男主/影山の息子
FF編
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練習中、突然御影専農中がグラウンドに乱入してきた。
円堂君は慌てて、タイムを取る。
彼らは雷門との試合を「害虫駆除」だと言った。
「害虫駆除」だって…?
雷門は一体、誰にとっての害虫なのか。
どうして、彼らが駆除役になったんだろうか。
僕は一瞬にして、理解した。
恐らくは…帝国学園の差し金なんだと。
だったら、僕のやることはただ一つ。
雷門が満足に自分達のプレーをできるようにすること。
部員達が口々に怒りの意を表していた。
だけど、円堂君の怒りはみんなを静まり返らせ…決闘だなんて言い出してしまった。
確かに、害虫は言いすぎだと思う。
ルールは簡単。
互いにシュートを一本決めて、入るか入らないかで勝敗を決める。
御影専農のシュートは修也の技をコピーしたもので、円堂君は取ることができなかった。
『…厄介だね、御影専農』
部員たちはみんな驚いていた。
向こうのペースに飲み込まれている。
このままタダでデータを渡すわけにはいかない。
僕は、グラウンドに向かう修也の腕を引っ張った。
「…時雨?」
『ダメだ、これ以上データは渡せない』
「だったら誰が…」
修也の言葉を遮って、僕は言った。
『僕が蹴る』
「…お前が?」
「時雨、やるのか?」
円堂君の問いに僕は頷いた。
ボールは僕の手に渡る。
グラウンドに出た僕は、くいくいと手で飛鳥ちゃんを呼んだ。
『パス、頼んでいい?』
「もちろん」
僕の言葉に飛鳥ちゃんは理解をしたらしい。
パスなしでシュートを打つのは苦手なのを覚えていてくれたみたいだ。
GKをきっと睨みつける。
上空にパスを出し、そこから飛鳥ちゃんのヘディングパス。
そのパスを僕は思いっきり蹴った。
「こ、このデータは…」
GK、杉森を無視してボールはネットに引っかかった。
飛鳥ちゃんは「相変わらず、いいシュートっスね」と意って笑った。
杉森は僕の足元にボールを落とす。
「…お前、まさか」
『証明終了。勝負は最後までわからないってこと、わかった?』
「……。あぁ、そうだったな。理解した、ことにしておこう」
それだけ言って、杉森たちは去っていった。
こっちにも収穫があった。
やはり、雷門中というカテゴリの中のデータしか引用できないらしい。
「時雨、お前スゴイな!!」
考え事がぐるぐる頭の中を巡る。
でも、円堂君のお陰であっさり取り払われてしまった。
『え…そ、そんなことないよ』
「豪炎寺の代わりに蹴るって言った時、ちょっと吃驚した。
でも、ちゃんとお前は勝負は最後までわかなんないって証明してくれた!!」
『僕も役に立てて嬉しいよ、円堂君』
にこっと笑ってみせえば、円堂君も同じように笑ってくれた。
遠くで修也も優しく微笑んでいる。
なんだか、凄く嬉しい。
次の日、必殺技の練習ができない僕らに夏未ちゃんは特訓場を用意してくれた。
40年前のイナズマイレブンも使っていた場所をリフォームしたとか。
それからの一週間、毎日そこで死にそうなほどの特訓をした。
毎日毎日、ボロボロになって特訓する。
これはこれで、熱血キャプテンらしくていいんじゃないかと思った。
なんだか、この心が熱く滾る感じが新鮮でたまらなかった。
前日、僕は修也と一緒に河川敷に寄った。
『とうとう、明日だね』
「そうだな」
『みんな一週間頑張った、きっと勝てるよ』
そう言うと、修也は首を横に振った。
「違うな」
『え?』
「勝てるよじゃなくて、俺たちは勝つ。みんなと一緒に」
修也の言葉が妙に嬉しかった。
『うん、そうだね』
「勝とうな、時雨」
『絶対だよ…修也』
「あぁ」
僕らはまた少し、河川敷で練習をしてから帰った。
疲れているはずなのに、身体がうずうずしていたから。
予選2回戦、御影専農。
始まるや否や、サイボーグ的な動きで雷門を翻弄していた。
なんとか山岸のシュートを取った円堂君もパスが出せない…だったら。
『円堂君、こっちだ』
「時雨、行くぞっ!!」
勢いよく、駆け込んで円堂君からパスをもらう。
『風丸君っ』
風丸君にパスすると、凄い速さで上がっていく。
前を走る修也にパスが通った。
威力は上々だけど、シュートは一本も決まらない。
その上、下鶴のシュートが御影専農の先取点となってしまった。
御影専農のサッカーはつまらない。
帝国の脅威的なサッカーも楽しいとは言えない。
…でも、こんな機械的なサッカーはつまらない。
データがあるから、計算ができる。
だったら、どうしたらいいんだろう。
ハーフタイム、修也と染岡君、円堂君が真剣な表情で僕の前に現れた。
「なぁ、時雨」
『どうしたの、円堂君』
「後半はお前も入れて、豪炎寺、染岡と3トップにしようと思うんだ」
「要はデータにないことをやろうってことだ」
「…お前なら、データも破れるんじゃないか?」
『みんな…』
どうしても、勝ちたい。でも、できるなら伝えたい。
サッカーは楽しいんだってこと。
『わかった』
「それから、俺たちのこと。いちいち君付けしなくていいぞ」
「試合中は呼びづらそうだしな」
円堂君と染岡君がそう言って、修也もこくりと頷いた。
『うん、後半も頑張ろうね。円堂、染岡』
円堂と染岡は一瞬、きょとんとしたけどそのあとにっと笑った。
修也はまたくすくすと笑っていた。
もう、僕なんかしたかなぁ…
試合直前、僕は円堂のところへ立ち寄った。
「…時雨?」
『ねぇ、さっき3トップって言ったけど…もっと大胆な作戦があるよ』
「本当か!?」
『うん』
そう言って、円堂の耳元で作戦を伝える。
みんなに言ってないほうがバレにくい。
『…どうかな?』
「わかった、やってみる。後は任せたぞ、時雨」
『了解、キャプテン!』
後半、予想通り守備に徹底する御影専農。
だからこそ、今作戦を実行する。
「攻めてこないんじゃあ、仕方がない。行くぞ、時雨!!」
『円堂、走って!!』
一気にゴールから、駆け上がる円堂の後ろを僕は一緒に走った。
そして、円堂のシュート。
得点にはならないが、これは御影にとって大計算外のはず。
「次も行くぞ、時雨」
『円堂、走りすぎてバテないでね』
円堂は急いで、ゴールに戻った。
円堂君は慌てて、タイムを取る。
彼らは雷門との試合を「害虫駆除」だと言った。
「害虫駆除」だって…?
雷門は一体、誰にとっての害虫なのか。
どうして、彼らが駆除役になったんだろうか。
僕は一瞬にして、理解した。
恐らくは…帝国学園の差し金なんだと。
だったら、僕のやることはただ一つ。
雷門が満足に自分達のプレーをできるようにすること。
部員達が口々に怒りの意を表していた。
だけど、円堂君の怒りはみんなを静まり返らせ…決闘だなんて言い出してしまった。
確かに、害虫は言いすぎだと思う。
ルールは簡単。
互いにシュートを一本決めて、入るか入らないかで勝敗を決める。
御影専農のシュートは修也の技をコピーしたもので、円堂君は取ることができなかった。
『…厄介だね、御影専農』
部員たちはみんな驚いていた。
向こうのペースに飲み込まれている。
このままタダでデータを渡すわけにはいかない。
僕は、グラウンドに向かう修也の腕を引っ張った。
「…時雨?」
『ダメだ、これ以上データは渡せない』
「だったら誰が…」
修也の言葉を遮って、僕は言った。
『僕が蹴る』
「…お前が?」
「時雨、やるのか?」
円堂君の問いに僕は頷いた。
ボールは僕の手に渡る。
グラウンドに出た僕は、くいくいと手で飛鳥ちゃんを呼んだ。
『パス、頼んでいい?』
「もちろん」
僕の言葉に飛鳥ちゃんは理解をしたらしい。
パスなしでシュートを打つのは苦手なのを覚えていてくれたみたいだ。
GKをきっと睨みつける。
上空にパスを出し、そこから飛鳥ちゃんのヘディングパス。
そのパスを僕は思いっきり蹴った。
「こ、このデータは…」
GK、杉森を無視してボールはネットに引っかかった。
飛鳥ちゃんは「相変わらず、いいシュートっスね」と意って笑った。
杉森は僕の足元にボールを落とす。
「…お前、まさか」
『証明終了。勝負は最後までわからないってこと、わかった?』
「……。あぁ、そうだったな。理解した、ことにしておこう」
それだけ言って、杉森たちは去っていった。
こっちにも収穫があった。
やはり、雷門中というカテゴリの中のデータしか引用できないらしい。
「時雨、お前スゴイな!!」
考え事がぐるぐる頭の中を巡る。
でも、円堂君のお陰であっさり取り払われてしまった。
『え…そ、そんなことないよ』
「豪炎寺の代わりに蹴るって言った時、ちょっと吃驚した。
でも、ちゃんとお前は勝負は最後までわかなんないって証明してくれた!!」
『僕も役に立てて嬉しいよ、円堂君』
にこっと笑ってみせえば、円堂君も同じように笑ってくれた。
遠くで修也も優しく微笑んでいる。
なんだか、凄く嬉しい。
次の日、必殺技の練習ができない僕らに夏未ちゃんは特訓場を用意してくれた。
40年前のイナズマイレブンも使っていた場所をリフォームしたとか。
それからの一週間、毎日そこで死にそうなほどの特訓をした。
毎日毎日、ボロボロになって特訓する。
これはこれで、熱血キャプテンらしくていいんじゃないかと思った。
なんだか、この心が熱く滾る感じが新鮮でたまらなかった。
前日、僕は修也と一緒に河川敷に寄った。
『とうとう、明日だね』
「そうだな」
『みんな一週間頑張った、きっと勝てるよ』
そう言うと、修也は首を横に振った。
「違うな」
『え?』
「勝てるよじゃなくて、俺たちは勝つ。みんなと一緒に」
修也の言葉が妙に嬉しかった。
『うん、そうだね』
「勝とうな、時雨」
『絶対だよ…修也』
「あぁ」
僕らはまた少し、河川敷で練習をしてから帰った。
疲れているはずなのに、身体がうずうずしていたから。
予選2回戦、御影専農。
始まるや否や、サイボーグ的な動きで雷門を翻弄していた。
なんとか山岸のシュートを取った円堂君もパスが出せない…だったら。
『円堂君、こっちだ』
「時雨、行くぞっ!!」
勢いよく、駆け込んで円堂君からパスをもらう。
『風丸君っ』
風丸君にパスすると、凄い速さで上がっていく。
前を走る修也にパスが通った。
威力は上々だけど、シュートは一本も決まらない。
その上、下鶴のシュートが御影専農の先取点となってしまった。
御影専農のサッカーはつまらない。
帝国の脅威的なサッカーも楽しいとは言えない。
…でも、こんな機械的なサッカーはつまらない。
データがあるから、計算ができる。
だったら、どうしたらいいんだろう。
ハーフタイム、修也と染岡君、円堂君が真剣な表情で僕の前に現れた。
「なぁ、時雨」
『どうしたの、円堂君』
「後半はお前も入れて、豪炎寺、染岡と3トップにしようと思うんだ」
「要はデータにないことをやろうってことだ」
「…お前なら、データも破れるんじゃないか?」
『みんな…』
どうしても、勝ちたい。でも、できるなら伝えたい。
サッカーは楽しいんだってこと。
『わかった』
「それから、俺たちのこと。いちいち君付けしなくていいぞ」
「試合中は呼びづらそうだしな」
円堂君と染岡君がそう言って、修也もこくりと頷いた。
『うん、後半も頑張ろうね。円堂、染岡』
円堂と染岡は一瞬、きょとんとしたけどそのあとにっと笑った。
修也はまたくすくすと笑っていた。
もう、僕なんかしたかなぁ…
試合直前、僕は円堂のところへ立ち寄った。
「…時雨?」
『ねぇ、さっき3トップって言ったけど…もっと大胆な作戦があるよ』
「本当か!?」
『うん』
そう言って、円堂の耳元で作戦を伝える。
みんなに言ってないほうがバレにくい。
『…どうかな?』
「わかった、やってみる。後は任せたぞ、時雨」
『了解、キャプテン!』
後半、予想通り守備に徹底する御影専農。
だからこそ、今作戦を実行する。
「攻めてこないんじゃあ、仕方がない。行くぞ、時雨!!」
『円堂、走って!!』
一気にゴールから、駆け上がる円堂の後ろを僕は一緒に走った。
そして、円堂のシュート。
得点にはならないが、これは御影にとって大計算外のはず。
「次も行くぞ、時雨」
『円堂、走りすぎてバテないでね』
円堂は急いで、ゴールに戻った。