逃ゲテ。見ツケテ。



***


「さぁ、ココがコナン君の新しい部屋だよ」

「うっ」


男によって連れてこられた所は男の部屋・・・汚部屋で、あまりの悪臭にコナンは鼻を摘んだ。

床にはお菓子の袋やカップ麺の容器に壊れた物などが散乱していて、壁にはいくつか穴が空いていた。

落ちた物の中には何か怪しい物も落ちていた。


「喉乾いたでしょ〜?ジュースあるよー。・・・あっ。おいババア!!ババア!!チッ、パートの時間か、使えねぇな。コナン君、良い子で待っててね」


男は小さい冷蔵庫から2リットルのジュースを取り出すが、コップが1人分しかない事に気付き、面倒くさそうに部屋から出ていった。

台所からコップを取りに行ったのだ。

男が部屋からいなくなったチャンスに、コナンは口を開く。


「お願い。キミがここにいたという手がかりがほしいんだ。何かない?」


優しい口調で、自分に取り憑いてる女の子に訊いてみる。

すると、体が勝手に動き、ベッドを指さした。


「え?」


コナンがどういう事だと考えていると体がドアの方に振り向き、続いてドアノブを指さした。

足が勝手に歩き、手がドアノブを回し、部屋から出る。

数歩進んでいくと別の部屋の前に着き、そこのドアノブをまた指さした。

さらにそのドアノブも回し、内側のドアノブを指さし、そこで体が自由になった。

コナンは女の子が何を伝えようとしてるのか考え、ふと部屋の中を見渡してみる。

そしてある事に気付いた。


「(この部屋・・たしか夢に出てきた部屋・・・ということはドアノブは・・・待てよ、だとしたらベッドは・・・まさかあの男・・!)」

「見ぃつけた」

「Σ――ッ!!」


考えにふけていると後ろから声がかかり、肩がビクッと跳ね上がる。

振り向けばあの男が部屋の前に立っていて、口の両端をニィィッと上げてコナンを見下ろしていた。

その笑みは夢にも出てきた笑みで、コナンに悪寒が襲いかかる。


「ダメじゃないか、待っててって言ったのに。悪い子だなぁ」


コナンの体は恐怖によってカタカタと震える。

今すぐこの男から離れたいけど足が動かない。


「悪い子には、お仕置きが必要だよねぇ」


男の手がコナンに伸びる。

コナンは思わずギュッと目を強く瞑った。



ドゴッ!

「ピギャ!!?」

ガン!

「グッ!!」


大きな音が2つして、恐る恐る目を開ける。

目の前に男はおらず、代わりにジンが立っていた。

その顔は誰が見ても怒り心頭で、男を睨みつけている。

どうやらジンが男を蹴り、男は壁にぶつかったようだ。


「テメェ、きたねぇ手でコイツに触ろうとしてんじゃねぇ」

「ヒッ!!」


ジンのドスの入った声に男が情けない声を上げる。


「な、なな、な、何だお前!!?」


男が震える声でジンに問いかける。

だがジンは消音器サイレンサー付きのベレッタの銃口を男に向けるだけ。


「へ?」

「答える気はねぇ。貴様が聞いたところで無駄だからな」

「そ、そんな、ものっ、どうせオモチャ・・「ほぅ。コイツがオモチャかどうか、お前の体で試してみるか?」


ジンの本気の目に男が後退りする。


パシュ

キュン

「ッッッ!!!」


銃弾は男の頭の横の壁にめり込んだ。

だが男は撃たれたと思い込み気絶した。


「・・・・・・」


ジンは男のこめかみ目掛けて引き金を引いた。

だがその直前足に何かが絡みついたため標準が外れてしまった。

視線を下に向ければ、コナンがジンの足にしがみついていた。




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