子供と教育係



するとジンはコートの内側に手を入れる。


ジンが何をするのか気付いたコナンは慌てて制止した。



「ダメっ!!ジンッ!!」



ドンッ


キュン



ジンが拳銃を出し、撃った。


弾丸は男に当たらず、すぐ横をかすめて壁に当たった。


男は弾丸が自分に当たったと勘違いし、気絶した。



「ジ、ジン・・・」


「・・・お前に、醜いものを見させたくないと思っただけだ」



ぶっきらぼうに告げると男に目もくれず、コナンを抱き抱えたままその場を去った。



「・・あの、ジン・・・怒ってる?」


「・・・そうだな」


「っ!(ビクッ)」


「お前を1人にさせたら変な奴に絡まれる事を想定できなかった、俺自身にな」


「(え・・?)」



ジンの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったコナン。


すると小さく微笑み、ジンの頬にキスをした。


コナンの行動にジンは目を見開く。



「ありがと、ジン。
助けてくれて」



花が綻ぶような微笑に、固まる。


すぐにフッと口角を上げ、自然な笑みで返した。



「当たり前だ。俺はお前の教育係だからな。

何かあったらあの方に申し訳が立たねぇ」


「素直じゃないな~。さっきは素直だったのに」


「事実だ」


「え~?」



ジンが照れ隠しでそんな事を言ってる事に気付いてるコナンは、微笑むとジンのコートをギュッと掴み、頭を傾け凭れた。


ジンはコナンの頭を優しく撫でた。


その表情は穏やかだった。




後日、下見の件を報告すると今後一切何時いかなる時もコナンを1人にさせてはならないと全員に命が下った。


ただ命が下ろうとなかろうと全員「コナンを1人にさせてはいけない!」と強く誓っていた。



「・・・ねぇジン」


「何だ?」


「最近僕必ず誰かと行動してるような気がするんだけど・・。
というか1人でいる時が無いんだけど、なんで?」


「そりゃあ、お前を1人にさせたら危ないからな」


「外ならわかるけど、アジトの中なら危険なんてないでしょ?

そもそも、僕なんかに構っていたらみんなの仕事の邪魔になっちゃうし・・・」


「・・・アイツ等は好きでやっているだけだ。

お前が気にする事じゃねぇ」


「うん・・・。

ジンは?僕と一緒にいても苦にならない?」


「・・・もしそうだとしたら、今頃別の誰かがお前の教育係になっているだろ」


「・・・それって・・」


「チッ。

俺もお前のそばにいたいんだよ。

それぐらい察しろ」



コナンの頭に手を回すと抱き締めた。


ジンの言葉と行動に恥ずかしくも嬉しくなり、満面の笑みを浮かべた。










「ジン・・・コナン君を独り占めしてずるいわ・・・!」


「教育係を命じられた時は不満たらたらだったくせに・・・!」


「ジン・・羨ましい・・・」


「クソッ。あの時僕が教育係になると名乗り出ていれば・・・!」


「・・・あの、邪魔なんだけど・・・」



部屋の外、扉の隙間から2人の光景(主にジン)に羨ましがったり悔しがったりするベルモット達に、部屋に入りたいのに邪魔で入れず困り果てるウォッカがいた。




終わり
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