サブマリン集

映画終盤妄想小話 ピンガ生存if ver.(ピン→コ)



海中で危うく溺死しかけたコナンだが、灰原の救出によりなんとか息を吹き返した。

2人は手を繋いでゆっくりと浮上していく。

すると、横から何かがこちらにやって来た。

ふと、コナンは顔を横に向ける。

驚き、思わず息を吐き出した。

潜水艦に向かっていたと思われていたピンガがこちらにやって来たのだ。

灰原もピンガの存在に気付き、2人は慌ててピンガから逃げるように浮上していく。

海上から顔を出し、息を整えるのも後にして2人はパシフィック・ブイへと泳いでいく。

だが相手はそんなのはお構いなしにコナンの腕を掴んだ。


「ぅわっ!?」

「工藤君!!」

「よぉ工藤新一・・シェリー・・・」

「Σ!!」

「ピン、ガっ」


海上に顔を出したピンガはゴーグルとレギュレーターを外した。

コナンは腕を振り払おうとするがピンガが力強く掴んでるので出来ない。


「お前、なんでここに・・!?」

「潜水艦に向かう途中にお前達を見つけてな。お前達を連れてジンの悔しがる顔をこの目で拝むのさ!」


おかしく笑うピンガに、ジンの名前を聞いた途端顔を強張らせる灰原。

コナンは黙って何かを考えていた。


「どうした工藤新一?怖くて声も出ねぇ・・「潜水艦はもう動かねぇ」

「あ?」

「オレが潜水艦の位置をぁ・・FBIに教えて、FBIが米軍から借りたという武器で撃ったからな」

「なっ・・!?」

「奴ら、潜水艦を捨てて今頃もうここから離れているんじゃないか?お前、その連絡入っているか?」


コナンは思わず赤井の名前を出しそうになったがなんとか言葉を変えた。

ピンガはコナンがFBIと繋がっている事にも驚いたが潜水艦を攻撃した事にも驚いた。

慌ててスマホを取り出そうとするが、コナンが嘘をついてまた自分のスマホを奪おうとしてるかもしれないと思い、スマホを取り出すのを止める。


「そんなの、お前のハッタリだ」

「そう思ってるならそれでもいい。だが、警察に顔がバレたお前を奴らが・・・ジンが生かしておくと思うか?」

「何?」

「アイリッシュは知ってるな?」

「Σ! お前、何故そのコードネームを・・!?」

「東都タワーでアイリッシュと対峙したからさ。組織のノックリストが入ったメモリーカードを手に入れたアイリッシュだったが、逃げ場がなく、ジンは躊躇なくそのメモリーカードごとアイリッシュを撃ったんだ」

「Σ何っ!?」

「・・・・・・」


灰原は自分の手と繋いでるコナンの手に無意識に力を入れた。


「(確かにアイリッシュは何かの任務失敗で死亡したと聞いた・・・・・しかもその場にはジンが指揮を取っていたと・・・・という事はコイツが言ってる事は・・!)」

「ジンは、仲間だろうと簡単に切り捨てる。のこのこと潜水艦に戻ってきたお前を、動かなくなった潜水艦ごと爆発させてお前を殺すつもりだ」

「―――!」

「たとえオレと灰原をジンのところに連れて行ったとして、ジンが自分のミスを知ってるお前を生かすと思うか?」

「ぐっ・・・」


ハッタリだと、嘘だと思いたいピンガだが、どうしてもコナンの仮説を信じてしまい、焦りが生じてきた。


「ねぇ、もし、工藤君の考えが合っているとしたらもうすぐ潜水艦が爆発するんじゃない!?」

「あぁ。急いでパシフィック・ブイに上がらねぇと。だからその手を離せ」

「・・・・・チッ」

「ぅわっ!?」


するとピンガはコナンの腕を離す事なく、なんと引っ張るようにパシフィック・ブイへ泳いでいく。


「お前・・・」

「少し黙ってろ」


コナンが話しかけるがピンガはそれだけ言い黙った。


パシフィック・ブイに到着するとコナンと灰原を先に上がらせ、その後にピンガも上がった。

背負ってたエアタンクを外し、仰向けになって息を整える。

するとその直後に、海中から地鳴りのような爆発音がした。

潜水艦が爆発したのだ。

コナンの言った通り、もしあのまま潜水艦に近付いていたら・・・とピンガは思わずゾッとし、ジンへの殺意が湧いた。


「(ジンの野郎・・!!こうなりゃあ工藤新一とシェリーを直接ラムの所に・・・)」


ピンガがそんな事を考えている間に、爆発によって生じた大きな水柱が立ち上がり、それが高波となって彼らに襲いかかろうとしている。

気付いたピンガだが逃げ場なんてなく、このまま3人共呑まれる、と、死を覚悟した。


だが諦めてないのが1人。


コナンは急いで柵へ飛び乗りキック力増強シューズのダイヤルを回し高くジャンプする。

体を上下逆さまにして飛んできたブイを足の甲で思いっきり蹴った。


「いっけぇえええーーーー!!!!」


「――――ッ!」


ブイは灰原とピンガの頭上を勢いよく突き進み、高波に穴を開け、2人を避けるように押し寄せて崩れた。


その小さな体で、諦めない強い目に、自分達を助けたコナンの姿に、ピンガに雷が落ちたような衝撃が走った。


灰原がふとピンガに視線を向ける。

ピンガは頬を赤くしてコナンに熱い視線を向けていた。

ピンガの様子に察した灰原はジト目になり、ピンガの脇腹を突いた。


「Σイッテ!・・・シェリーテメェ、何しやがる!?」

「ピンガ、取引しましょ」

「ぁあ?」

「アナタの身の安全と引き換えに、アナタは私達に協力をする。簡単でしょ?」

「はあ?誰がそんな条件・・「彼に協力すれば、彼に感謝されるのは当然。それに今のような彼の勇姿を見られるかもよ?」

「Σ――!!・・・ま、まぁ、そこまで言うなら、その取引のんでやってもいいぜ!」


灰原の取引(コナンをダシ)にピンガは上から目線でのんだ。


「(そこまで言ってないんだけど・・・。)
そぅ、なら取引成立ね。じゃあこれを持ってなさい」

「あ?何だコレ?」


灰原は自分の探偵バッチをピンガに渡した。


「それを持っていれば工藤君があなたを見つけるわ」

「マジかよ。発信機か何か仕込まれてるのか?こんなに小さいのに?」

「それを持って早くこの場から離れなさい。もうじき警察とかが来るわ」

「あ、あぁ・・・」

「それと、」

「ん?」

「彼に惚れたのなら覚悟することね。彼を狙ってるのはたくさんいるから」

「Σバッ!!だ、誰が惚れてるかよ!!?あんな、ガキに!!!///」

「(バレバレよ・・・)」


顔を赤くして否定するピンガに灰原は呆れた。



*****


丑尾のクルーザーで八丈島に戻る途中、コナンと灰原は船尾デッキにいた。


「灰原、ピンガは?」

「彼なら、彼の身の安全と引き換えに私達に協力してくれるってことで成立したわ。アナタが探しに来るのを待っているわよ。私の探偵バッチを彼に持たせたから」

「そっか・・・」

「アナタねぇ、誰彼構わず人をたらしこむのやめてもらえる?」

「はあ?なんだよそれ?」


訳が分からないといった顔をするコナンに灰原は心の中でため息を吐いた。



終わり




後書き


もし、ピンガが潜水艦に向かわずコナン君と哀ちゃんのもとに向かったら・・・。を想像して書きました。

終盤のコナン君の活躍は惚れる・・・。ピンガも惚れたらいいなぁと思い書きました。

で、ピンガの居場所を突き止めたコナン君はピンガを回収→FBIの証人保護プログラムに入ってもらう→FBIの監視下に置かれながらもコナン君に協力すればいいなぁと思ってます。

そしてコナン君争奪戦にも参戦。(笑)
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