見舞品はキス
「はい、アーン」
「じ、自分で食べるよ・・・」
「遠慮しなくていいよ。風邪を引いてる時は甘えていいんだから。さっ、アーン」
「・・・ぁ、あー・・・」
大人しく口を開け、お粥を向かい入れる。
お粥が口に入りレンゲが外に出る。
咀嚼し、飲み込む。
「どうかな?」
「おいしいよ、安室の兄ちゃん」
それから安室にお粥を食べさせて貰い、殆んどお粥を食べきった。
「食欲は大体戻ってきたようだね」
「うん・・・」
「あ。コナン君、口の端にご飯粒が付いてるよ」
「え?」
安室に言われご飯粒を取ろうと手を上げたが、その手を安室に取られてしまう。
安室を見ようと顔を上げると、安室が顔を近付けてきた。
そしてコナンの口の端に付いてるご飯粒を自身の口で取った。
「・・え!?」
「さっ、後は薬を飲んで横に・・・」
平然な態度をする安室に、今さっきやった安室の行動にコナンの顔が真っ赤になり、薬も飲まずコナンは再び布団の中に潜り込んだ。
「い、いらない!!!」
「コナン君!?駄目だよ、薬飲まないと風邪が治らないよ」
「大丈夫!寝てたら治るよ!!」
「いいや!治らない!」
安室が布団を剥ぎ取ろうと掴むがコナンも負けじと掴む手を強くする。
やがて安室が掴んでた手を緩め、離した。
「・・・ハァ・・・。僕はそろそろポアロに戻らないといけないので行くけど、ちゃんと薬を飲むんだよ」
コナンに薬を飲むよう言い付けると、安室は去っていった。
ドアが閉まる音を聞くとコナンが布団から顔を覗かせた。
「・・・・誰がそうさせたんだと思ってんだよ・・・!!」
安室に悪態をつき、薬を飲もうと手を伸ばす。
が、途中でやめ、引っ込めた。
そして横になり、再び眠りに就く。
午後3時過ぎ。
「(ヤベェ・・・頭クラクラしてきた・・・)」
薬を飲まなかったせいか熱は下がらず、コナンの顔色が悪くなるばかり。
そこへ、
ガチャ
「(ドアが開く音・・・・・・蘭が帰ってきたのか?
ヤベェな・・・こんな状態を見られたら余計心配を・・・)」
「コナン君、起きてるか?」
入ってきたのは蘭ではなく、蘭のクラスメイトの世良真純だ。
「世良、の姉ちゃん、何でここに?」
「蘭君からコナン君が風邪引いてると聞いて、授業が終わった瞬間ここまでダッシュして来たんだ。もちろん、蘭君から家の鍵を預かってね」
この家の鍵を指に引っ掻けて見せる。
余裕を持った笑顔を見せるがその顔には汗が浮かんでる。
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