見舞品はキス
「・・・どうしてそんなに急いで・・」
「それよりコナン君大丈夫か?顔色が悪いぞ!」
コナンの質問を途中で遮り世良は険しい表情で近付き、顔を近付けて額と額を合わせ、熱を計る。
「熱いなー。薬は飲んだか?」
「あ、いやそれが・・・」
「飲まなかったのか?駄目じゃないかちゃんと飲まなきゃ。これじゃ治るもんも治らないぞ」
「ごめんなさい・・・」
縮こまってしまったコナン。
それを見て世良がフッと表情を柔らげた。
「別に怒ってはいないさ。ただ君が心配だから、早く治って欲しいんだ」
「うん・・・」
「あ!そうだ!ここに来る途中コンビニに寄ってプリンとかゼリーとか買ってきたんだ。食べられるか?」
「じゃあ・・・プリンを少しだけ」
「OK」
小さなレジ袋からプリンを取り出し、封を開けて渡そうと差し出す。
・・が、上半身を起こしたコナンが口を開けて待っている姿が目に入った。
いつもと違うコナンの行動に世良が固まり、なかなかプリンが口にこない事に疑問に思ったコナンはそこでようやく己の行動に気付いた。
「(何やってんだオレ!!?) あっ、いや今のは・・・」
「何だ何だ!ボクに食べさせて欲しかったんならそう言ってくれればいいのに!」
コナンが否定の言葉を言う時は世良の表情はそれはもう嬉しそうな表情で、断るに断れなくなった。
スプーンでプリンを掬い取りコナンの口元に運ぶ。
「はい、アーン!」
「あ、あー・・・」
結局世良にプリンを食べさせて貰い半分食べたところで薬を飲み、横になる。
「ありがと、世良の姉ちゃん・・・」
「良いって事よ。あれ?眠いのか?」
「ぅ、ぅん・・」
「なら寝てて良いよ。蘭君が帰ってくるまでボクが側にいるよ」
「ありがと・・・世良の・・姉ちゃ・・・」
言い切る前にコナンは眠りの世界へと旅立った。
「おやすみコナン君。これは早く風邪が治るようボクからのおまじないだよ」
チュッ
世良は眠ってるコナンの頬にキスをした。
「早く治ってくれよ。コナン君」
柔らかい笑みでコナンの頭を撫で、自分もその隣で横になり、いつの間にか眠った。
午後11時。
夕方に蘭が帰ってきて世良は帰り、探偵団の皆が見舞いに来て一緒にご飯を食べ、薬を飲み、今は就寝に就いてる。
眠ってる意識の中、突然体が浮いてるように思えた。
体全体暖かい何かに包まれ、心地が良い。
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