異世界同士の衝突



解放されたサトシは酸素が気道に入り噎せる。



「ゲホッ!ゲホッ!」


「ピカピ!」


「コウガ!」「ルチャ!」「アロー!」「バォーン!」「ヌゴ!」


「・・みんな・・」


「ピカピカ、ピカピ、ピカチュ!」



ピカチュウ達はサトシの周りに集まり、代表としてピカチュウが自分達の気持ちを叫ぶ。


サトシを見捨てる事なんて出来ない、何があってもサトシを助ける、僕達はサトシの事が大好きなんだ、と。


言葉はわからないが、ピカチュウ達の気持ちが十分に伝わった。



「ピカチュウ・・みんな・・ありがとう」


「ピカチュ」「コウガ」「アロー」「チャブ」「バーン」「ヌゴ」


「さぁ、今のうちに逃げよう」




「・・・海軍大佐が、やられた・・・」


「なんなんだ、あの子供と生き物達は・・?」





必死に走り、海岸沿いまでやって来て複数の小舟を見つける。



「ひとまず、この小舟で脱出だ」


「そこまでだ!!」


「∑っ!」



振り向けば大勢の海軍や衛兵に囲まれた。


全員ライフルを構え、サトシやピカチュウ達に狙いを定めてる。



「(・・・イチかバチか・・・)

オンバーン“超音波”!」


「バオーン!」


「っ!?ぅ、あ、ぁ・・・!」


「よしっ。みんな戻れ!

ピカチュウ!」


「ピカ!」



サトシはゲッコウガ達をモンスターボールに戻すとピカチュウを呼び、悟ったピカチュウはサトシの胸に飛び込み服を掴む。


サトシもピカチュウを抱き締め、海軍達に背中を向けジャンプし、小舟に飛び移った。



「クソ、頭が・・」


「中佐!子供が逃げてしまいます!」


「どくんだえ!!」


「!グロリア聖!!?」


「何をモタモタしてるだえ!!さっさと撃ち殺すだえ!!」


「し、しかし・・」


「ええい、貸せ!」



ボロボロのグロリアが怒り心頭に怒鳴り、近くの海兵からライフルを奪うと構える。


狙いをピカチュウに定めて。


ニヤリと笑うと引き金を引き、撃った。



「∑!!ピカチュウ!!」



オールで漕いでたサトシはすぐに気付き、ピカチュウを庇う。


しかし弾丸はサトシの肩を掠めた。


サトシの肩の部分が赤く染まっていく。



「ぅ゙・・っ・・」


「ピカピ!!」


「はーはっはっは!馬鹿だえ!!そんな生き物を庇って怪我するなんて!
馬ー鹿馬ー鹿!!」



ピカチュウを庇ったサトシの行動を馬鹿にして笑うグロリア。


その笑い声に、ピカチュウの怒りがMAXになった。



「ピィカァ・・ヂュウーーー!!!」



いつもより強烈な“10万ボルト”を、グロリアに向けて放った。



「だえええぇえええーーー!!!」


「「グロリア聖!!」」


プスプスと黒こげになったグロリアはマヌケ面で倒れ気を失った。




.
5/19ページ
スキ