いや、人魚よりも美しい・・。




　　□海と月と彼女□




一隻の豪華客船が大海原を進む。


その甲板に１人の女性が髪を耳にかけて気持ち良さそうに潮風を受けながら、沈む夕日を眺める。



「はぁ・・・綺麗・・・。
やっぱり私だけ悪いかも・・・」


「何が悪いのだ？」


「きゃっ！ビックリした・・。

もぉ、驚かさないで下さいよハレクラニさん」



突然後ろから声をかけられ、振り向けばハレクラニがそこにいた。


いつもの悪趣味な黄金の鎧ではなく高級そうなスーツ姿。


元々顔立ちが良い為すごくマッチしていて、思わず見とれてしまう。



「ん？どうした？」


「∑えっ！あの・・・ですから、私だけ旅行に行くなんてみんなに悪いと思いまして・・・。

(まさか見とれていたなんて恥ずかしくて言えないし・・・それにこんな立派な豪華客船に乗るなんて思わなかったしね・・・)」


「気にする事ではない。
他の奴等なんて誘ってみろ。うるさくてかなわん。
下手をしたらこの船が沈むかもしれん」


「ア、ハハハ・・・ι」



無くは無い事に苦笑いしか出てこない。



「それに」



ハレクラニが手を伸ばして##NAME1##の顎をクイッと上げる。



「休みの日ぐらい、こうしてお前と２人っきりで過ごしたい」



顔を近付け##NAME1##の目を見ながら言うハレクラニ。


間近でそんな言葉を言われ、思わず顔が真っ赤になってしまう。



「顔が赤いぞ」


「こ、これは、夕日のせいですっ！」


「フッ、そういう事にしておこう」


「もぅ・・///」


「さあ、夜は冷える。中に戻るぞ」


「は、はい」



手を差し出され、その手を取る。


手を繋いだまま部屋に戻れば、２人の女性がいた。


格好からして使用人のようだ。



「では頼むぞ」


「「かしこまりました」」


「あ、あの、何をするのですか？」


「決まっているだろう。
ディナーに行くのだから##NAME1##のドレスアップをしてもらうのだ」


「え、そんな、１人で出来ますよ」


「遠慮するな」


「でも・・・」


「さぁ##NAME1##様」


「こちらへどうぞ」


「え？え？」



使用人に連れられて##NAME1##は別室に入る。



数十分後―――



「ハレクラニ様、##NAME1##様の準備が整いました」


「ご苦労・・・」



別室に目を向けたハレクラニは固まった。


海のようなブルーのマーメイド風のドレス、貝殻のイヤリング、パールのネックレス、髪は結られうっすらと化粧をしてもらった##NAME1##は、あまりにも綺麗すぎて見とれた。


言葉を発しないハレクラニに、##NAME1##は居心地が悪くなってきた。




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