イタズラから始まる気持ち



「あ、安室の兄ちゃん・・・この手・・・」


退いてくれる?と訊くその前に安室がコナンの脇の下に手を入れて持ち上げ、自分の膝にコナンを座らせた。

さらにその後ろから腕を回して抱き締めてきた。


「え?え!?」

「寒いのかと思ったので、こうさせていただきました」

「Σ!!」


耳元に話し掛けられ、またもやコナンの体がビクッと跳ねた。


「おや?どうしました?僕はただ、君に話し掛けてるだけですよ?」


安室に背中を向けているのでどんな表情をしているのか分からないが、声色が若干低くなった事だけは分かった。

安室の行動が分からず、コナンの体は言い様の無い恐怖により、震えてる。

そんなコナンを安室は笑みを深めた。


「可愛いですね。君は」

「―――は!?」


思わぬ安室の言葉にコナンが反論しようと勢いよく振り向く・・・


が、それがいけなかった。

振り向いたその直後、唇に何かが当たった。

目の前には安室の顔で、一瞬思考が停止。

だが何が起こったのか理解すると反射的に顔を正面に戻し、自分の唇を両手で塞ぐ。

安室も何が起こったのか理解し、恐る恐る声を掛けてきた。


「・・・えっと・・・コナン君。今のは・・・」

「お、降ろして安室の兄ちゃん!!!」


急に暴れだしたコナンに思わず腕の力を緩めてしまい、その隙にコナンは抜け出し、ランドセルをそのままに事務所を飛び出し、3階に上がって行った。

安室はただただ、耳まで真っ赤になってるコナンの後ろ姿を見てるだけ。

暫くキョトンとしていたが、急に笑いが込み上がってきた。


「・・ク、クックック・・・ハハハ!」


口を片手で押さえて笑うのをやめようとするが、どうしても先程のコナンの行動や反応を思い出しては笑うのをやめられない。


「(あんなに真っ赤になって・・・それに僕が側に居ただけであんなにビクビク震えちゃって・・・本当に可愛い・・・。)
・・・あれ?」


はた、と今の自分の感情に疑問を覚え、笑うのをやめた。


「(可愛い・・?コナン君が・・・?確かに顔は綺麗とも言えるし可愛いとも言える容姿で僕の好み・・・・・・Σ好み!?いやいや、相手は小学生、いくらなんでも・・・でも年齢関係無く恋人関係になったり結婚してる人も・・・いやいやいや!!何を考えているんだ僕は!!てかさっき僕、可愛いって言った・・・今思えば何で言ったんだ僕は!!
でもあれはあの子がそういう反応するから愛らしいと思っただけで、この気持ちはきっとそれなんだ。うんうん。きっとそうだ。
でも・・・・・・さっきから鳴ってるこの鼓動の高鳴りは・・・あれ?)」


安室がこの気持ちに気付くのは、もう少し後。




一方コナンは玄関の所で顔を真っ赤にして蹲っていた。




終わり
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