カスカベ最強(?)夫婦

それにしても、タイムスリップってこんな簡単にできるもんなのか?




=カスカベ最強(?)夫婦=




安土城にやって来たマサオ君と慶次。


城の禍々しい雰囲気に、すでにマサオ君は泣きそうだ。



「ヒィィィ~~!!!」


「大丈夫だって!怖いと思うから怖いんだよ。

さっ、行こうか」


「う、うん・・・」



背中を押され、震える足を動かして慶次と一緒に城の中に入って行く。


薄暗い城内を渡り歩き、大広間の前に着くと中から女性達の笑い声が聞こえた。



「なんだぁ?やけに賑やかだねぇ」



ごめんよ!と大して悪気も無く慶次は襖を大きく開け放った。


そして飛び込んで来た光景に目を見開いて驚く。


大広間にはこの城の城主であり第六天魔王と恐れられてる織田信長、大坂にいる筈の旧友、覇王と呼ばれてる豊臣秀吉、そして自分達の関係を壊したとも言える戦国の梟雄こと松永久秀がいた。


だが、今の彼等からそんな強い覇気がまったく感じられず、むしろしょんぼりとどこか落ち込んでいた。


さらに、夫の前だというのに信長の妻の濃姫に近江の浅井長政の妻、お市が知らない女性と一緒に談笑しているではないか。


慶次の後ろに隠れていたマサオ君が恐る恐る顔を出すと、その女性を見た瞬間大声と体全体を飛び出した。



「しんちゃんのおばさん!!?」


「え?・・っ!?マサオ君!!?」


「え!?マサオ君!?」


「おじさん!!?」



その女性はしんのすけの母親、野原みさえだった。


さらにその近くにしんのすけの父親のひろしもいたからさらにびっくり。


みさえ達のところに駆け寄り、何故ここにいるのか聞き出す。



「おばさん、おじさん!どうしてここに!?」


「あぁ、実はな・・・」



マサオ達が話してる間、慶次は離れて見ている信長の家臣の明智光秀と森蘭丸、秀吉の家臣の竹中半兵衛、お市の夫の浅井長政に近寄り、経緯を聞こうとする。



「なぁ、あのお三方一体どうしちまったんだい?」


「実は・・・」




--------



遡ること数時間前――




「ただいまー!

・・・あれ?なんだ誰もいないのか」


「ただいまー!」


「あっ、みさえ」


「あらアナタ。早かったのね」


「あぁ、仕事が案外早く終わったもんでな。

しんのすけとひまわりは?」


「しんちゃんはひまのお守りとシロの散歩に行ったけど・・・まだ帰ってきてない?」


「さぁ?俺も今帰ってきたばかりだからなぁ。部屋で寝てるかも」




.
1/9ページ
スキ