僕達はいつだって君の味方だからね」
「また、いつでも来い」
「お前だったら、歓迎するぜ」
『テル、タダシ、ユタカ、みんな…本当にありがと』
世宇子イレブンには本当によくしてもらった。
こうやって、分かり合えれば争いやいさかいを心配することもないのに。
僕が旅立つ前日、守からジェミニに勝ったと連絡が来た。
ただ、新たなチームが現れたとも…
エイリア学園にはいくつのチームが存在するんだろう。
僕は有人の父さんに頼んで、愛媛まで新幹線のチケットを取ってもらった。
行く前に、母さんのお墓に寄る。
墓石には花と、何故だかオレンジ色のパーカーが添えられていた。
『…誰だろう?』
オレンジ色のパーカーを手に取る。
ポケットにメモのような物が見え、取り出す。
『この字は、もしかして…』
メモには見覚えのある字で「無理するなよ」と書かれていた。
それじゃあ、この花は修也が持ってきてくれた?
一回戻って来たんだね、修也。
『そっくりそのまま返すよ、気をつけてね…修也』
母さんの墓石の前で手を合わせる。
お願い、母さん…修也を、みんなを見守っていて。
僕は修也の置いていったパーカーを羽織る。
そのまま、新幹線で愛媛へ向かった。
マナーモードにしていた携帯が震える。
見たことの無いアドレスからのメール…
―愛媛・埠頭にて、待つ 不動明王
『…不動』
ところで、不動は何者なんだろう。
別に宇宙人というわけではなさそうだけど。
どこかで人間と宇宙人が手を組んでいるのだろうか…
「よう、遅かったじゃん」
『不動…』
僕が埠頭の港に着くと、不動が潜水艦を背に待ち構えていた。
あの悪意に満ちた笑みを浮かべて。
『…僕は真・帝国の仲間になるつもりはない』
「そんなこと、わかってるっつーの。
佐久間と源田を返せってんだろ?アンタは」
おどけたような態度を取る不動。
これは、余裕だから?それとも、手を出せないとわかっているから?
「だけどよ、もし…あいつらが自分の意志で帰らないと言ったら?」
不動の首元に光る紫色の光。
その光を受け、彼の目はどんどん悪意に満ちていく。
『…どういうこと?』
あの二人が、自分の意志でここにいるって…
そんなわけけない。
あの二人は、帝国のみんなはわかってくれた。
有人と一緒に目を醒ましてくれたはず。
「あいつらに会えばわかる、着いて来な」
不動は僕の前を歩き出す。
ここまで来たら、引き返せない。
僕は彼の後に付いて、潜水艦に足を踏み込んだ。
僕が不動に案内されたのは、サッカーグラウンド。
毎回、こんなものをどうやって用意してるんだろう。
そんなことを思っていると、反対側の扉が開いた。
そこに立つ二つの影には見覚えがあった。
『っ、本当に…佐久間!?源田!?』
髪が伸びて右目に2本の傷が入った源田。
同じく髪が伸び、眼帯から赤い目が見えている佐久間。
様子がおかしいにしろ、二人には違いない。
「あれが佐久間と源田だ」
『…嘘、だ』
「嘘だと思うなら、本人に聞いてみろよ」
そう言って不動は僕の背を乱暴に押した。
佐久間、源田…二人と対峙する。
久しぶりに会った二人は雰囲気が全く違っていた。
「久しぶりだな、時雨」
『…なんで、またそっち側に行ったの?』
僕が怪訝そうに言うと、佐久間も源田も笑い出した。
「結局は勝利こそに価値がある」
「だからこそ、俺達は力が欲しかった」
『…力』
やはり世宇子に敗北したこと、有人が雷門で優勝したこと…
全部ひっくるめて、二人は悔しさや羨む想いがこうした形で現れてしまった。
そんなにも父さんのやり方でなければいけないのかな。
「どうだ、再会を果たした感想は」
突如降ってきた声。
それはみんなを何度も傷つけ、自分の欲のままに周りを蹴落としてきた人。
『…父さん』
もう、ここに着いていたのか。
エイリア学園の力を持ってすれば、場所の移動なんて関係ないのかもしれない。
『一体、何がしたんだよ…』
「何がしたいだと?決まっているだろう。
私は常に勝利する一流のチームを作る、それだけだ」
『そんなのが一流なわけないっ!!』
「お前にはわからないだろう…私の求めるものが」
『わかりたくもない!!結果が、勝利だけが全てなんてっ…』
あぁ、なんて…哀れな人なんだ。
サッカーを、憎むことでしか愛せない。
常に勝利するってわかっているチームがどれほどつまらないものなのか…
この人はきっと、一生わかってはくれないんだろう。
「どうだ、時雨。こいつらと勝負してみないか?」
『…佐久間と源田と、勝負?』
「そうだ。雷門に行ったお前と、再び私の許に着いた二人と…」
恐らく、僕に拒否権がないのはわかっている。
でも、この勝負は僕にもやる意味はある。
二人に思い出してほしい、サッカーは楽しいんだって。
『やるよ、父さん』
佐久間にも源田にも、目を醒ましてほしいから。
僕は佐久間と源田と勝負をした。
簡単なPK対決、僕がシュートを決めれば僕の勝ち。
源田が僕のシュートを止めるか、佐久間がシュートを決めれば父さんの勝ちだ。
勝負が始まって、僕は驚いた。
二人は有人が禁断とし、使用を禁止した技を使っていた。
“皇帝ペンギン1号”に“ビーストファング”…
僕は世宇子に特訓してもらったのに二人には勝てなかった。
勝てなかったというより、佐久間のシュートをもろに喰らってしまったからだ。
禁断の技を手にする二人にこのままの僕では通用しない。
立ち上がろうと思う。
でも、身体は言うことを聞いてはくれなかった。
動け、動けよ…僕の身体だろっ
何度か佐久間のシュートを受け、一度皇帝ペンギン1号も受けた身体。
動かないどころか、力すら入らない。
意識も朦朧としている。
『…みんな、ごめ、ん……』
僕じゃ、二人を助けられなかった。
薄れゆく意識の中、最後に見たのは二人の首元で輝く紫色の光だった。
北海道で吹雪士郎君を仲間にしたという。
でも、竜吾が納得してないみたいで衝突しているらしい。
確かに修也の時もそんなことがあったな。
「このままで大丈夫かしら」
『最初は修也ともそんな感じだったから…
きっと、竜吾と吹雪君はいいコンビになるよ』
「…そうね。もう少し様子を見てみるわ」
『みんなをお願い、夏未ちゃん』
「えぇ、任せておいて」
そう言って、通話が切れた。
竜吾は努力家だから、簡単に天才肌を受け入れられない。
でも、打ち解ければ心強い仲間だ。
そんなことを思っていると、コンピューターが音を立てて僕を呼ぶ。
『…エイリア学園!?』
エイリア学園の次の襲撃地を予測しておいたプログラムが反応している。
僕が予測しておいた、3ヶ所のうちの一つがピカピカと光っていた。
悪夢が現実となってしまった。
『北海道、か…』
響木監督にメールを入れる。
僕が監督に頼まれていた、エイリア予測プログラムの結果を送った。
このままだと、本当に父さんが…
『…どうしたら、いいんだよ』
修也に貰ったペンダントを握りしめる。
傍にいなくても、心はここにあるって信じてるよ。
今一度、携帯が鳴る。
ディスプレイを見て、僕は驚き急いで通話ボタンを押した。
『修也っ!!』
「…時雨、俺…」
言葉を上手く紡げない様子の修也。
『話は守から聞いてるよ。今、どこにいるの?』
「っ…、すまない…」
監視が厳しいのか、場所を教えてくれない。
夕香ちゃんが気になって、下手なことができないんだ。
『…無理だけは、しないでね』
「あぁ…お前も気をつけろ、何があるかわからない」
『うん、大丈夫。傍にいなくても、修也もみんなもいつも一緒だから』
「…そうか、そうだな」
一瞬、いつもの修也に戻ったような気がした。
『また、一緒にサッカーしようね』
「約束するよ、時雨」
修也が先に電話を切った。
どこにいるかはわからないけど、でも…どこかでサッカーしてるんだね。
修也、もう倒れたりしないから大丈夫だよ。
――行こう、愛媛に
世宇子スタジアムに来てからの数日、僕は自分を理解できた。
だから、もう倒れたりなんてしない。
練習の最中、テルに伝えた。
明後日、愛媛に向って旅立つと。
驚く様子もなくテルは優しく微笑んでいた。
「そうか、やっぱり…行くんだね」
『うん、色々とありがとう』
「僕達こそ礼を言わなくちゃいけない、ありがとう」
タダシ(こと、ヘラ)が優しく頭を撫でてくれた。
先輩らしいことをしてもらったのは初めてだ。
テルは微笑んだまま、僕に言う。
「時雨君、君には仲間がついている。
それから、僕達はいつだって君の味方だからね」
「また、いつでも来い」
「お前だったら、歓迎するぜ」
『テル、タダシ、ユタカ、みんな…本当にありがと』
世宇子イレブンには本当によくしてもらった。
こうやって、分かり合えれば争いやいさかいを心配することもないのに。
僕が旅立つ前日、守からジェミニに勝ったと連絡が来た。
ただ、新たなチームが現れたとも…
エイリア学園にはいくつのチームが存在するんだろう。
僕は有人の父さんに頼んで、愛媛まで新幹線のチケットを取ってもらった。
行く前に、母さんのお墓に寄る。
墓石には花と、何故だかオレンジ色のパーカーが添えられていた。
『…誰だろう?』
オレンジ色のパーカーを手に取る。
ポケットにメモのような物が見え、取り出す。
『この字は、もしかして…』
メモには見覚えのある字で「無理するなよ」と書かれていた。
それじゃあ、この花は修也が持ってきてくれた?
一回戻って来たんだね、修也。
『そっくりそのまま返すよ、気をつけてね…修也』
母さんの墓石の前で手を合わせる。
お願い、母さん…修也を、みんなを見守っていて。
僕は修也の置いていったパーカーを羽織る。
そのまま、新幹線で愛媛へ向かった。
マナーモードにしていた携帯が震える。
見たことの無いアドレスからのメール…
―愛媛・埠頭にて、待つ 不動明王
『…不動』
ところで、不動は何者なんだろう。
別に宇宙人というわけではなさそうだけど。
どこかで人間と宇宙人が手を組んでいるのだろうか…
「よう、遅かったじゃん」
『不動…』
僕が埠頭の港に着くと、不動が潜水艦を背に待ち構えていた。
あの悪意に満ちた笑みを浮かべて。
『…僕は真・帝国の仲間になるつもりはない』
「そんなこと、わかってるっつーの。
佐久間と源田を返せってんだろ?アンタは」
おどけたような態度を取る不動。
これは、余裕だから?それとも、手を出せないとわかっているから?
「だけどよ、もし…あいつらが自分の意志で帰らないと言ったら?」
不動の首元に光る紫色の光。
その光を受け、彼の目はどんどん悪意に満ちていく。
『…どういうこと?』
あの二人が、自分の意志でここにいるって…
そんなわけけない。
あの二人は、帝国のみんなはわかってくれた。
有人と一緒に目を醒ましてくれたはず。
「あいつらに会えばわかる、着いて来な」
不動は僕の前を歩き出す。
ここまで来たら、引き返せない。
僕は彼の後に付いて、潜水艦に足を踏み込んだ。
僕が不動に案内されたのは、サッカーグラウンド。
毎回、こんなものをどうやって用意してるんだろう。
そんなことを思っていると、反対側の扉が開いた。
そこに立つ二つの影には見覚えがあった。
『っ、本当に…佐久間!?源田!?』
髪が伸びて右目に2本の傷が入った源田。
同じく髪が伸び、眼帯から赤い目が見えている佐久間。
様子がおかしいにしろ、二人には違いない。
「あれが佐久間と源田だ」
『…嘘、だ』
「嘘だと思うなら、本人に聞いてみろよ」
そう言って不動は僕の背を乱暴に押した。
佐久間、源田…二人と対峙する。
久しぶりに会った二人は雰囲気が全く違っていた。
「久しぶりだな、時雨」
『…なんで、またそっち側に行ったの?』
僕が怪訝そうに言うと、佐久間も源田も笑い出した。
「結局は勝利こそに価値がある」
「だからこそ、俺達は力が欲しかった」
『…力』
やはり世宇子に敗北したこと、有人が雷門で優勝したこと…
全部ひっくるめて、二人は悔しさや羨む想いがこうした形で現れてしまった。
そんなにも父さんのやり方でなければいけないのかな。
「どうだ、再会を果たした感想は」
突如降ってきた声。
それはみんなを何度も傷つけ、自分の欲のままに周りを蹴落としてきた人。
『…父さん』
もう、ここに着いていたのか。
エイリア学園の力を持ってすれば、場所の移動なんて関係ないのかもしれない。
『一体、何がしたんだよ…』
「何がしたいだと?決まっているだろう。
私は常に勝利する一流のチームを作る、それだけだ」
『そんなのが一流なわけないっ!!』
「お前にはわからないだろう…私の求めるものが」
『わかりたくもない!!結果が、勝利だけが全てなんてっ…』
あぁ、なんて…哀れな人なんだ。
サッカーを、憎むことでしか愛せない。
常に勝利するってわかっているチームがどれほどつまらないものなのか…
この人はきっと、一生わかってはくれないんだろう。
「どうだ、時雨。こいつらと勝負してみないか?」
『…佐久間と源田と、勝負?』
「そうだ。雷門に行ったお前と、再び私の許に着いた二人と…」
恐らく、僕に拒否権がないのはわかっている。
でも、この勝負は僕にもやる意味はある。
二人に思い出してほしい、サッカーは楽しいんだって。
『やるよ、父さん』
佐久間にも源田にも、目を醒ましてほしいから。
僕は佐久間と源田と勝負をした。
簡単なPK対決、僕がシュートを決めれば僕の勝ち。
源田が僕のシュートを止めるか、佐久間がシュートを決めれば父さんの勝ちだ。
勝負が始まって、僕は驚いた。
二人は有人が禁断とし、使用を禁止した技を使っていた。
“皇帝ペンギン1号”に“ビーストファング”…
僕は世宇子に特訓してもらったのに二人には勝てなかった。
勝てなかったというより、佐久間のシュートをもろに喰らってしまったからだ。
禁断の技を手にする二人にこのままの僕では通用しない。
立ち上がろうと思う。
でも、身体は言うことを聞いてはくれなかった。
動け、動けよ…僕の身体だろっ
何度か佐久間のシュートを受け、一度皇帝ペンギン1号も受けた身体。
動かないどころか、力すら入らない。
意識も朦朧としている。
『…みんな、ごめ、ん……』
僕じゃ、二人を助けられなかった。
薄れゆく意識の中、最後に見たのは二人の首元で輝く紫色の光だった。