男主/影山の息子
FF編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は優勝の祝賀会を雷雷軒ですることになっていたけど僕はパスした。
面倒臭かったわけでも、行きたくなかったわけでもない。
ただ、首筋の歯形が痛む。
みんなには申し訳ないけど、病院に行った。
病院では大したことはないと言われたけど、妙に痛みは続いた。
これは…父さんの執念なのかもしれない。
翌日は有人の家に向かった。
みんなは伝説のイナズマイレブンと練習試合をすると張り切っていた。
でも、修也からは「無理をするなら、来るな」と言われてしまった。
その修也の言葉に甘えることにして…
「なるほど、それで何の用だ?」
ここまでの経緯を頷きながら聞いていた有人はあっさりとそう言って僕を見た。
『相変わらずクールだね』
「関係ない、チームを優先すればいいだろう」
『まぁ、そうなんだけど』
そう言って笑うと、有人も珍しく笑った。
「それで何かあったのか?」
『…本当、僕ってわかりやすいのかな』
「幼馴染をなめるなよ」
こつんと頭を叩かれる。
有人の本質は変わっていない。
正直、変わったのは僕の方だから…
「豪炎寺とは上手くいってるんだろう?」
『…な、なんで、修也?』
「なんでって、はたから見たら恋人同士みたいだぞ…お前達」
有人の言葉に顔が火照った。
きっと、見せられないくらいに真っ赤になってる。
「別にいいんじゃないか」
『…う、』
「俺はあんなにもお前を想ってくれる豪炎寺を見ていたら嬉しくなった。
お前のことであって、別に俺のことではないんだがな、不思議なことだ」
『有人…』
ふっと笑って、有人は続けた。
「お前も…豪炎寺には特別な興味があるみたいだしな」
『…だって、なんか運命的な出会いだったから』
「乙女チックな奴だ」
未だに顔が火照っている。
有人がヘンなこと言うから…
そんなことを考えているとまた歯形が痛んだ。
『…っ!!』
その様子を見た有人が気が付いた。
「総帥に噛まれたところが痛むのか?」
『うん、病院では特に異常はないって…』
「そうか…」
最近、ずっとここを押さえている。
右手を首筋に持っていくのがクセになってしまうそうだ。
「…総帥の、執念か」
『あるいは…災厄の予兆』
「災厄の予兆?」
『父さんのことだから、黙ってるわけない。
どんな手を使っても警察から出てくると思う』
「時雨、あまり余計なことを考えるな。
そういうことを考えるから、痛むのかもしれない」
有人の言う通りだ。
ただの先入観かもしれない…でも、
“忘れるな”
あの言葉が夜な夜な夢の中で囁かれる。
僕はまだ、父さんに勝っていないのかもしれない。
夕方、有人の家を後にした。
帰り際に有人は「ライバルであろうと幼馴染だ、たまには頼れ」と言ってくれた。
僕はいい幼馴染を持ったと思う。
次の朝、僕の住んでいるアパートの呼び鈴が鳴った。
こんな時間になるのは初めてだ…誰だろう。
『はいはーい、どちら様ですかー?』
「俺だ、時雨」
玄関を開けると、そこには修也が立っていた。
びっくりしてキョトンとしていると、修也が溜め息を吐く。
ていうか、なんで溜め息…
「何してるんだ、遅刻するぞ」
『あ、あぁ、ホントだ!!すぐ支度するから、上がって待ってて!!』
「え…あ、あぁ」
少し、躊躇する修也を置いて僕は自室に戻った。
幸い制服には着替えていて、あとは学ランを羽織るだけ。
鞄を肩から掛けようとしたけど、首筋が痛かったから、普段とは反対の肩にかけた。
僕が自室から出ると、修也は律儀に玄関で待っていた。
『リビングでもよかったのに』
「あぁ、でも家の人に迷惑じゃないのか?」
そう言った修也の背を押して、外に出る。
僕は家の鍵をかけながらさっきの質問に答えた。
『僕、一人暮らしだから気にしないでいいのに』
「…は?」
修也は驚いて、一瞬止まったけど僕が歩き出したのを見て我に返った。
隣に並んで歩きながら、修也はまた質問をしてきた。
「一人って…家の家賃とかどうしてるんだ?」
『家賃は死んだ母さんの保険金。
あの部屋は母方の祖父が死ぬ前に借りてくれたんだ。
でも、今までずっとそうだったから気にしてなかったな』
答えると、修也は目を丸くして僕を見た。
確かに普通なら有り得ないことではあるけど。
「何かあったらどうする気だ?」
『普段は有人の父さんが何とかしてくれることにはなってる』
「…鬼道の?」
不審そうに言う修也に僕は笑いながら答える。
『あれでも僕の幼馴染だから』
その言葉に修也は納得して、頷いた。
「だから、決勝の日にお前を背負ってきたのは鬼道だったのか」
『多分ね…僕も倒れたから知らないんだけど』
「…なるほどな、だが」
修也が不意に立ち止まる。
僕も同じように立ち止まって、修也を振り返った。
「俺はいつも傍で時雨を守りたいと思う。
だから、お前に頼られる鬼道が羨ましかった…」
『…え』
「お前が部活に来ない間もずっとお前に会いたかった」
『今日、迎えに来てくれたのは…』
「時雨に今日、一番に会いたかった』
そう言った修也の顔は赤かった。
伏せ目がちに話す修也だけど、耳まで真っ赤になっている。
「ありがとう、修也」
今頃か、ちゃんと理解できたのは。
自分に呆れてしまう。
そっか…有人にはわかってたんだね。
僕が修也に恋をしてるってこと。
本当に僕はどこかずれているんだな…
だから、有人は僕のことなのに嬉しくなったんだ。
感情も上手く表現できなかった僕が、誰かを好きになったから。
『今度から何かあったら修也にお願いするね』
「あぁ、そうしてくれ」
(そうじゃないと、俺は誰にでも嫉妬する)
修也の胸のうちは僕には伝わってない。
それでも、傍にいてくれる…それは変わらない。
自分達の世界に浸っていたのもつかの間。
時間がないことを思い出した僕らは学校までダッシュ。
なんとか、遅刻ギリギリで教室に駆け込むと飛鳥に笑われた。
修也は別のクラスだけど、今頃同じように息を切らして駆け込んだんだろうなと思った。
それから、あっという間に時間が流れた。
理事長が部室を立て直してくれると言ったけど、円堂は断った。
部室も仲間なんだと、言い切って。
風丸君も陸上部から声がかかっていた。
助っ人なんだから、陸上部に戻って来いと後輩に言われたらしい。
円堂の言う通り、決めるのは風丸君だ。
なにより、重大なことが起こった。
理事長が事故に遭ってしまったらしい。
会場の下見をして、その帰りに事故に遭ってしまったのだという。
なんだか…嫌な感じがする。
そう、歯形の痛みが物語っていた。
不安要素が残りながらも、僕らは開会式に出席した。
そこで目にした不思議な学校。
その名は…
“世宇子中”
僕の予感が外れてくれることを祈ったけど、そうはいかない。
父さんは未だに僕を恐怖の鎖で繋ぎたいらしい…
刑事さんから携帯に留守電が入った。
…父さんが、釈放された。
僕の予感はばっちり当たってしまったらしい。
面倒臭かったわけでも、行きたくなかったわけでもない。
ただ、首筋の歯形が痛む。
みんなには申し訳ないけど、病院に行った。
病院では大したことはないと言われたけど、妙に痛みは続いた。
これは…父さんの執念なのかもしれない。
翌日は有人の家に向かった。
みんなは伝説のイナズマイレブンと練習試合をすると張り切っていた。
でも、修也からは「無理をするなら、来るな」と言われてしまった。
その修也の言葉に甘えることにして…
「なるほど、それで何の用だ?」
ここまでの経緯を頷きながら聞いていた有人はあっさりとそう言って僕を見た。
『相変わらずクールだね』
「関係ない、チームを優先すればいいだろう」
『まぁ、そうなんだけど』
そう言って笑うと、有人も珍しく笑った。
「それで何かあったのか?」
『…本当、僕ってわかりやすいのかな』
「幼馴染をなめるなよ」
こつんと頭を叩かれる。
有人の本質は変わっていない。
正直、変わったのは僕の方だから…
「豪炎寺とは上手くいってるんだろう?」
『…な、なんで、修也?』
「なんでって、はたから見たら恋人同士みたいだぞ…お前達」
有人の言葉に顔が火照った。
きっと、見せられないくらいに真っ赤になってる。
「別にいいんじゃないか」
『…う、』
「俺はあんなにもお前を想ってくれる豪炎寺を見ていたら嬉しくなった。
お前のことであって、別に俺のことではないんだがな、不思議なことだ」
『有人…』
ふっと笑って、有人は続けた。
「お前も…豪炎寺には特別な興味があるみたいだしな」
『…だって、なんか運命的な出会いだったから』
「乙女チックな奴だ」
未だに顔が火照っている。
有人がヘンなこと言うから…
そんなことを考えているとまた歯形が痛んだ。
『…っ!!』
その様子を見た有人が気が付いた。
「総帥に噛まれたところが痛むのか?」
『うん、病院では特に異常はないって…』
「そうか…」
最近、ずっとここを押さえている。
右手を首筋に持っていくのがクセになってしまうそうだ。
「…総帥の、執念か」
『あるいは…災厄の予兆』
「災厄の予兆?」
『父さんのことだから、黙ってるわけない。
どんな手を使っても警察から出てくると思う』
「時雨、あまり余計なことを考えるな。
そういうことを考えるから、痛むのかもしれない」
有人の言う通りだ。
ただの先入観かもしれない…でも、
“忘れるな”
あの言葉が夜な夜な夢の中で囁かれる。
僕はまだ、父さんに勝っていないのかもしれない。
夕方、有人の家を後にした。
帰り際に有人は「ライバルであろうと幼馴染だ、たまには頼れ」と言ってくれた。
僕はいい幼馴染を持ったと思う。
次の朝、僕の住んでいるアパートの呼び鈴が鳴った。
こんな時間になるのは初めてだ…誰だろう。
『はいはーい、どちら様ですかー?』
「俺だ、時雨」
玄関を開けると、そこには修也が立っていた。
びっくりしてキョトンとしていると、修也が溜め息を吐く。
ていうか、なんで溜め息…
「何してるんだ、遅刻するぞ」
『あ、あぁ、ホントだ!!すぐ支度するから、上がって待ってて!!』
「え…あ、あぁ」
少し、躊躇する修也を置いて僕は自室に戻った。
幸い制服には着替えていて、あとは学ランを羽織るだけ。
鞄を肩から掛けようとしたけど、首筋が痛かったから、普段とは反対の肩にかけた。
僕が自室から出ると、修也は律儀に玄関で待っていた。
『リビングでもよかったのに』
「あぁ、でも家の人に迷惑じゃないのか?」
そう言った修也の背を押して、外に出る。
僕は家の鍵をかけながらさっきの質問に答えた。
『僕、一人暮らしだから気にしないでいいのに』
「…は?」
修也は驚いて、一瞬止まったけど僕が歩き出したのを見て我に返った。
隣に並んで歩きながら、修也はまた質問をしてきた。
「一人って…家の家賃とかどうしてるんだ?」
『家賃は死んだ母さんの保険金。
あの部屋は母方の祖父が死ぬ前に借りてくれたんだ。
でも、今までずっとそうだったから気にしてなかったな』
答えると、修也は目を丸くして僕を見た。
確かに普通なら有り得ないことではあるけど。
「何かあったらどうする気だ?」
『普段は有人の父さんが何とかしてくれることにはなってる』
「…鬼道の?」
不審そうに言う修也に僕は笑いながら答える。
『あれでも僕の幼馴染だから』
その言葉に修也は納得して、頷いた。
「だから、決勝の日にお前を背負ってきたのは鬼道だったのか」
『多分ね…僕も倒れたから知らないんだけど』
「…なるほどな、だが」
修也が不意に立ち止まる。
僕も同じように立ち止まって、修也を振り返った。
「俺はいつも傍で時雨を守りたいと思う。
だから、お前に頼られる鬼道が羨ましかった…」
『…え』
「お前が部活に来ない間もずっとお前に会いたかった」
『今日、迎えに来てくれたのは…』
「時雨に今日、一番に会いたかった』
そう言った修也の顔は赤かった。
伏せ目がちに話す修也だけど、耳まで真っ赤になっている。
「ありがとう、修也」
今頃か、ちゃんと理解できたのは。
自分に呆れてしまう。
そっか…有人にはわかってたんだね。
僕が修也に恋をしてるってこと。
本当に僕はどこかずれているんだな…
だから、有人は僕のことなのに嬉しくなったんだ。
感情も上手く表現できなかった僕が、誰かを好きになったから。
『今度から何かあったら修也にお願いするね』
「あぁ、そうしてくれ」
(そうじゃないと、俺は誰にでも嫉妬する)
修也の胸のうちは僕には伝わってない。
それでも、傍にいてくれる…それは変わらない。
自分達の世界に浸っていたのもつかの間。
時間がないことを思い出した僕らは学校までダッシュ。
なんとか、遅刻ギリギリで教室に駆け込むと飛鳥に笑われた。
修也は別のクラスだけど、今頃同じように息を切らして駆け込んだんだろうなと思った。
それから、あっという間に時間が流れた。
理事長が部室を立て直してくれると言ったけど、円堂は断った。
部室も仲間なんだと、言い切って。
風丸君も陸上部から声がかかっていた。
助っ人なんだから、陸上部に戻って来いと後輩に言われたらしい。
円堂の言う通り、決めるのは風丸君だ。
なにより、重大なことが起こった。
理事長が事故に遭ってしまったらしい。
会場の下見をして、その帰りに事故に遭ってしまったのだという。
なんだか…嫌な感じがする。
そう、歯形の痛みが物語っていた。
不安要素が残りながらも、僕らは開会式に出席した。
そこで目にした不思議な学校。
その名は…
“世宇子中”
僕の予感が外れてくれることを祈ったけど、そうはいかない。
父さんは未だに僕を恐怖の鎖で繋ぎたいらしい…
刑事さんから携帯に留守電が入った。
…父さんが、釈放された。
僕の予感はばっちり当たってしまったらしい。