見舞品はキス



「(何だろう・・・暖かい・・・・・誰かに抱えられてる・・・?誰だ?)」


その正体を確かめたく、コナンは瞼を上げた。

見えたのは月の明かりでキラキラ輝く銀色の長髪。

その髪の持ち主はたった一人しか思い当たらない。


「・・・ジン・・・?」


黒の組織の一人、ジンだ。


「起こしたか?」

「・・いや・・・」


辺りを見渡せばそこが探偵事務所だと分かり、さらに自身を見ればジンのコートで包まれて抱き抱えられてるという事が分かった。


「・・何故ここに移動した?」

「万が一あの探偵が起きた時俺が居たらマズイだろ?」

「だったら蘭やおっちゃんが居なかった昼とかに・・・」

「何だ、そんなに俺に会いたかったのか?」

「Σバ、バーロ!!別にそんなんじゃ・・///」

「ククク・・、・・・悪かったな。なかなかこっちに来れなくて」


赤くなっているであろう顔を見られたくなく、ジンから顔を背ける。

不意にコートに纏ってる彼の臭いが鼻についた。

が、タバコの臭いがあまりしない。

それはつまり彼が今日一日タバコを吸ってないという事を示す。

タバコを吸う余裕が無いぐらい、心配してくれていたんだと。

それと同時に先程まで着ていたこの人物の体温を感じる。

思い返せば今日はたくさんの人が、自分の為に見舞いに来てくれた。

その事に胸が暖かくなる。


「・・・おい」

「ぇ?Σん・・!?」


ジンの手がコナンの頬に触れこちらに振り向かせると、突然キスしてきた。

舌で無理矢理こじ開け口内に侵入し、逃げる小さな舌を捕まえ絡める。


「ふっ、んぅ・・ん・・」


息苦しくなり、両手で押し返すも子供の力では無に等しく意味が無い。

思う存分蹂躙した後、ジンがようやく離れた。

いきなりキスしてきたジンに怒鳴ろうとするが、ジンの眼がいかってる事に気付き、言葉を飲み込む。


「さっき、俺以外の奴らを思い出していただろ?」

「え、あ、」

「今、俺が目の前にいるのに、他の奴らの事なんて思い出すな」


今までジンが嫉妬する面を見てきたが、ここまで真剣な面に、コナンは圧倒する。

その意味に気付いた途端顔がこれまでより真っ赤になり、コートで顔を覆って隠した。


「・・だ、だからって・・・キ、キ、キス・・・する必要ねーだろ・・・バーロ・・・!それに、風邪が移っても知らねーぞ?」

「お前からの菌なら、喜んで受け入れよう」

「・・・バーロ・・・/////」


数分後にコナンは眠りに就き、ジンは蘭や小五郎に気付かれ無いようコナンを元の布団に戻し、自分は愛車のポルシェに乗って夜の道を走っていった。


翌日、コナンの風邪は治った。

その代わり、ジンの体調が優れなかった。



終わり
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