見舞品はキス

治ったのは、みんなのお陰。



          〔見舞品はキス〕



午前7時半。


「コナン君大丈夫?やっぱり私、学校を休んで・・・」

「だ、大丈夫だよ・・・蘭姉ちゃん・・・寝てたら治るよ・・・」

「でも今日お父さんも仕事で出掛けちゃうし・・・。
一応お昼に安室さんが来てくれるんだけど」

「(よりによってアイツかぁ・・・。)
なら大丈夫だよ・・・。それより蘭姉ちゃん、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」

「あ!ホントだ!じゃあコナン君、大人しく寝てるんだよ?」

「うん。いってらっしゃい・・・」


風邪を引いてしまったコナン。

その日珍しく小五郎は仕事の為自宅にも事務所にも居らず、蘭が学校を休んで看病しようとするがコナンに行って欲しいと言われ渋々学校に行った。

部屋を出ていく前に見せた蘭の心配な顔を最後に、コナンは意識を手放した。




午前10時過ぎ。


「・・・ん、」


どれくらい眠ったのだろうか、ふいに額に冷たいものが触れられ意識が覚醒してきた。

それは心地が良く、頬に移動してきたそれに思わず擦り寄る。

それが何なのか確かめたく、目を開ける。


「すまない。起こしてしまったか?」

「・・・赤井、さん・・・?」


FBIの赤井秀一がコナンが寝てる布団の側に胡座をかいて座っていた。


「どうしてここに?」

「ボウヤが風邪を引いたと聞いて、見舞いに来たんだ」

「・・どうやって知ったの・・?」

「それは内緒だ」

「・・・じゃあどうやって中に入ったの・・・?」

「それはこれだ」


2本の針金を見せドヤ顔で言い放った。

ハッキリ言ってはいないがピッキングしたんだと顔で言っている。


「(それって犯罪なんじゃ・・・ι)
でも大丈夫なの?お仕事中なんでしょ?」

「休憩の合間に抜けてきたから大丈夫だ。それより何か欲しいものは無いか?」

「じゃあ・・水を・・・」

「あぁ」


側に置かれてるお盆の上に水が入ったペットボトルを手に持つ。

起きるコナンの背中をもう片方の手で支え、蓋を開けたペットボトルの口をコナンの口元に近付ける。


「飲めるか?」

「うん・・・」

「なんなら、口移しで飲ませてやろうか?」

「ブッッ!!」


赤井の発言にコナンが吹き出した。

まだ水を飲んでいなかったから良かったものの、飲んでる途中で今の発言を聞いたら間違いなく布団と自身のパジャマが濡れていただろう。




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