男主/影山の息子
FF編
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フットボールフロンティア本戦の一回戦は戦国伊賀島。
なんでも、忍者サッカーをするんだという。
正直、今の僕には父さんのことが気にかかる。
風丸君や理事長のことも引っかからないわけじゃない。
でも、今日は試合だ。
来られない夏未ちゃんのためにも勝たないと。
みんな練習時間には気合いが入ってる。
うん…みんな凄くいい調子。
あれ、なんだ…あの影。
半田君のパスを受け取った修也から容易くボールを奪ったその影はにやりと笑った。
霧隠は修也に勝負を叩きつけるが、断った。
『…風丸君?』
「俺が行くよ、一番足が速いのは俺だ」
『そ、だけど…』
「心配はいらない」
そう言って、勝負を受けた風丸君。
2人の勝負を見ていたのは僕らだけじゃない。
どこかから視線を感じる。
そう思ったとき、二つの影が2人の勝負を中断させた。
そして、嵐のような忍者たちは姿を消した。
『…ずば抜けた身体能力、か』
もうすぐ、試合が始まる。
忍者サッカーというだけはあって、なかなか翻弄される僕たち。
修也も中央へ誘い込まれてしまう。
試合自体は接戦だけど、やっぱり忍者相手はそれなりに不利みたいだ。
修也に合わせて風丸君がオーバーラップ。
だけど、戦国伊賀島にシュートを打たせてしまう
先取点を取られてしまった。
い、今…円堂、変な倒れ方したけど…
大丈夫かな、円堂。
ここでハーフタイム、前半終了。
『試合の方はいいとして、円堂…手大丈夫?』
「えっ…」
痛いところを突かれたような反応。
やっぱりそうだ、手が腫れてるんだと思う。
風丸君がグローブを外させると、ぼったり腫れた円堂の手が現れた。
『円堂、後半…風丸君がオーバーラップしたら僕が下がるよ』
「時雨…」
『その方が風丸君も前を走りやすいと思うから』
僕がそういうと修也と風丸君、染岡も賛同してくれた。
みんな、いつもゴールを守ってくれる円堂が心配なんだよね。
後半、風丸君は何か覚悟したような瞳をしていた。
円堂を守るように守備に入る雷門。
伊賀島の砂塵にみんなが吹き飛ばされる。
霧隠のシュートを壁山が止めた。
『壁山君、今凄かったよ』
「そ、そっスか!?」
『うん、その調子でいって』
「はいっス!!」
でも、まだボールは霧隠が持っていた。
土だるまは風丸君の横を過ぎた。
『スプラッシュ・レインッ!!!!』
円堂にまでボールは回さない。
なんとか、ボールを止めたものの…なんだか足に違和感がある。
今はそんなことを言ってる場合じゃない。
『風丸君!!』
「ボールは預かったぞ、時雨」
そう言って一気に上がっていく風丸君。
修也との炎の風見鶏が1点を返した。
風丸君はサッカーをわかってる、これは個人競技じゃない。
再び、修也にボールが渡り追加点を入れた。
戦国伊賀島に僕らは勝利した。
だって、みんなの心は一つになったから。
試合が終わった後、修也がそっと肩を貸してくれた。
どうやら、足を痛めたのバレていたらしい。
「お前、足大丈夫か?」
『大丈夫、テープ巻いて安静にしとけば』
「…病院行け」
『そうだね、帰りに寄るよ』
ここで行かないと言ったら、きっと修也は怒るから大人しく行っておこう。
そうしたら、「送ってく」と修也が言った。
『あれ、付いて来てくれるの?』
「お前…放っておいたら、行かないだろうからな」
『…お見通し、みたいだねー』
「時雨のこと、段々わかってきた」
その言葉にちょっと笑ってしまった。
「なんで笑った?」
不機嫌そうな修也に僕は笑って言った。
『僕も、修也のこと段々わかってきたから。なんだか、少し可笑しくてね』
だって、同じこと考えてたなんて照れくさい。
だから笑って誤魔化してみたりして。
お医者さんからは2、3日安静にしていれば動かしても構わないと言われた。
父さんのサッカーのお陰で身体は頑丈みたいだ。
デメリットだけでもなかったか…
そんなバカなことを思っていた僕に翌日電話がかかってきた。
そんなことがあるわけないと思っていたのに。
「…時雨、初戦は勝ったようだな」
『と、父さん!?』
紛れもなく、父さんの声。
電話越しでもわかる、あの嫌味な言い方。
「今日の帝国学園対世宇子中の試合だが…」
『それが、何か…』
「帝国は負ける」
その言葉に僕は耳を疑った。
負ける?有人たちが?新たな帝国が、負ける…?
父さんは「それだけだ」と言って電話を切った。
『…何の、意味があって』
こんな電話を父さんは掛けてきたんだろう?
僕も、“女帝”時代の自分と向き合うべきなんだろうか。
心の中にいる父さんを切り離すには、他に方法はないかもしれない。
自分の力なのに…怖い。
そんな不安を胸に抱いて、登校した。
放課後、息を切らせた春菜から帝国の敗北を聞いた時には寒気が走った。
春奈が言うには、有人は試合に出ていなかったらしい。
その報告に憤る円堂。
どうやら、落ち着くことは出来ないらしい。
慌てて帝国学園に行ってしまった。
『行っちゃった…』
円堂の後姿を見送る僕に修也は言う。
「お前は行かなくていいのか?」
『僕じゃ、多分ダメなんだ』
「…そうか」
『今、会っても…僕は有人を殴りそうだ』
そう言った僕の拳には力が入った。
有人は僕の力になってくれるのに、僕はきっと役には立てない。
幼馴染も、仲間も、僕に助けることはできないのかもしれない…
そう思って、寂しくなった。
「お前、今凄くどうでもいいこと考えてないか?」
修也の言葉に顔を上げた。
『え…』
「鬼道や俺たちの力になれないと思ってるんだろう?」
本当に、よくわかってるよ…修也は。
『やっぱ、敵わないや…修也には』
そう言うと、染岡に髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
染岡は結構力が強いから、痛い。
『痛いよ、染岡…』
「お前がわけわかんねーこと言うからだろ。
時雨のお陰で、豪炎寺も仲間になった。
いつも試合じゃ大事なとこでセーブしてくれてる…
いつだって、俺たちに大きな力をくれてるだろ、お前は」
染岡の言葉に刺激されたのか、壁山君も腕をぶんぶん振り回して言う。
「そうっスよ!!この間の試合だって、キャプテンもゴールも守ってくれたっス!!」
「皆さんの言う通り、時雨さんの力は雷門にとって大きな力です」
春奈も負けじとそう言い切った。
『染岡、壁山君、春菜…』
嬉しい。こんな風に叱ってくれる、励ましてくれる仲間がいる。
みんなの想いは僕の心の不安を消し去ってくれる。
これが…仲間だ。
なんだか、心が温かくて心地よかった。
なんでも、忍者サッカーをするんだという。
正直、今の僕には父さんのことが気にかかる。
風丸君や理事長のことも引っかからないわけじゃない。
でも、今日は試合だ。
来られない夏未ちゃんのためにも勝たないと。
みんな練習時間には気合いが入ってる。
うん…みんな凄くいい調子。
あれ、なんだ…あの影。
半田君のパスを受け取った修也から容易くボールを奪ったその影はにやりと笑った。
霧隠は修也に勝負を叩きつけるが、断った。
『…風丸君?』
「俺が行くよ、一番足が速いのは俺だ」
『そ、だけど…』
「心配はいらない」
そう言って、勝負を受けた風丸君。
2人の勝負を見ていたのは僕らだけじゃない。
どこかから視線を感じる。
そう思ったとき、二つの影が2人の勝負を中断させた。
そして、嵐のような忍者たちは姿を消した。
『…ずば抜けた身体能力、か』
もうすぐ、試合が始まる。
忍者サッカーというだけはあって、なかなか翻弄される僕たち。
修也も中央へ誘い込まれてしまう。
試合自体は接戦だけど、やっぱり忍者相手はそれなりに不利みたいだ。
修也に合わせて風丸君がオーバーラップ。
だけど、戦国伊賀島にシュートを打たせてしまう
先取点を取られてしまった。
い、今…円堂、変な倒れ方したけど…
大丈夫かな、円堂。
ここでハーフタイム、前半終了。
『試合の方はいいとして、円堂…手大丈夫?』
「えっ…」
痛いところを突かれたような反応。
やっぱりそうだ、手が腫れてるんだと思う。
風丸君がグローブを外させると、ぼったり腫れた円堂の手が現れた。
『円堂、後半…風丸君がオーバーラップしたら僕が下がるよ』
「時雨…」
『その方が風丸君も前を走りやすいと思うから』
僕がそういうと修也と風丸君、染岡も賛同してくれた。
みんな、いつもゴールを守ってくれる円堂が心配なんだよね。
後半、風丸君は何か覚悟したような瞳をしていた。
円堂を守るように守備に入る雷門。
伊賀島の砂塵にみんなが吹き飛ばされる。
霧隠のシュートを壁山が止めた。
『壁山君、今凄かったよ』
「そ、そっスか!?」
『うん、その調子でいって』
「はいっス!!」
でも、まだボールは霧隠が持っていた。
土だるまは風丸君の横を過ぎた。
『スプラッシュ・レインッ!!!!』
円堂にまでボールは回さない。
なんとか、ボールを止めたものの…なんだか足に違和感がある。
今はそんなことを言ってる場合じゃない。
『風丸君!!』
「ボールは預かったぞ、時雨」
そう言って一気に上がっていく風丸君。
修也との炎の風見鶏が1点を返した。
風丸君はサッカーをわかってる、これは個人競技じゃない。
再び、修也にボールが渡り追加点を入れた。
戦国伊賀島に僕らは勝利した。
だって、みんなの心は一つになったから。
試合が終わった後、修也がそっと肩を貸してくれた。
どうやら、足を痛めたのバレていたらしい。
「お前、足大丈夫か?」
『大丈夫、テープ巻いて安静にしとけば』
「…病院行け」
『そうだね、帰りに寄るよ』
ここで行かないと言ったら、きっと修也は怒るから大人しく行っておこう。
そうしたら、「送ってく」と修也が言った。
『あれ、付いて来てくれるの?』
「お前…放っておいたら、行かないだろうからな」
『…お見通し、みたいだねー』
「時雨のこと、段々わかってきた」
その言葉にちょっと笑ってしまった。
「なんで笑った?」
不機嫌そうな修也に僕は笑って言った。
『僕も、修也のこと段々わかってきたから。なんだか、少し可笑しくてね』
だって、同じこと考えてたなんて照れくさい。
だから笑って誤魔化してみたりして。
お医者さんからは2、3日安静にしていれば動かしても構わないと言われた。
父さんのサッカーのお陰で身体は頑丈みたいだ。
デメリットだけでもなかったか…
そんなバカなことを思っていた僕に翌日電話がかかってきた。
そんなことがあるわけないと思っていたのに。
「…時雨、初戦は勝ったようだな」
『と、父さん!?』
紛れもなく、父さんの声。
電話越しでもわかる、あの嫌味な言い方。
「今日の帝国学園対世宇子中の試合だが…」
『それが、何か…』
「帝国は負ける」
その言葉に僕は耳を疑った。
負ける?有人たちが?新たな帝国が、負ける…?
父さんは「それだけだ」と言って電話を切った。
『…何の、意味があって』
こんな電話を父さんは掛けてきたんだろう?
僕も、“女帝”時代の自分と向き合うべきなんだろうか。
心の中にいる父さんを切り離すには、他に方法はないかもしれない。
自分の力なのに…怖い。
そんな不安を胸に抱いて、登校した。
放課後、息を切らせた春菜から帝国の敗北を聞いた時には寒気が走った。
春奈が言うには、有人は試合に出ていなかったらしい。
その報告に憤る円堂。
どうやら、落ち着くことは出来ないらしい。
慌てて帝国学園に行ってしまった。
『行っちゃった…』
円堂の後姿を見送る僕に修也は言う。
「お前は行かなくていいのか?」
『僕じゃ、多分ダメなんだ』
「…そうか」
『今、会っても…僕は有人を殴りそうだ』
そう言った僕の拳には力が入った。
有人は僕の力になってくれるのに、僕はきっと役には立てない。
幼馴染も、仲間も、僕に助けることはできないのかもしれない…
そう思って、寂しくなった。
「お前、今凄くどうでもいいこと考えてないか?」
修也の言葉に顔を上げた。
『え…』
「鬼道や俺たちの力になれないと思ってるんだろう?」
本当に、よくわかってるよ…修也は。
『やっぱ、敵わないや…修也には』
そう言うと、染岡に髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
染岡は結構力が強いから、痛い。
『痛いよ、染岡…』
「お前がわけわかんねーこと言うからだろ。
時雨のお陰で、豪炎寺も仲間になった。
いつも試合じゃ大事なとこでセーブしてくれてる…
いつだって、俺たちに大きな力をくれてるだろ、お前は」
染岡の言葉に刺激されたのか、壁山君も腕をぶんぶん振り回して言う。
「そうっスよ!!この間の試合だって、キャプテンもゴールも守ってくれたっス!!」
「皆さんの言う通り、時雨さんの力は雷門にとって大きな力です」
春奈も負けじとそう言い切った。
『染岡、壁山君、春菜…』
嬉しい。こんな風に叱ってくれる、励ましてくれる仲間がいる。
みんなの想いは僕の心の不安を消し去ってくれる。
これが…仲間だ。
なんだか、心が温かくて心地よかった。