逃ゲテ。見ツケテ。
「(だあ~~~!何であの男を怖がらなくちゃいけねぇんだ!?オレらしくねえ!!けど夢だからどうする事も出来ねぇし・・・)
ハァ・・・」
思わずため息が出てしまう。
後ろから見知った人物が近付いてくるが気付かない。
「(そもそもなんであんな夢を見るようになった?
確か見始めたのは5日前・・・)」
「ボウヤ」
「(その日何故かあの男が現れて・・・けどポアロの買い出しの帰りに通った安室さんのおかげで助かって・・・)」
「ボウヤ」
「(あの時、何故かあの男に恐怖を感じたんだよな・・・何でだ?いや、あの日からではなくその前の・・・)」
「ボウヤ!」
「Σ!?」
突然肩を捕まれ、直後目の前を車が横切った。
「ボウヤ」
「・・あ、赤井さん・・・」
肩を掴んだ人物は赤井で、前方の信号が赤である事から、自分は信号を無視していたのだとようやく気付いた。
「大丈夫か?さっきから声をかけてたんだぞ。それに顔色が悪い。何かあったのか?」
「ご、ごめんなさい。ちょっと考え事をしてて・・・。顔色が悪いのは多分寝不足のせいだと思うよ・・・」
「ホーー・・・。ボウヤは無茶するからな。何かあればいつでも頼ってくれ」
「うん、ありがと赤井さ・・・ととっ」
「おい大丈夫か?」
体がふらつき、赤井がコナンの体を支える。
「ぁ、ありがと・・・」
「家に帰って休んだ方がいい」
「う~ん・・・今はまだ帰りたくないかな~・・・」
ついさっき出たばかりなのに戻ったら、蘭に心配されるのでそれは避けたい。
曖昧な返事をするコナンに赤井は少し考えるとある提案を持ちかけた。
「・・だったら、工藤邸で休むか?あそこならボウヤも落ち着けるだろ」
「・・・うん。そうする」
すると赤井はコナンを軽々と持ち上げ、抱っこする。
「うわっ!」
「着くまで眠るといい」
「でも・・・赤井さん疲れない?」
「さっき言っただろ?頼ってくれて構わないと」
「・・うん・・・ありがと・・・」
赤井の優しさにコナンの心が少し軽くなった。
気が緩み、赤井の肩に頭を乗せて眠った。
赤井は自然と小さく微笑み、今仮住まいさせてもらってる工藤邸へと足を進めた。
はぁ・・はぁ・・はぁ・・
助けて!助けてっ!
「 ちゃん。鬼ごっこはこれぐらいにしよぉ」
お母さん!お父さん!お兄ちゃん!
「かくれんぼも飽きちゃったな・・・」
やだっ!来ないで!わたしをおうちに帰して!
「ねぇ ちゃん。なんでいつも逃げるのかな?
僕 ちゃんにイイコトしてあげてるのに、なんで?」
もういやっ!あんなの・・・全然いいことじゃない!!
「 ちゃん見ぃつけた」
っ!!
「・・・ああそうか。僕を困らせて遊びたいんだ。
けど、あまりオイタはいけないなぁ・・・。
オイタをしないよう・・・お仕置きしなくちゃ、ね」
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