逃ゲテ。見ツケテ。
「あの男か?」
「うん・・・。でも安室さんが心配するほどでもないから。じゃ、いってきます」
「あ」
安室が何か言う前にコナンはさっさと行ってしまった。
去ってゆく小さな背中を、安室は心配そうに見つめた。
「(・・・何も、起こらなければいいが・・・)」
「(これ以上安室さんに心配掛けられねぇ・・・。
ま、あんな夢今日だけでこれ以上は見ねぇだろ)」
しかし安室の悪い予感は当たり、コナンの予想は外れた。
廊下を走り、目についた部屋に勢いよく入る。
入れないように、ドアノブを強く掴む。
「 ちゃん。 ちゃん」
ガチャガチャ ガチャガチャ
部屋に入ろうと、ドアノブを回すのはあの男。
「 ちゃん。なんで急に逃げるのかな?これから楽しい遊びをしようっていうのに。
ああそうか。恥ずかしいんだね。
大丈夫だよ。恥ずかしいのは最初のうちでその内 ちゃんも気に入る筈だよ」
力強くドアノブを回され、ドアが開いてしまう。
「さぁ、かくれんぼより、もっと楽しい事、僕としようね・・・」
「うわああああっ!!っ・・・ハァ・・ハァ・・」
またあの夢を見たコナンは飛び起きた。
心臓はバクバクと鳴り、そして震えていた。
恐怖によって。
自分で自分を抱き締めるように両腕を掴み、震えを鎮めようとする。
幸い小五郎は熟睡な為起きてない。
「(またあの夢・・・いや今回は少し違うか・・・。でもなんなんだ一体!?なんであんな夢を・・・!?
なんでオレ・・・こんなに怯えてるんだ?)」
疑問が頭の中をぐるぐる回る。
結局答えは見つからず、またしても朝まで眠る事が出来なかった。
そんなのが3日も続き、とうとうコナンの体や精神に限界がきた。
「・・・・・・」
「大丈夫コナン君?ここのところ顔色悪いわよ!」
「・・・だ、大丈夫だよ蘭姉ちゃん・・・ホント、何でもないから・・・」
「何でもないって顔じゃないわよ!一体何があったの?」
「ちょ、ちょっと怖い夢を見ちゃっただけなの。ホントだよ」
「怖い夢って、ずっと見てるの?」
「う、うん・・・。でもこれぐらい何ともないから。僕遊びに行ってくるね」
「あっ、ちょっと」
半分事実を言い、半分嘘をつく。
これ以上探られないように出たは良いが、遊ぶ体力なんてない。
「(さて、どうしたものか・・・。安室さんも忙しい身だから相談するわけにもいかねぇし・・・・・外に出たが・・もし、あの男に出くわしたら・・・)」
ゾクッ
一瞬あの夢を思い出し、身震いする。
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