男主/影山の息子
FF編
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先日、嫌な話を耳にした。
“雷門中サッカー部に王者・帝国が練習試合を申し込んで来た”
折角…聞かなくて済むと思った帝国の話。
なんで、半年くらい経った今またその名を耳にするなんて。
『帝国学園、サッカー部…』
噂ではキャプテンが部員集めにあちこち声を掛けているらしい。
たった7人のサッカー部は…試合、できるのかな。
心配をしてみるけど、サッカーを辞めた僕に何が出来るんだろうか。
『…父さん、一体何を企んでるの?』
今はもう、共に暮らしてさえいない父。
その男は影山零治、帝国で「総帥」と呼ばれる人。
「勝つこと」だけをひたすらに考えている。
帝国にいたたった半年がとても空虚なものに感じられる。
僕はそんな父も、つまらない自分も、大嫌いだった。
サッカーも、嫌いになりそうだった。
嫌いになってしまう一つ手前で僕は辞めた。
サッカーを嫌いになってしまわないように…
次は自分の意志で、始めるその日まで。
試合当日になってもまだ、部員は一人足りないらしい。
だけど、帝国学園は雷門中に到着してしまった。
試合が始まっても、力の差は歴然だった。
最強と最弱
素人が見てもわかる動きの差、得点の差。
僕は何かに惹かれるように雷門サイドのベンチに立っていた。
その時だった。
一瞬、ゴーグルの奥にある鬼道の赤い瞳と目が合った。
“かかって来い”
そう言っているように思える赤い瞳。
僕がサッカーを始めるのは今なのかな。
でも…今やらなきゃ、きっと後悔をする。
グラウンドにはユニフォームを着た木戸川からの転入生がいた。
『…行かなきゃ』
僕は慌てて、グラウンドに駆け込んだ。
この駆け込みが、僕のサッカーの始まりだったのかもしれない。
審判と冬海先生が彼、豪炎寺君に駆け寄った。
どうやら、鬼道は彼が試合に出ることを了承したらしい。
『待って!!』
僕が走っていくと、みんなの視線が一気に僕に向かってくる。
鬼道がにぃとヒールな笑みを浮かべていた。
『冬海先生、僕も試合に出してください』
「き、君は…影山君っ!?」
驚いている冬海先生と審判。
しかし、鬼道は先程と同じように笑みを浮かべた。
「俺たちは構わない」
そう告げて、マントを翻して自分の持ち場に戻る。
冬海先生も仕方がないと了承してくれた。
マネージャーさんから手渡された15番のユニフォームを着て、僕はグラウンドに立つ。
円堂君は僕に笑顔で声をかけてくれた。
「ありがとな、えっと…」
『時雨だよ、影山時雨』
それだけ言って、僕はFWの後ろに立った。
グラウンドに立つのも、ユニフォームを着るのも半年振りだった。
容赦なく襲い掛かるデスゾーン。
円堂君は咄嗟の必殺技でデスゾーンを止めた。
「行くぞ!!時雨っ」
パスは僕に向かって投げられる。
僕は帝国のディフェンスをかわして、一番前を走る。
目の前の源田にふっと笑いかけて、後ろにパスを出した。
『豪炎寺君、頼んだよ』
僕のパスを受け取った豪炎寺君が必殺シュートを決めた。
ファイアトルネード、近くで見たら尚更凄かった。
それを待っていたかのように、帝国は試合放棄を宣言し去っていった。
まるで、嵐のようだったと思う。
突然現れて、突然帰っていった彼らの真意はわからない。
一つ言えるのは豪炎寺君を、そして僕を待っていたということ。
帝国が帰った後、豪炎寺君はさっさとユニフォームを脱ぎ捨て去っていった。
「今回限りだ」と、今後は参加しないという意思表示と共に。
次に視線は僕に集中した。
円堂君は僕に手を差し出した。
シュートを止め、焼け焦げたグローブ。
僕はその手を取って、笑いかけた。
「ありがとうな、時雨」
『どういたしまして、円堂君』
円堂君は頬を掻きながら、口をもごもごしている。
あぁ、そうか…
豪炎寺君はさっさと行っちゃったから。
『よかったら、僕も仲間に入れてくれる?』
その言葉にぱっと明るい顔をした円堂君。
いや、円堂君だけじゃない。
サッカー部のみんなが花が咲いたように明るい顔をしてくれた。
「もちろんだ!!一緒にサッカーやろうぜ!!」
『うんっ!!』
「…っ!お、おう!!」
そう言って笑ったら、円堂君が赤くなった。
…なんでだろう?
(((…あの笑顔は可愛すぎる、)))
僕の知らないところでみんなは同じことを考えていたみたいだ。
“雷門中サッカー部に王者・帝国が練習試合を申し込んで来た”
折角…聞かなくて済むと思った帝国の話。
なんで、半年くらい経った今またその名を耳にするなんて。
『帝国学園、サッカー部…』
噂ではキャプテンが部員集めにあちこち声を掛けているらしい。
たった7人のサッカー部は…試合、できるのかな。
心配をしてみるけど、サッカーを辞めた僕に何が出来るんだろうか。
『…父さん、一体何を企んでるの?』
今はもう、共に暮らしてさえいない父。
その男は影山零治、帝国で「総帥」と呼ばれる人。
「勝つこと」だけをひたすらに考えている。
帝国にいたたった半年がとても空虚なものに感じられる。
僕はそんな父も、つまらない自分も、大嫌いだった。
サッカーも、嫌いになりそうだった。
嫌いになってしまう一つ手前で僕は辞めた。
サッカーを嫌いになってしまわないように…
次は自分の意志で、始めるその日まで。
試合当日になってもまだ、部員は一人足りないらしい。
だけど、帝国学園は雷門中に到着してしまった。
試合が始まっても、力の差は歴然だった。
最強と最弱
素人が見てもわかる動きの差、得点の差。
僕は何かに惹かれるように雷門サイドのベンチに立っていた。
その時だった。
一瞬、ゴーグルの奥にある鬼道の赤い瞳と目が合った。
“かかって来い”
そう言っているように思える赤い瞳。
僕がサッカーを始めるのは今なのかな。
でも…今やらなきゃ、きっと後悔をする。
グラウンドにはユニフォームを着た木戸川からの転入生がいた。
『…行かなきゃ』
僕は慌てて、グラウンドに駆け込んだ。
この駆け込みが、僕のサッカーの始まりだったのかもしれない。
審判と冬海先生が彼、豪炎寺君に駆け寄った。
どうやら、鬼道は彼が試合に出ることを了承したらしい。
『待って!!』
僕が走っていくと、みんなの視線が一気に僕に向かってくる。
鬼道がにぃとヒールな笑みを浮かべていた。
『冬海先生、僕も試合に出してください』
「き、君は…影山君っ!?」
驚いている冬海先生と審判。
しかし、鬼道は先程と同じように笑みを浮かべた。
「俺たちは構わない」
そう告げて、マントを翻して自分の持ち場に戻る。
冬海先生も仕方がないと了承してくれた。
マネージャーさんから手渡された15番のユニフォームを着て、僕はグラウンドに立つ。
円堂君は僕に笑顔で声をかけてくれた。
「ありがとな、えっと…」
『時雨だよ、影山時雨』
それだけ言って、僕はFWの後ろに立った。
グラウンドに立つのも、ユニフォームを着るのも半年振りだった。
容赦なく襲い掛かるデスゾーン。
円堂君は咄嗟の必殺技でデスゾーンを止めた。
「行くぞ!!時雨っ」
パスは僕に向かって投げられる。
僕は帝国のディフェンスをかわして、一番前を走る。
目の前の源田にふっと笑いかけて、後ろにパスを出した。
『豪炎寺君、頼んだよ』
僕のパスを受け取った豪炎寺君が必殺シュートを決めた。
ファイアトルネード、近くで見たら尚更凄かった。
それを待っていたかのように、帝国は試合放棄を宣言し去っていった。
まるで、嵐のようだったと思う。
突然現れて、突然帰っていった彼らの真意はわからない。
一つ言えるのは豪炎寺君を、そして僕を待っていたということ。
帝国が帰った後、豪炎寺君はさっさとユニフォームを脱ぎ捨て去っていった。
「今回限りだ」と、今後は参加しないという意思表示と共に。
次に視線は僕に集中した。
円堂君は僕に手を差し出した。
シュートを止め、焼け焦げたグローブ。
僕はその手を取って、笑いかけた。
「ありがとうな、時雨」
『どういたしまして、円堂君』
円堂君は頬を掻きながら、口をもごもごしている。
あぁ、そうか…
豪炎寺君はさっさと行っちゃったから。
『よかったら、僕も仲間に入れてくれる?』
その言葉にぱっと明るい顔をした円堂君。
いや、円堂君だけじゃない。
サッカー部のみんなが花が咲いたように明るい顔をしてくれた。
「もちろんだ!!一緒にサッカーやろうぜ!!」
『うんっ!!』
「…っ!お、おう!!」
そう言って笑ったら、円堂君が赤くなった。
…なんでだろう?
(((…あの笑顔は可愛すぎる、)))
僕の知らないところでみんなは同じことを考えていたみたいだ。