男主/影山の息子
驚異の侵略者編
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アフロディを含め、世宇子イレブンは僕をあっさりと受け入れてくれた。
案外、いい人たちなんだなと実感する。
結論から言えば、全て父さんと神のアクアによるものだった。
彼ら個人の人格や能力は関係ない。
「一体、何があったんだい?」
アフロディは優しい笑みを浮かべてそう言った。
決勝戦の時とは全く違う表情だ。
どこかで感じる視線を全く感じなくなった。
エイリア学園に対して感じ取っていた悪意も。
ここでなら、世宇子のみんなになら話せる。
『エイリア学園のことは知ってる?』
「雷門中を破壊した、宇宙人のことだね」
アフロディの表情が変わり、瞳に真剣みが帯びる。
僕はこくっと頷いて続けた。
『正直、誰にも言っていないことなんだ。
もしかしたら、この混乱している状況で父さんが脱走するかもしれない』
「…影山総帥がかい?」
『うん。エイリア学園の中に父さんを引き込もうとしている奴がいる』
「それが現実になれば、厄介なことになるね」
アフロディの言葉に世宇子イレブンのみんなも頷いた。
不動の言動からして、まだ父さんは脱獄していない。
だとすれば、これからを警戒していくべきだ。
アフロディが僕の肩にぽんと手を置いた。
「ここはきっとエイリア学園から探知されることはない。
何より、影山総帥のコンピューターはそのまま残っている」
そこまで言って、ふと彼が笑った。
「好きに使ってほしい。君なら雷門の為にそれを使えるはずだから」
『…ありがとう、アフロディ、みんな』
僕がそう言うと世宇子イレブンは優しく声を掛けてくれた。
「そこで、僕達からも君に頼みがある」
『ここまでしてもらってるんだもん、何でも言ってよ』
「…ここに居る間、僕達とサッカーをしてくれないか?」
『サッカー?』
不思議そうに僕が言うとアフロディはふっと笑って続けた。
「僕達の、自分達の力で強くなりたいんだ。
雷門の諦めないサッカーを僕達にも教えて欲しい」
アフロディの瞳は何かを決心したように強い光を持っていた。
世宇子イレブンも各自、こくりと頷く。
『いいよ、僕も世宇子と特訓したら強くなれそうだしね』
「ありがとう、これから少しの間宜しく頼むよ」
『僕の方こそ…みんな、よろしくね』
喜びもつかの間、この日の夕方に守から電話があった。
―修也がチームを外された。
チームとしては士気が下がるし、監督との溝が深まってしまったらしい。
それでも、守は修也が戻ってくるのを信じて待つと言った。
僕も修也を信じて、今できることをする。
修也、今…何処にいるの?
響木監督から連絡を受けた。
ストライカーを探して、守たちは北海道に向かうらしい。
未だに消えない歯形がちくりと痛んだ。
『白恋中の、吹雪士郎…』
守たちは彼を仲間にするという。
父さんのコンピューターをいじって、エイリア学園の情報を整理していた。
鬼瓦さんからのメール。その内容に僕は頭を抱えた。
『父さんが、北海道に…』
守たちと父さんが会わないことを祈る。
…もし、北海道にエイリア学園が現れたら―
そう考えるだけで頭が痛い。
そこにかつかつと足音が一つ。
「顔色が優れないよ、大丈夫かい?」
『…大丈夫』
「あまり無理はよくないね」
アフロディは僕の顔を見て、苦笑いを浮かべる。
今日はここにずっと篭って、みんなと顔を合わせてない。
『…ねぇ、アフロディ』
「何かな?」
『本当の名前、なんて言うの?』
突然の問いかけに呆気取られたようにきょとんとする彼。
少し間を置いて、微笑みを浮かべながら答える。
「亜風炉照美。いきなりどうしたんだい?」
『ん、ずっと名前なんて言うのか気になってただけ』
僕がそう言うと彼はふふっと笑った。
そんな笑い方が綺麗だな、と思うのは彼の名前が女神だからかな。
『みんなのことも、名前で呼んでいいのかな』
「構わないと思う。最も、僕らを名前で呼ぶ者は今までにいないけどね」
『じゃあ、僕が第一人者だー』
あ、決勝より後に笑ったの初めてだ。
僕は今、笑えている。
そうだ…少し、煮詰まりすぎていたんだ。
『ねぇ、もう少ししたらサッカーの方しよっか』
不意に僕がそう言うと、彼は頷いた。
「みんなにも言っておくよ」と言い残して、グラウンドに戻っていく。
僕はその背中を見送って、再び画面に視線を戻す。
『…まずは真・帝国学園の情報だね』
何よりも情報がなければ行動には移せない。
行動範囲、メンバー、本拠地、これは最低限の情報だと思う。
佐久間と源田はどうしてそこにいるんだろう。
やっぱり世宇子に負けたことがショックだったのか。
もしくは、有人が雷門に来たことだろうか。
『どっちも父さんが原因なんだけどな…』
誰もいない部屋で一人呟く。
もし、僕が佐久間や源田だったら…有人の行動をどう思うだろう。
やっぱり、一人で勝手にだなんて思うのかな。
きっと、無意識のうちに心の中の弱い自分は恨めい想いを持つのかもしれない。
僕も、ひょっとしたら恨まれているのかもしれないな。
そう言えば、帝国のみんなにちゃんと謝ってなかったな。
この一件が終わったら、会いに行こう。
ちゃんと伝えなければ伝わらないことだってあるから…
とりあえず、日本各地のあらゆるローカルニュースをコンピューターに送る。
それには少々時間もかかる為、一旦グラウンドに出ることにした。
グラウンドでは世宇子イレブンが練習をしていた。
神のアクアが無くても、みんなの動きはいい。
早い、パワーもある、テクニックも凄い。
『…普通に、強いじゃん』
今一度、再戦したらいい勝負ができそうな気がする。
「出てきたのかい?」
『テル、ちょっと動こうかと思ってさ』
僕がそう言うと、一瞬きょとんとした顔をしたテルこと照美。
『ちょ、テル?』
彼の前で手を振ると、はっと我に返ったらしく目が合った。
「…呼ばれなれないから、少し驚いたよ」
『固まったから吃驚した…』
「悪かったね、練習しようか」
優しく笑ったテルは僕の腕を引いて、フィールドに入った。
まだ、慣れていない世宇子のフィールド。
慣れていないのに、どこか懐かしいのは何故だろう。
その時、不意に父さんの言葉を思い出した。
“いつか現れる本当の自分”
なんでだろう…、僕は母さんや雷門のみんなのお陰で進化した必殺技。
何より、自分の意志があったのに。
しばらく各々が練習をし、テルがみんなに休憩だと言い渡す。
普通のドリンクを飲みながら、僕はテルに問いかけていた。
『ねぇ…どれが、本当の僕なのかな』
「…今と過去とってことかい?」
『うん、時々わからなくなるんだ。
“女帝”時代も雷門に来てからも決勝の時だって全部僕なのに』
僕はゆっくりとうなだれる。
こんな時、修也はなんて言うだろう。
あぁ…今とてつもなく、会いたい。
そんな僕にテルはゆっくりと話し出す。
「僕は影を纏う君が一番君らしいと思う」
『…影?』
テルに聞き返すと、彼はこくりと頷いて続きを話し出す。
「例えば、神が必ずしも正しいとは言えない。
それはこの間の試合で君達、雷門が証明してくれたね」
『うん…』
「だから、影や闇が必ずしも悪ではないと思うんだ」
『…影や闇と悪はイコールじゃ、ない?』
「時雨君の纏う影はいつも誰かを守る守護神のようだ」
『守護、神…』
確かに、神が絶対正しいとは言えない。
テルの言う通り、影や闇というマイナスイメージの存在は絶対に悪だとも言えない。
僕の心に引っかかっていたのはこれかもしれない。
今まで僕は「影」である“女帝”が悪で、
雷門の「雨」が善だとどこかで定義付けていた。
だから、変な風に光や闇やそんなものにこだわっていた。
なんだかすっきりした感じがする。
修也にとっての「炎」、テルにとっての「神」が僕には「影」だった。
たった、それだけのこと。
その答えに辿り着くのに、僕はどれだけ遠回りをしたんだろう。
『僕にとっての「影」は、修也にとっての「炎」と一緒だったんだ…』
そうやって呟いた僕に、テルは優しく微笑んでくれた。
そおっと横で心配そうな顔をしているラン(ことアレス)。
なんだか、仁みたいだな…と思った。
『…テル、もうちょっと練習付き合ってくれる?』
「もちろん、ほら…アレスも行くよ」
テルがランに声を掛けると、彼はこくりと頷いた。
僕の腕を掴んで、立たせてくれた。
『心配してくれて、ありがとう…ラン』
彼ににこりと笑いかけ、僕はテルの後を追う。
やっぱり、世宇子を名乗るだけはある。
これぞ、神のお導きだなとぼんやり思った。
その後もテルたちに付き合ってもらって、練習した。
少し、身体が軽くなったように思う。
練習を辞めて、再びコンピューターの元に戻る。
日本各地からの情報が入ってきていた。
その中でもふと目に入った、愛媛の記事。
愛媛市街地で、サッカーをする少年少女が姿を消すというものだった。
『…愛媛』
どこか、こう心に引っかかる感じがする。
もしかしたら、ここにあるんだろうか。
佐久間と源田のいる、真・帝国学園は…
かと言って、一人で乗り込むのは賢くない。
ただ…有人をここへは連れて行きたくないとも思う。
今行って、自分の技が通用するかもわからない。
『本当の僕、影を纏う守護者…』
そうか、だから…無意識のうちにあの技を使っていたんだ。
帝国時代のブロック技「デーモン・ハンド」。
「デーモン」はギリシャ神話の半神半人の守護神であり、鬼神や悪魔とも言われる。
前にテルも言ってた、「神になるべき存在だった」と。
『僕はデーモンだったんだ…』
しっくり来た感じがする。
そう思って、不意に瞼が重くなった。
僕は椅子に座ったまま、眠ってしまった。
案外、いい人たちなんだなと実感する。
結論から言えば、全て父さんと神のアクアによるものだった。
彼ら個人の人格や能力は関係ない。
「一体、何があったんだい?」
アフロディは優しい笑みを浮かべてそう言った。
決勝戦の時とは全く違う表情だ。
どこかで感じる視線を全く感じなくなった。
エイリア学園に対して感じ取っていた悪意も。
ここでなら、世宇子のみんなになら話せる。
『エイリア学園のことは知ってる?』
「雷門中を破壊した、宇宙人のことだね」
アフロディの表情が変わり、瞳に真剣みが帯びる。
僕はこくっと頷いて続けた。
『正直、誰にも言っていないことなんだ。
もしかしたら、この混乱している状況で父さんが脱走するかもしれない』
「…影山総帥がかい?」
『うん。エイリア学園の中に父さんを引き込もうとしている奴がいる』
「それが現実になれば、厄介なことになるね」
アフロディの言葉に世宇子イレブンのみんなも頷いた。
不動の言動からして、まだ父さんは脱獄していない。
だとすれば、これからを警戒していくべきだ。
アフロディが僕の肩にぽんと手を置いた。
「ここはきっとエイリア学園から探知されることはない。
何より、影山総帥のコンピューターはそのまま残っている」
そこまで言って、ふと彼が笑った。
「好きに使ってほしい。君なら雷門の為にそれを使えるはずだから」
『…ありがとう、アフロディ、みんな』
僕がそう言うと世宇子イレブンは優しく声を掛けてくれた。
「そこで、僕達からも君に頼みがある」
『ここまでしてもらってるんだもん、何でも言ってよ』
「…ここに居る間、僕達とサッカーをしてくれないか?」
『サッカー?』
不思議そうに僕が言うとアフロディはふっと笑って続けた。
「僕達の、自分達の力で強くなりたいんだ。
雷門の諦めないサッカーを僕達にも教えて欲しい」
アフロディの瞳は何かを決心したように強い光を持っていた。
世宇子イレブンも各自、こくりと頷く。
『いいよ、僕も世宇子と特訓したら強くなれそうだしね』
「ありがとう、これから少しの間宜しく頼むよ」
『僕の方こそ…みんな、よろしくね』
喜びもつかの間、この日の夕方に守から電話があった。
―修也がチームを外された。
チームとしては士気が下がるし、監督との溝が深まってしまったらしい。
それでも、守は修也が戻ってくるのを信じて待つと言った。
僕も修也を信じて、今できることをする。
修也、今…何処にいるの?
響木監督から連絡を受けた。
ストライカーを探して、守たちは北海道に向かうらしい。
未だに消えない歯形がちくりと痛んだ。
『白恋中の、吹雪士郎…』
守たちは彼を仲間にするという。
父さんのコンピューターをいじって、エイリア学園の情報を整理していた。
鬼瓦さんからのメール。その内容に僕は頭を抱えた。
『父さんが、北海道に…』
守たちと父さんが会わないことを祈る。
…もし、北海道にエイリア学園が現れたら―
そう考えるだけで頭が痛い。
そこにかつかつと足音が一つ。
「顔色が優れないよ、大丈夫かい?」
『…大丈夫』
「あまり無理はよくないね」
アフロディは僕の顔を見て、苦笑いを浮かべる。
今日はここにずっと篭って、みんなと顔を合わせてない。
『…ねぇ、アフロディ』
「何かな?」
『本当の名前、なんて言うの?』
突然の問いかけに呆気取られたようにきょとんとする彼。
少し間を置いて、微笑みを浮かべながら答える。
「亜風炉照美。いきなりどうしたんだい?」
『ん、ずっと名前なんて言うのか気になってただけ』
僕がそう言うと彼はふふっと笑った。
そんな笑い方が綺麗だな、と思うのは彼の名前が女神だからかな。
『みんなのことも、名前で呼んでいいのかな』
「構わないと思う。最も、僕らを名前で呼ぶ者は今までにいないけどね」
『じゃあ、僕が第一人者だー』
あ、決勝より後に笑ったの初めてだ。
僕は今、笑えている。
そうだ…少し、煮詰まりすぎていたんだ。
『ねぇ、もう少ししたらサッカーの方しよっか』
不意に僕がそう言うと、彼は頷いた。
「みんなにも言っておくよ」と言い残して、グラウンドに戻っていく。
僕はその背中を見送って、再び画面に視線を戻す。
『…まずは真・帝国学園の情報だね』
何よりも情報がなければ行動には移せない。
行動範囲、メンバー、本拠地、これは最低限の情報だと思う。
佐久間と源田はどうしてそこにいるんだろう。
やっぱり世宇子に負けたことがショックだったのか。
もしくは、有人が雷門に来たことだろうか。
『どっちも父さんが原因なんだけどな…』
誰もいない部屋で一人呟く。
もし、僕が佐久間や源田だったら…有人の行動をどう思うだろう。
やっぱり、一人で勝手にだなんて思うのかな。
きっと、無意識のうちに心の中の弱い自分は恨めい想いを持つのかもしれない。
僕も、ひょっとしたら恨まれているのかもしれないな。
そう言えば、帝国のみんなにちゃんと謝ってなかったな。
この一件が終わったら、会いに行こう。
ちゃんと伝えなければ伝わらないことだってあるから…
とりあえず、日本各地のあらゆるローカルニュースをコンピューターに送る。
それには少々時間もかかる為、一旦グラウンドに出ることにした。
グラウンドでは世宇子イレブンが練習をしていた。
神のアクアが無くても、みんなの動きはいい。
早い、パワーもある、テクニックも凄い。
『…普通に、強いじゃん』
今一度、再戦したらいい勝負ができそうな気がする。
「出てきたのかい?」
『テル、ちょっと動こうかと思ってさ』
僕がそう言うと、一瞬きょとんとした顔をしたテルこと照美。
『ちょ、テル?』
彼の前で手を振ると、はっと我に返ったらしく目が合った。
「…呼ばれなれないから、少し驚いたよ」
『固まったから吃驚した…』
「悪かったね、練習しようか」
優しく笑ったテルは僕の腕を引いて、フィールドに入った。
まだ、慣れていない世宇子のフィールド。
慣れていないのに、どこか懐かしいのは何故だろう。
その時、不意に父さんの言葉を思い出した。
“いつか現れる本当の自分”
なんでだろう…、僕は母さんや雷門のみんなのお陰で進化した必殺技。
何より、自分の意志があったのに。
しばらく各々が練習をし、テルがみんなに休憩だと言い渡す。
普通のドリンクを飲みながら、僕はテルに問いかけていた。
『ねぇ…どれが、本当の僕なのかな』
「…今と過去とってことかい?」
『うん、時々わからなくなるんだ。
“女帝”時代も雷門に来てからも決勝の時だって全部僕なのに』
僕はゆっくりとうなだれる。
こんな時、修也はなんて言うだろう。
あぁ…今とてつもなく、会いたい。
そんな僕にテルはゆっくりと話し出す。
「僕は影を纏う君が一番君らしいと思う」
『…影?』
テルに聞き返すと、彼はこくりと頷いて続きを話し出す。
「例えば、神が必ずしも正しいとは言えない。
それはこの間の試合で君達、雷門が証明してくれたね」
『うん…』
「だから、影や闇が必ずしも悪ではないと思うんだ」
『…影や闇と悪はイコールじゃ、ない?』
「時雨君の纏う影はいつも誰かを守る守護神のようだ」
『守護、神…』
確かに、神が絶対正しいとは言えない。
テルの言う通り、影や闇というマイナスイメージの存在は絶対に悪だとも言えない。
僕の心に引っかかっていたのはこれかもしれない。
今まで僕は「影」である“女帝”が悪で、
雷門の「雨」が善だとどこかで定義付けていた。
だから、変な風に光や闇やそんなものにこだわっていた。
なんだかすっきりした感じがする。
修也にとっての「炎」、テルにとっての「神」が僕には「影」だった。
たった、それだけのこと。
その答えに辿り着くのに、僕はどれだけ遠回りをしたんだろう。
『僕にとっての「影」は、修也にとっての「炎」と一緒だったんだ…』
そうやって呟いた僕に、テルは優しく微笑んでくれた。
そおっと横で心配そうな顔をしているラン(ことアレス)。
なんだか、仁みたいだな…と思った。
『…テル、もうちょっと練習付き合ってくれる?』
「もちろん、ほら…アレスも行くよ」
テルがランに声を掛けると、彼はこくりと頷いた。
僕の腕を掴んで、立たせてくれた。
『心配してくれて、ありがとう…ラン』
彼ににこりと笑いかけ、僕はテルの後を追う。
やっぱり、世宇子を名乗るだけはある。
これぞ、神のお導きだなとぼんやり思った。
その後もテルたちに付き合ってもらって、練習した。
少し、身体が軽くなったように思う。
練習を辞めて、再びコンピューターの元に戻る。
日本各地からの情報が入ってきていた。
その中でもふと目に入った、愛媛の記事。
愛媛市街地で、サッカーをする少年少女が姿を消すというものだった。
『…愛媛』
どこか、こう心に引っかかる感じがする。
もしかしたら、ここにあるんだろうか。
佐久間と源田のいる、真・帝国学園は…
かと言って、一人で乗り込むのは賢くない。
ただ…有人をここへは連れて行きたくないとも思う。
今行って、自分の技が通用するかもわからない。
『本当の僕、影を纏う守護者…』
そうか、だから…無意識のうちにあの技を使っていたんだ。
帝国時代のブロック技「デーモン・ハンド」。
「デーモン」はギリシャ神話の半神半人の守護神であり、鬼神や悪魔とも言われる。
前にテルも言ってた、「神になるべき存在だった」と。
『僕はデーモンだったんだ…』
しっくり来た感じがする。
そう思って、不意に瞼が重くなった。
僕は椅子に座ったまま、眠ってしまった。