一番に・・・

でもよ・・・だからってこんな遅くまで子供を起こすなよな。



         □一番に・・・□



皆が寝静まってる中、コナンは1人誰もいない暗い探偵事務所のソファに座っていた。

電気は付けず窓から漏れる月明かりだけが唯一の光。

本当はコナンも今すぐ部屋に戻って布団に入って眠りたかった。

では何故こんな所にいるのか。

それはある男によって無理矢理待たされる羽目になったのだ。

その男はまだ来ていない。

日付があと数分で変わるところでドアが開き、その男がやって来た。


「よう。よく寝ずに待っていたな。俺に会いたくて眠れなかったか?」

「バーロ、んな分けねぇだろ。オレが寝たらお前が何するか分からねぇからな、ジン」


口角を上げてニヤッと笑う男――ジンにコナンは眉間にシワを寄せて嫌な顔をして否定した。



遡る事3日前―――

友達と遊び、友達と別れて帰る途中突然目の前にジンが現れたのだ。

最初は警戒していたがジンが「3日後の夜中に探偵事務所で待ってろ。良いな、3日後だぞ」と一方的に言うとコナンの元からさっさと去ってしまった。

コナンの反論も聞き入れず、一方的に。

最初は無視しようとしたがそしたら何をしでかすか分かったもんじゃないと結局待ってしまった。


「・・・ハァ~・・・」

「どうした溜め息ついて?もうすぐめでたい日になるっていうのに」

「(オメェのせいだよ。・・・ん?めでたい日?)」


今ジンが言った言葉にコナンは何の事だろうとクエスチョンマークを思い浮かべる。

そしてジンは時計をチラッと見ると「そろそろだな」と言い、いまだ何の事か分からないコナンの頬をそっと撫でる。

そして愛しそうに、コナンの眼をしっかり見つめる。

急に雰囲気を変えたジンにコナンは思わず顔を赤くする。

そんなコナンにフッと柔らかい笑みを浮かべ、コナンの顎を掴んで上に向かせ、顔をどんどん近付ける。




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