戦国カスカベ防衛隊
***
瀬戸内海、大きな船に乗り海の地平線を眺める男がいた。
「アニキー!何処にもありません!」
「船のあっちこっち探したんですが・・・」
「・・・そうか」
二人の子分がアニキと呼んだ男に残念そうに、悔しそうに報告する。
西海の鬼、長曾我部元親に。
「何処に行ってしまったんでしょうね・・・」
・・「・・・なぁに、別にアレが無くったってブボッ!!?」
「「Σっ!?ア、アニキーーーーーーー!!!!?」」
心配掛けさすまいと子分達に言葉を掛けようとしたその時、元親の頭上から何かが落ち、元親の頭に直撃した。
「だ、大丈夫ですかアニキ!!?」
「アニキッ!?」
「あ、あぁ・・・って、なんだ?このベタベタ?」
頭に手をやると何かベタベタするものに触れた。
そして何かの気配に気付き、そちらに視線を向ける。
そこには子供が一人倒れていた。
三日月兜を側に転がしてるボーちゃんが、その場にいた。
「・・・・・・ボー・・・・・・」
「あっ、お、おい、大丈夫か?」
自分の頭の痛みも忘れ頭をフラフラさせてるボーちゃんに元親は声を掛ける。
「うん、大丈夫・・・・・・・・・あれ?」
「あ?どうした?」
「・・・・・・ここ、どこ?」
「え!?お前、自分がどうやってアニキの頭上に落ちてきたのか分からないのか!?」
「うん。とつぜん光が放って、そしたらここにいた」
「そ、そうなんだ」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
船は風が吹くままに進むのに、会話がなかなか続かない。
***
「おぉ・・・!日輪よ!今日も美しい・・・!」
高松城の天守閣で日輪に向けて高々く両手を上げて拝むのは、安芸を治める毛利家当主、毛利元就。
「日輪よ、我は毎日日輪を熱心に信仰しておるが、我は本当に日輪の申し子と名乗って良いのだろうか・・・?」
「たぁや!」
「な、なんと!良いのか!?有り難き幸せ!!我はこれからも日輪を崇め、真の日輪の申し子となってみせようぞ!!」
「たいたい!!」
「我は日輪の申し子、毛利元就!!全ての捨て駒を退け、天下分け目の勝利者となってみせようぞ!!」
「たたぁや!」
「日輪よーー!!
・・・・・・ん?」
ここでようやく元就は気付いた。
ここは自分しかいないのに、誰かいるのか?
後ろを振り向くと、赤ん坊が一人座って元就をじっと見ていた。
初めは訳の分からないようなものを見るような目で向けていたが、元就が振り向き、元就の顔を見た瞬間、赤ん坊、ひまわりがキラーン、と眼を輝かせた。
「たぁ!!
たたたたたた」
「な、なんだこの赤子は!!?何処から入りおった貴様!?」
いきなり現れたひまわりに元就は焦り、怒鳴り散らす。
しかしそんな元就に気にせずひまわりは元就に近付き、元就の足にしがみついてしまった。
.