戦国カスカベ防衛隊
時は群雄割拠。名の有る武将達が天下統一を目指し、各々精進に日々を過ごしていた。
が、
「Shit!どこに行ったんだ?」
屋敷の廊下を世話しなく歩き、英語混じりで悪態をつくのは奥州筆頭の伊達政宗。
「政宗様?如何なされましたか?」
「小十郎。お前俺のかブベ!!!?」
「Σま、政宗様ーーーー!!!?」
家臣の一人、片倉小十郎が政宗に問い掛け、何か聞こうとした政宗の頭上に突然何かが落ちてきた。
それはちょうど政宗の頭上だった為気付かず、直撃を受けてしまった。
かなり痛かったのかその場で悶えている。
「~~~~!!?」
「ま、政宗様!大丈夫ですか!?
」
「・・・イタタタ・・・んも~~だれ?オラに頭突きしたの?」
「それはこっちのセリフだ!!
・・・って、Hum?子供?」
声のした方に視線を向けると子供が頭を押さえて廊下に尻餅付いていた。
その子供は、緑色の手拭いを首に巻いてるしんのすけだった。
「ん?お兄さんだれ?」
「Ah?この俺を知らねぇとは・・・お前、この辺のガキじゃねぇな」
「オラ、ガキじゃないゾ!野原しんのすけだゾ!
お兄さんなんて知らないゾ」
「おいガキッ!!誰に口聞いてんだ!!
この方はだな・・・」
「Ah~良い良い」
叱ろうとする小十郎を政宗は落ち着かせるよう宥めた。
「しかし政宗様・・・」
「落ち着けって。たかが子供のいうことだ。気にしてねぇよ」
「政宗様・・・いつの間にそんなに心をお広く・・・この小十郎、感激致しました・・・」
政宗の器の大きさに感激する小十郎に当然、といった顔をする政宗。
「・・・で?結局お兄さんだれ?」
「おっと、そうだったな。
俺は奥州筆頭、伊達政宗だ!You see?」
腕を組んで胸を張り、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて政宗は名乗った。
「・・・伊達“股宗”?
プッ、変な名前(笑)」
「“股宗”じゃあねえ!!“政宗”だぁああ!!!」
「ま、政宗様!落ち着いてください!!いやお気持ちは分かりますけれど!!」
先程の心の広い筆頭はどこに行ってしまったのやら、怒鳴り散らす政宗を小十郎が必死に落ち着かせようとした。
***
「うむ!まつの飯は何度食べても旨いぞー!!」
「まぁ、犬千代様。まつめは嬉しゅうございまするvV」
ご飯をバクバクと豪快に食べるのは加賀、前田家当主の前田利家。
そしてその隣で控えているのは利家の妻、まつ。
二人が微笑ましく過ごしていると、奇妙な音が庭からした。
――ベチャ!
「?まつ、今奇妙な音がしなかったか?」
「はい、まつめにも聞こえした。様子を見てきます」
「気を付けろよ、まつ!」
草履を履いて庭に降りると、庭に犬が倒れていた。
その犬は首に赤い鉢巻きを巻かれた、シロだった。
「クゥーーン・・・」
「まあ!大変でござります!
犬千代様!お犬が庭に倒れています!」
「何?四郎丸か?」
「いえ、真っ白いお犬でござりまする」
シロを抱え、まつは利家に見せた。
すると、
――グウウ~~~
「!?な、なんだ、今の音は!?」
「・・・・・・///」
「まぁ。お腹空いてるのですね。暫しお待ちを・・・」
シロを下ろしてまつは家に上がり奥へと行ってしまった。
暫くするとご飯やおかずに味噌汁がかけられてるものを手に持ったまつが戻ってきた。
「さあ召し上がってください。残り物しかございませんが」
「クンクン・・・アンアン!!」
匂いを嗅ぐと、嬉しそうに、それはもう豪快にガツガツと食べ出した。
「まあ!よっぽどお腹が空いていらっしゃったのですね。美味しそうに食べて、まつめは嬉しいです!」
「残り物だろうがまつの飯は旨いからな!!犬だって美味しく食べるのは当然だ!!」
「まあ、犬千代様・・・///」
ラブラブ夫婦に目もくれず、シロはガツガツとご飯を食べ続けてた。
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