小さくなっても同じ
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しかしあたしは他のポケモンの服を着る気なんてない。今のこの恰好だけでも恥ずかしいっていうのに・・・他のも着たら恥ずかしさで打ちひしがれそうだよ。
百歩譲ってミニリュウの服にさせてよ。
よほどあたしはイヤな顔をしていたのか、気持ちを汲み取ったのかサトシがあたしを庇うように前に立ちはだかり、シゲルとヒカリに指をさして大声を出す。
「おれのふたごをいじめゆな!ゆーこはおれとおしょろいがいいんだ!」
「え?え?」
「別にイジメてはいないんだけど」
ヒカリとシゲルが戸惑う。さっきまであたしに甘えていたためビックリしてるのでしょう。
あたしがイヤがってる理由はまったく違うがそれでもあたしのために勇気を出して立ちはだかってくれたサトシが本当にもうカッコよくて可愛くて嬉しくて、あたしは後ろからサトシに笑顔で抱きしめた。
「ありがとーしゃとち!かっこいーよ!」
「ゆーこはおれがまもる!」
カッコ可愛いことを言ってくれるサトシに心の中で悶えた。
「・・・おい。アイツ、なんか構いすぎてないか?」
「うーん・・俺も朝食の時に思ったんだが、いくらサトシが中身も幼児化してるとはいえなんかユウがサトシに、その、デレデレしてるような・・・・・・小さい時のユウもこんな感じだったのか?」
「いや・・・僕の記憶が正しければ小さい頃のユウはここまでではなかったはず。まぁサトシから甘えてくるのを邪険にせずに構っていたのはたしかだ」
「ねぇ今さらなんだけど、この時のサトシ「ユウ」って呼んでないんだね」
「あぁだってあたちの「ユウ」よびは」
彼らの会話が耳に入り、ヒカリの疑問に答えようとそちらに顔を向ける。
だがその時、何かが飛んできて土埃が辺りを舞う。
「「うわっ/きゃああ!!?」」
「「しゃとち/ユウ!」」
サトシが怪我をしないよう正面に回って抱きしめ、そんなあたしをシゲルが抱きしめてくれた。
「Σピカァ!?」
「Σぴかちゅー!?」
「いきなり何だ!?」
「コレは‘タネマシンガン’と‘ぎんいろのかぜ’だ!」
「ということは・・!」
この技を使うポケモンを持ってる連中を知ってるあたしは思わず舌打ちしたくなる。
こんな時に・・!!
「「「なーっはっはっはっ!!」」」
「ロケット団!」
「やっぱりアンタ達なのね!」
攻撃が止み、聞き覚えのある高笑い。
攻撃を仕掛けたマスキッパーとメガヤンマ、その中心にはやはりストーカー3人組もといロケット団のムサシとコジロウとニャースがいた。
連中の近くにカプセルに入ったピカチュウが囚われていた。
「やっぱりアンタ達なのねの声を聞き!」
「光の速さでやってきた!」
「風よ!」
「大地よ!」
「大空よ!」
「しゃとちきぃちゃだめ!みちゃだめ!あんなへんなひとたちみたらしょーらいろくなおとなにならないよ!」
あたしはストーカー集団の存在とムダに長い名乗りをサトシに見聞きさせないよう頭を抱えた。
ムダに長い名乗りが終わるとシゲルはあたしから離れてストーカー集団に立ちはだかる。
「毎度毎度、本当に成長のない連中だな」
「使えない連中の間違いだろ」
「「「うっさい!!」」」
シゲルとシンジのけなす声に3人は息ぴったりに否定。当たっているのにね。
「ロケット団!ピカチュウを返しなさい!!」
「へっやなこった!」
「ミニリュウも私達がいただくわ!ハブネーク‘くろいきり’!」
「ハブ!」
ムサシがハブネークをモンスターボールから出すのと同時に指示を出した。
ハブネークの口から‘くろいきり’が吐き出され、あたし達の周りを包み込む。
狙いはあたしのミニリュウ・・!
「みにりゅー!」
「あ!ゆーこ!」
「リュウ!」
サトシから離れ、ミニリュウがいた場所に走り寄る。
幸いすぐにミニリュウに辿り着くことができて、盗られないよう抱きしめる。
しかしその場から離れようとするが直後頭上から何かに覆い被された。
「Σリュウ!?」
「ミニリュウ!?」
「これじゃあ何も見えない!」
「ゆーこー!」
タケシやヒカリ、サトシの声が遠くから聞こえた。
*****
「チッ!ドンカラスこの霧を払え!」
「カァ゛ー」
シンジがドンカラスを出してくれたおかげで‘くろいきり’は吹き飛び晴れた。
「みんな大丈夫か!?」
「待って!ミニリュウがいないわ!」
「ピカチュウにロケット団もいない!」
「ゆーこーー!どこーー!?」
「え・・・・・っ!いない」
「シゲル?」
「ユウがどこにもいない!!」
「「「ええ/何っ!?」」」
シゲルの言葉にヒカリもシンジも驚き、辺りを見渡すがシゲルの言う通りユウの姿がどこにも見当たらなかった。
「まさか、一緒に連れて行かれた・・・・・ハッ!」
ヒカリと共に恐る恐るサトシの方に振り向く。
サトシは服をぎゅっと握り大粒の涙をぽろぽろ溢し、そして、
「ぅわぁあああーーん!!!ゆーこーーーー!!!」
大声で泣き出した。
*****
麻袋にミニリュウと共に詰められたあたし。
外は見えないが浮遊感があるからストーカー集団が気球で逃走してると推測する。
どれぐらいの時間が経ったのか、地上に降り立つ。
麻袋はそんなに厚くないためかストーカー集団の会話が聞こえる。
「いやーこんなにあっさり上手くいくとはなー」
「所詮は子供。私達大人には敵わないってことよ」
「それじゃあミニリュウもこのカプセルに入れるのニャ」
「はいはーい」
袋の口が開き、眩しさで手を翳し目を細める。
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