別世界でも歌は素晴らしい
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「〜〜♪〜〜♪〜〜〜♪」
「あっ、懐かしいなその歌。小さいころに歌ってたよな?」
「そうだね。森でポケモンを探し歩いてた時とか、サトシが転んで泣いていた時とか」
「そ、そんなことないよ!」
「あったんだねーこれが」
「うぅぅ・・・・・その歌ユウが作ったのか?どの場所に行っても聴かないからさ」
「ううん。ずーーっと昔に聞いたことがある歌だよ」
「昔っていくつの頃だよ?」
「なーいしょ♪」
ついあたしは鼻歌を歌っていたみたいで、サトシが気になって訊いてきたけど誤魔化した。
あっという間に時間は過ぎ、前夜祭が始まろうとしていた。
「ようこそ!私はこの街の市長ギルドです!
市民の皆さん、そして遠くからお越しいただいた皆さん、本日は集まっていただきありがとうございます!
堅苦しい挨拶はここまでにしてスペシャルゲストをお呼びしましょう!シンオウ地方チャンピオンシロナさんとトップコーディネーターにしてヨスガシティのジムリーダーメリッサさんです!盛大な拍手でお迎えください!」
前夜祭が行われるステージの上で市長というギルドさんが挨拶をし、シロナさんとメリッサが登壇した。
「シロナさん、メリッサさん、本日はわが街にお越ししていただきありがとうございます」
「こちらこそ、お招きいただき感謝します」
「ところで市長サーン、聞ききたいことがあるんデスガ、ナゼ前夜祭でカラオケ大会が開かれるんデスカ?」
「いい質問ですメリッサさん。実はこの街は昔小さな村だったんです。
村人達は野生のポケモン達ととても仲が良く共存してました。
だがその村に突如恐ろしい、得体のしれない何かが現れました。ソレは容赦なく村人やポケモン達に襲いかかったんです」
「それは、ポケモンデスカ?」
「いいえ。話によるとポケモンでも人でもなかったそうです。
そしてその得体のしれないナニかは旅人であった私の先祖が封印してみせたんです!」
「ワォ!」
「話を戻しますが、聞いた話によりますと封じ込めたそのナニかがまた暴れないように歌で鎮めるようにと私の先祖が村人達にそう伝えたんです。
それから年に一度にこういう催し物を開くようにしたのです」
「そうなのですね。それは素敵です」
「ありがとうございます。さて、そろそろ歌いたくてウズウズしてる人達がいるみたいですので、ここで前夜祭もといカラオケ大会を開催したいと思います!
このカラオケ大会は自分の持ち歌あり!替え歌あり!もちろん有名アーティストの歌を歌うのもあり!この催し物が開かれて今年でちょうど100年になります。ですので遠慮なく、とにかく盛り上げてください!!それではまず最初の方どうぞ!」
この街の言い伝えを聞き終えるとギルドさんがカラオケ大会を始めた。
もしかして、昼間見たあのお墓も関係あったりして?・・・まさかね・・・。
参加された人達が次々と歌を歌い上げていき、あたし達もテンションが上がってきた。
「さぁどんどん行きましょう!続いてはエントリーナンバー8番!どうぞ!」
「どーもー!キャンディ·ムサリーナでーす!!」
出たーーーー。見覚えのあるヤツが出てきたーー。
あたしのテンションは一気に下がった。
「ピチピチの17歳なりぃ♡」
ウソつけーー!!!絶対20歳超えてるでしょ!!
そうツッコみたかったが場をしらけさせるわけにはいかずぐっと、ぐっと堪えた。
そして始まったムサリーナ(ムサシ)の歌唱。
オリジナルみたいで、なんと言うか・・・あたしの感想で率直に言えばイタイ。本当に17歳だったら問題ないんだけど・・・。
もしあたしがムサシ達の仲間だったらもうやめてくれと止める。絶対に無いけど。
けどお客さんもサトシ達もムサリーナ(ムサシ)の正体にも年齢にも誰ひとり気付いてない。
まぁ、年齢を気にせずポジティブに歌うことはすごいと思う。ただ、本性というか正体を知ってるため素直にその気持ちが沸かない・・・。
ムサリーナ(ムサシ)の歌が歌い終わるとお客さん達は歓声を上げた。
会場も盛り上がってサトシ達もテンション上がっていいことなんだけど・・・
なんでだろう・・・・・
アイツにだけは負けたくない・・!!
対抗心が燃えた。
それからまた順番が流れ、サトシやヒカリやタケシ、それにジュンも歌い終え、ついにあたしの番が来た。
やって来たが・・・
「さぁ次でいよいよ最後となります!それでは登場していただきましょうどうぞ!!」
まさかのトリーー!!?聞いてないよっ!!
でもやるしかない!!というかムサシ、あっ、ムサリーナ?どっちでもいいや!とにかく負けるわけにはいかない!!
あたしはマイクを握りしめ、ミニリュウと共に登壇する。
「では自己紹介をお願いします」
「は、はい。えー、マサラタウンから来ましたユウコと言います」
「ユウコさんはたしかこの歌の替え歌を歌うとのことですね」
「はい」
「それでは歌ってもらいましょうどうぞ!」
ギルドさんが合図を送ると音楽が流れギルドさんは隅の方に移動した。
流れてる音楽は観客の人達も知ってるもので、でも歌詞はあたしが知ってるものとは違う。
ここまで替え歌を歌った人はおらず、場をしらけてしまうのではと一瞬思ってしまったこともある。
でも前世の歌詞が染み付いてるあたしは、前世の歌詞を信じて歌うっ。
「光るーーーだーい地に立ちーーー♪
永遠のーーー♪バートル誓うーーー♪」
緊張するけど、大丈夫。歌詞は間違ってないはずっ。お客さん達も今のところ静かに聴いてくれてる。
そういえばこの歌、サトシがバトルフロンティアに挑戦してる時に思い出したんだよね。
口ずさんだ時にはテンションが上がったなー。
この歌を他の人達にも聴いてほしくて、だからこの歌を選んだんだよね。
「ウーイエー!ガンガン進めかーぜ切ってー!ガンガン行くぜさーい後まーでー!
完全・燃焼!Yes,I'm OK!
ウーイエー!ドンドンパワー盛り上がってー♪ドンドン勇気湧ーいてくーるー!
限りなーい力をーしーんじよぉーーぅ!」
だんだん気分が上がり、いつの間にか不安や緊張ははるか彼方へ吹っ飛んだ。
それに、
「「「「わあああああーーー!!!」」」」
お客さん達も歓声を上げてくれた。気に入ってくれたみたいで良かった。
そのまま2番の歌詞も歌っていく。
*****
誰・・?
この歌を歌っているのは、誰?
・・・・・何?この気持ち・・・
まるで・・・いや、そんなはずがない。
私が、人間の歌なんかで・・・!
やめろ・・・やめろ・・・やめろ・・・
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